【季節のレシピ】
季節の恵みである旬の食材でつくる保存食や発酵食と日々のごはん。
自家製調味料や時々おやつも。
季節を感じて愉しみながらつくってみませんか。
ここでは、そんなすこやかなくらしをお手伝いするレシピをご紹介していきます。
※二十四節気「立夏」についてはこちら。
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〈旬の食材「筍」〉
竹の地下茎から出てくる若い芽を筍(タケノコ)と呼びます。
竹は意外にもイネ科にあたり、温暖な地域に多く生えています。
一般的に手入れをされていない竹やぶの場合、筍は藪の中よりも藪の周りに良い物が出てきます。
また、竹を伐採されて剥きだしになっているような場所や、藪近くの草むらなどにも根を伸ばして沢山出ている事があるそうですよ。
「筍」は一旬(10日間ほど)で「竹」までに生長してしまうことからその名がついたのだそうです。
ということは、食べられる期間もほんの一瞬ということです。
土から出るか出ないかという時だけなので、目が離せませんね。
皮には、イノシシやキツネなどの動物に食べられないように、筍を守る役割があります。
実はあの皮が、筍と竹を分ける境界なのです。
背が伸びるにつれて、皮は1枚1枚、自然とはがれ落ち、すべて落ちると竹になるというわけです。
ちなみに、皮が全部落ちるのに30日ほどかかるそうです。
筍の種類は多く、70種類ほどあるといわれていますが、食用にされているものは孟宗竹(もうそうだけ)をはじめ、淡竹・真竹、根曲がり竹(姫竹)など、ほんの数種類です。
今回は、「筍といえばこれ!」といえるほど、日本国内で最もポピュラーな孟宗竹について掘り下げてみます。
孟宗竹は大型のものが多く、苦みと甘みをバランス良く兼ね備えています。
九州から関西にかけて幅広い土地で栽培されており、長い期間旬を楽しむことができるのも特徴です。
店頭で目にする機会の多い孟宗竹は、主に3月初旬~5月中旬に旬を迎えます。
また、鹿児島県などの温暖な土地では「早掘り筍」と呼ばれる11~12月ごろにかけて収穫されるものもあります。
流通量が最も多い品種であることからも、筍を美味しく安価に入手するにはやはり春の時期が良いと言えるでしょう。
孟宗竹と同じような地域で栽培される淡竹・真竹は、孟宗竹よりも少し遅れた4月~5月終わりごろが旬の時期です。
グルタミン酸やチロシン、アスパラギン酸などの旨味成分でもあるアミノ酸が含まれていて、食べて分かるとおり食物繊維が豊富です。
筍は伸び過ぎたり、日に当たる時間が長いものはアクが強くなります。
先端が緑色になっているものは日に当たったもので硬くえぐみが強くなるので、なるべく黄色に近い状態のものを選びましょう。
伸び過ぎていないもの、皮の色が薄いもの、皮の部分がしっとりしていて乾いていないものを選んでください。
細い物より、太短い物が美味しいそうです。
根もとの周りに赤いぶつぶつがありますが、これが少ないものが良く、多いものはもうアクも強いと思って良いでしょう。
また、赤い色が薄いものの方がアクは少ないです。
筍は、掘り出された後、時間を追うごとにどんどんアクが強くなっていきます。
出来るだけ早く下ゆでしてアク抜きしましょう。
筍のアク抜きの仕方は、下記の【旬の食材レシピ】で紹介していますので、ご参照くださいね。
筍を切ったとき、断面に白い粉や塊のようなものがついていることがありますね。
これは筍に含まれるチロシンという成分が、茹でる過程で結晶化したものです。
チロシンはアミノ酸の一種なので、食べても問題はありませんが、硬くザラっとした食感や見た目が気になる方は、水で洗い流しましょう。
【旬の食材レシピ】
今回ご紹介する、ノブさんおすすめの旬の食材を使ったレシピは、
「筍」の保存食と、そのアレンジ料理です!
