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【ことごと綴り】第11回《立冬》11月7日(~11月21日頃まで)
柿を

【二十四節気「立冬」きほんのお話】11月7日(~11月21日頃)
二十四節気のひとつ立冬(りっとう)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の最初の節気となり、いよいよ冬の始まりです。 朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まり、木枯らしが吹きはじめて、山にも里にも冬が近いことを感じる頃となります。

木枯らし・凩(こがらし)とは、日本の太平洋側地域において晩秋から初冬の間に吹く風のことで、冬型の気圧配置になったことを示す現象です。
季節が秋から冬へと変わる時期に、初めて吹く北よりの強い風のことを「木枯らし1号」と言います。
気象庁では、東京地方と近畿地方でこのような冬になったことを感じさせる風が吹いた時「木枯らし1号」のお知ら
せを発表しているのだそうです。

木々の葉が落ち、冷たい風が吹いて冬枯れの様子が目立つようになります。
早いところでは初雪の知らせが聞こえてくることも。
【立冬の七十二候】
大輪の色鮮やかな山茶花(さざんか)の花や、清楚な佇まいの水仙の花が綺麗に咲きほこり、冬枯れの景色の中で彩りを添え芳しい香りが漂う頃です。
冬の冷気のなかで、大地が凍りはじめ、日ごとに寒さが増し、夜は冷え込みがいっそう厳しくなります。
初候:山茶始開(つばきはじめてひらく) 11月7日〜11月11日頃
次候:地始凍(ちはじめてこおる)11月12日〜11月16日頃
末候:金盞香(きんせんかさく) 11月17日〜11月21日頃
(※七十二候の詳細はこちらをご覧ください。)
【旬の食材】
〈旬の食材Pick up①蓮根〉

蓮根は、見た目が根のようなので蓮の根=蓮根と言われるようになったそうですが、蓮(はす)の地下茎が肥大した部分を指します。
蓮の若葉も食べられます。
日本では蓮根はおせち料理に欠かせない物となっていますね。
輪切りにした時に丸い空洞が並んでいて、向こうが良く見える事から、「先の見通しが良い」という縁起を担いで食べますが、そもそもどうして穴が空いているのでしょう?
実は、蓮根が呼吸をするための通気口なんです。水底の泥の中には、蓮根が呼吸をするための酸素が少ないので、空気を通すための穴が葉っぱの気孔(葉が空気を取り入れるための小さな穴)から続き、水の上の空気が地下まで通じるようになっているのだそうです。
植物の進化には驚かされることが多々ありますよね。
今では一年中スーパーで手に入れることができる蓮根ですが、やはり旬はあります。
蓮根は秋から冬に一番おいしくなる野菜なんです。
収穫が始まる9月~10月から新蓮根が出回りはじめ、それから冬にかけてが旬の時期。
旬の季節のはじめに出回る蓮根は、身がやわらかく味わいもあっさりとしているといわれています。

一方、蓮根の需要が最も多くなる晩秋〜冬にかけては、粘りと甘みが強くなる特徴があります。
蓮根は通常、9月下旬までに田んぼの中で成長を終えますが、その後そのまま田んぼのなかでしばらく寝かせます。
そうすることによって、蓮根のでんぷん質が糖に変化し甘みが増すのだそうです。