竹かんむりに旬と書く「筍(たけのこ)」は、4~5月の旬の時期に食べるのが、最もおいしいといわれる春の風物詩。
煮物、炒め物、ご飯にスープと、たけのこ料理は、食卓に春らしさを感じさせてくれますよね。
パックされて売られている茹で筍は手軽で使いやすいですが、生の筍が手に入るこの時期は、その風味と美味しさを存分に味わってみませんか。
今回は、皮付き筍のアク抜き方法もご紹介しますので、ぜひお試しくださいね。
〈筍の保存食〉
*皮付き筍の茹で方(アク抜き方法)
『筍のごま油漬け』
〈アレンジ料理〉
*筍のごま油グリル
*ピリ辛メンマ風
*筍と豆腐きゅうりの中華風サラダ
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皮付き筍の茹で方(アク抜き方法)
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筍は鮮度が大事!収穫直後から時間と共にどんどんアクが増してえぐみが強くなってきます。入手したらなるべく早く丸ごと茹でましょう。
茹でるのに時間はかかりますが、手間はほとんどかかりません。自分で茹でるからこその、筍本来の香りや美味しさが楽しめますよ!
《材料》作りやすい分量
・筍: 2本(約1kg)
・水:筍がかぶる量
・米ぬか:1カップ
・赤唐辛子:2本
(※米ぬかと赤唐辛子の量は目安です。たけのこの大きさや量、湯量により調整してください)
《茹で方》
①筍は外側のかたい皮を2〜3枚むいて洗います。穂先のかたい部分(全体の1/5程度が目安)を斜めに切り落とし、皮に縦に2〜3箇所、1〜2cm深さの切れ目を入れます。
*切れ目を入れると、火が入りやすくなり、茹でた後に皮が剥きやすくなります。
②深めの鍋に筍を入れ、筍全体がかぶるくらいまで水を加えます。米ぬかを表面を覆うように加え、赤唐辛子を入れて強火にかけます。筍が浮いてくるので落としブタをして、吹きこぼれにお注意しましょう。
*米ぬかはアクの成分を吸着し、旨みをプラスします。赤唐辛子はえぐみを和らげ、防腐作用があるといわれています。
*米ぬかがない時は、米のとぎ汁や米をひとつかみ(洗わずに)で代用できます。
*筍が茹で汁から出て空気に触れたままになると、酸化して色が悪くなってしまいます。
*落としブタが軽いと筍が浮いてしまうので、重みのある平皿を代わりに使うとよいです。
③沸騰したら弱火にし、フツフツと沸いた状態を保ちながら、筍が柔らかくなるまで1時間ほどゆっくり茹でます。常に筍が湯から出ないようにし、途中で湯が少なくなったら湯を足してください。白い泡のようなアクが出たら取り除きます。
*茹で時間は筍の大きさや量により変わるので調整してください。
④根元の太い部分に竹串をさして、中心までスッと通るようになったら火を止めます。
鍋にフタをしてそのまま冷まし、一晩(約8時間)置きます。
*鍋の中で完全に冷ますことでさらにアクが抜けてえぐみが取れます。また、茹で汁に出た筍の旨みを実に戻します。
⑤水洗いしてぬかを洗い落とし、縦に入れた切れ目から繊維がかたい皮を剥きます。切れ目を入れているので、ねじるようにするとスルッと剥けます。穂先側は一気に皮をむかず、皮2〜3枚ずつくらいを順に剥いていき、柔らかく食べやすいと思う実の部分が出たらOKです。
⑥穂先1cmほどのかたくて苦い部分と、根元のかたい部分を切り落とします。根元に固い皮が残っていたり、赤黒い粒があればグルッと包丁でむき取ります。軽く洗って水けをきります。
*3〜4日間保存する程度なら、適当な大きさにカットして保存容器に入れ、完全に浸かるまで水を入れて冷蔵庫で保存します。毎日に水を取り替えます。
*もっと長く保存したい場合は、下記の『筍のごま油漬け』をぜひお試しください。
*筍のアク抜きは、米ぬか、米のとぎ汁や米の他にも、重曹を使う方法もあります。
水1Lに重曹を小さじ1杯程加えてから加熱し、沸騰させている中に皮を剥いて半割にした筍を投入し、10分程茹でたら火を止めてそのまま冷まします。
*また、生の食感と風味を活かしたい時は、大根を使って加熱せずにアク抜きすることもできます。大根をおろしとおろしの搾り汁に、搾り汁と同量の水を加え、そこに皮を剥いて適当な大きさ形に切った筍を、1~2時間ほど浸けます。
*ただし、収穫されてから時間が経っていてアクが強くなっているものは、米ぬかの方法がお勧めです。アクがしっかり抜けて白くキレイに仕上がるという点では、米ぬかが一番よいといわれています。
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【筍の保存食♪】
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筍のごま油漬け
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筍の下茹で・アク抜きができたら、いよいよ筍料理づくりですが、すぐには食べない時や大量に手に入った時など、保存に悩みますよね。
そんな時におすすめなのが、ごま油漬けです。下茹でをしたら、あとはごま油に漬けるだけ。
ごま油漬けにすると酸化しにくく美味しさが保たれ、さらに水分も出にくいので、たけのこの食感がそのままキープされます。
そして何よりごま油の風味が加わることで、ただ焼くだけでも味わい豊かな筍料理が完成しますよ!
ごま油漬けは万能なので、ぜひおすすめしたい筍の保存方法です。
《材料》作りやすい分量
・ゆで筍:2本(約400g)
・ごま油:400ml
・唐辛子(お好みで):1本
・にんにく(お好みで):1かけ
・塩:小さじ1
・花椒(あれば): 小さじ2
《つくり方》
①ゆで筍は、穂先、真ん中、根元の3つの部位に切り分け、穂先は縦に4等分、真ん中はくし切り、根元はかたいので繊維を断ち切るように輪切りにしてから、保存容器に入る大きさにします。
キッチンペーパーなどでしっかりと水けを拭き取ります。
②唐辛子はヘタとタネを取り除き、にんにくは包丁で潰します。
③清潔な保存容器に、全ての材料を入れ、冷蔵庫で半日(約10〜12時間)おきます。
ごま油は筍が漬かるまでひたひたに注ぎ入れてください。
〈保存・食べ頃〉
・冷蔵庫で半日(約10〜12時間)漬け込むとしっかり味がなじみます。
・冷蔵で1カ月ほどが保存の目安です。
〈メモ〉
・オイルに漬けることで、えぐみが和らぎ、水分も出にくくなります。タケノコの食感や風味をそのまま保存できます。
・今回はごま油を使いましたが、オリーブオイルなどを使っても美味しく作れますよ。お好みのハーブやスパイスなどと一緒に漬けてもいいですね。
〈応用メニュー〉
・そのままご飯にのせたり、混ぜたりして「筍ごま油漬けご飯」に。
・焼くだけでも美味しいので、おかずとして、おつまみとしても。
・炊き込みご飯、混ぜご飯、焼きそば、餃子、焼売。
・春雨や卵と合わせて中華風スープに。春野菜やわかめと一緒に味噌汁に。
・筑前煮、土佐煮、きんぴらなどの煮物 ・ごま油炒め、中華炒めなどの炒め物
・おかか和え、白和えなどの和物 ・天ぷら、春巻きなどの揚げ物
・漬けたごま油と一緒にパスタに和えて。青じそや山椒を合わせるのがおすすめ。
・メンマ、ナムル ・サラダにトッピング
・スライスした筍と漬けたごま油、チーズ、ベーコンをパンにのせてトーストに。
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【アレンジレシピ♪①】
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筍のごま油グリル
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筍のごま油漬けを漬けたごま油も使って焼くだけで、筍の歯ごたえとごま油と花椒の香りを存分に楽しめます。
春の野菜と一緒にグリルすると華やかな一皿に。おつまみにもおすすめです。
《材料》つくりやすい分量
・筍のごま油漬け:200g
・スナップえんどう:4さや
・筍のごま油漬けのごま油:大さじ1
・塩:少々
・こしょう:少々
・醤油:小さじ1
・鰹節:適量
・木の芽:1枚
《つくり方》
①筍のごま油漬けは食べやすい大きさに切ります(ごま油漬けにした大きさのままでもよいです)スナップえんどうは洗って筋をとっておきます。
②フライパンにごま油をひき中火で熱し、筍とスナップえんどうを入れ、塩こしょうをふり、表面に焼き色がつくまで焼きます。
③器に盛り、醤油を回しかけ、鰹節をのせて木の芽を添えます。
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【アレンジレシピ♪②】
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ピリ辛メンマ風
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ラーメンのトッピングやお酒のおつまみとしてお馴染みのメンマ。
本来は乾燥・発酵させてつくりますが、筍のごま油漬けを活用して発酵なしで簡単に作れるレシピをご紹介します。
たけのことごま油の香り、シャキシャキした歯ごたえがと中華風のピリ辛な味付けで、食が進みます。
自分で作ると、味の濃さや辛さも好みで調整できるのがいいですね。
《材料》つくりやすい分量
・筍のごま油漬け:200g
・筍のごま油漬けのごま油:大さじ1
・筍のごま油漬けの花椒:少々
〈A〉鶏がらスープ:100ml
〈A〉酒:大さじ1
〈A〉みりん:大さじ1
〈A〉醤油:小さじ1
・ラー油:小さじ1/2
・糸唐辛子(トッピング用):適量
《つくり方》
①筍のごま油漬けは、穂先と真ん中部分は5mm幅のくし切りに、根元は1cm幅の輪切りにしてから3〜4mm厚くらいの薄切りにします。
*筍の歯ごたえを楽しみたい場合は厚めに、しんなり食感がお好みの場合は薄く切るなどお好みで切り方を調整してください。
②フライパンにごま油と花椒を入れて熱し、①の筍を入れて中火で軽く炒めます。
③全体に油が回ったら、〈A〉を加えて混ぜ中火で煮ます。水気がなくなってきたら、ラー油を加えてさっと炒め、火から下ろします。
④器に盛り、糸唐辛子をのせます。
*ラー油の量はお好みで調整してください。後から垂らして加えてもよいです。
*そのまま食べても美味しいですが、炊きたてご飯と混ぜれば即席筍ご飯ができます。
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【アレンジレシピ♪③】
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筍と豆腐きゅうりの中華風サラダ
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これからだんだんと暑くなってくると食べたくなる、ピリッと辛い中華風のさっぱりサラダです。
筍のシャキシャキ、きゅうり、豆腐といろいろな食感と味わいが楽しめます。
ビールのお供にもぴったりですよ。
《材料》4人分
・筍のごま油漬け:200g
・木綿豆腐:150g
・きゅうり:1本
・長ねぎ:30g(約1/3本)
〈A〉筍のごま油漬けのごま油:大さじ1・1/2
〈A〉米酢:大さじ2
〈A〉みりん:小さじ2
〈A〉醤油:小さじ2
〈A〉豆板醤:小さじ1/2
・白炒りごま:大さじ1
《つくり方》
①筍のごま油漬けは、食べやすい大きさに乱切りします。
豆腐はクッキングペーパーなどに包んで重しをし20分ほど置いて水切りし、1.5cm角に切ります。きゅうりは小さめの乱切りにします。長ネギは縦半分に切ってから斜め薄切りにし、水にさらした後しっかり水をきっておきます。
②ボウルに〈A〉を入れて混ぜ合わせ、①の材料、白炒りごまを加えて全体を混ぜ合わせます。
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以前は、ゴールデンウィーク前後によく筍堀りに行っていました。10本以上の掘った筍をリュックで背負い電車に乗って持ち帰り、その日の夜に、大きな鍋3つをフル稼働して一気に茹でるという、丸一日の筍デーがこの季節の楽しみでした。今はなかなか行けなくなったので、一緒に筍堀りしていた友人にお裾分けしてもらったりしています。
子どもがもう少し大きくなったら、一緒に筍堀りに行って、それを料理して食べたいな。
そんなことを想いながら、今年の春も筍を満喫しています。
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