この時期の蓮根は、すりおろしてれんこん餅にしたり、すりながしにしたり、天ぷらにして火を通すなど、加熱調理をすることで、もっちり、とろとろでより粘りと甘みを味わうことができます。
蓮根は、コラーゲン合成に欠かせないビタミンCが非常に豊富です。
皮膚の新陳代謝を活発にして、シミや肌荒れの防止に役立ちます。
他にも疲労回復・風邪の予防・発癌物質の抑制なども期待できます。
蓮根のアクにはポリフェノール類が含まれています。切り口がすぐに変色する原因は、ポリフェノールの一種であるタンニン。タンニンには抗酸化作用や消炎、収れんの作用があるといわれます。
蓮根を選ぶポイントは、まずふっくらとして太い物が良いということです。
持った時にずっしりと重みを感じるものが水分をしっかりと保っていて美味しいといわれています。
表面に艶があり、なるべく傷や茶色いシミなどが付いていないものを選んでください。
カットされているものは、切り口がムラサキ色になってる部分があったり、穴の中が黒ずんでいたりするものは避けましょう。
蓮根の保存方法は、両端が閉じている状態の丸のままであれば、新聞紙などを濡らして包み、ナイロンやポリの袋に入れて冷蔵庫に入れておきましょう。
泥が付いたままのものは泥付きのまま表面を湿らせ、濡らした新聞などに包んで冷暗所に置いておくと日持ちします。
切られたものは変色してくるので、できるだけ早めに食べた方がよいですね。
保存する場合は、ぴったりとラップで包んでなるべく空気に触れないようにして冷蔵庫に入れてください。
または水を張ったタッパなどにつけるようにしておくと1〜2週間くらい保存できます。
また、カットした蓮根をすぐに食べない場合は、酢水にさらしてよく水分をとった後に、ラップで包んでジッパー付き保存袋に入れれば、1ヶ月間くらい冷凍保存も可能です。
使う際には、変色した切り口を薄く切り落とし、切ったらすぐに酢水か冷水に浸けてアクを抜き、変色を防ぎましょう。
酢水に浸すことで、レンコンが持っている粘りを抑えることにもなり、シャキシャキとした歯ざわりになります。
また、冷水に浸けてもある程度変色は防げます。酢水には浸けずに加熱すると、もちもち、ホクホクした食感が残るので、煮物などの場合に向いています。蓮根は切り方や加熱方法でいろいろな食感が楽しめますね。
シャキシャキ仕上げたいサラダやきんぴらは薄く輪切りに、ホクホク仕上げたい煮物は乱切りなどにしてゆっくり加熱すると良いでしょう。

シャキシャキ仕上げたいサラダやきんぴらは薄く輪切りに、ホクホク仕上げたい煮物は乱切りなどにしてゆっくり加熱すると良いでしょう。
すりおろすとトロッとした食感になり、料理のとろみづけにもなります。すりおろしの水分を切ると、もっちりした食感にも。
蓮根は切り方や加熱方法でいろいろな食感が楽しめる野菜ですね。
〈旬の食材Pick up②銀杏〉

銀杏は銀杏(いちょう)の樹になる実の中のさらに殻に包まれた胚乳種の部分です。
イチョウは“活きた化石”と言われるほど大昔からある樹木で、雄の木と雌の木があり、実がなるのは雌の木だけです。
イチョウの雄と雌を見分けたい時には、落葉を見ましょう。雄はズボン型と呼ばれており、葉の先が2つに分かれています。一方の雌はスカート型といわれ、葉先が丸みを帯びています。

実がなる雌の木の落葉の下に銀杏の実が隠れていることが多いので、葉をチェックしてメスの木を探してみると見つかりますよ。
実は黄色いさくらんぼのような形をしていますが、非常に臭いが強く、果肉は食用にはなりません。

拾った銀杏はそのまま食べることはできないので、以下のような下処理を行います。 ①大きめのボウルやバケツに水を入れ、銀杏を浸してからラップなどを被せる。(臭い拡散防止) ②①を2~3日置き、銀杏の実をふやかす。 ③②をザルにあげ、表面の皮をこすり落とす。(袋などに入れて足で軽く踏む) ④皮を取り除いた銀杏の種子を、天日干しにして2~3日乾かす。 果肉を直接触るとかぶれてしまうことがあるので、ゴム手袋をして作業しましょう。
銀杏は、葉が黄色く色づく10月から11月が旬とされており、これは紅葉が美しい時期より少し早い季節です。つまり地域によって、銀杏拾いに適した時期は異なるのです。

9月下旬から10月上旬に出回る新鮮な銀杏は綺麗な緑色をしていて、臭いもきつくなく、モチモチとしています。
時間が経つにつれて黄色くなり、臭いも強くなっていきます。
ところで、なぜ銀杏は臭いと感じるのでしょう?
人間にとっては不快な臭いですが、銀杏の臭いは動物を引きつけるためのものといわれています。
銀杏のなるイチョウの木は恐竜のいた遥か昔の時代から存在していました。
実は恐竜は銀杏の強い臭いを好んでいたとされ、恐竜が銀杏の実を食べて移動をし、フンをすることで様々な場所で繁殖するのが目的だったようです。
銀杏の臭いは皮に含まれる、エナント酸と酪酸という成分が原因です。、酪酸は、人間の皮脂と同じ臭いと同じ成分で、混ざり合うことでとても強い臭いを発生させます。
銀杏は繁殖のために臭いを出しているのですが、どの生物にも好まれる臭いだと全て食べられて繁殖が出来なくなってしまうのを防ぐため、人間だけでなく、哺乳類には苦手な臭い担っているのだとか。 ここにも植物の進化の凄さが垣間見れましたね。
それにしても、苦手な臭いであろうとなんであろうと、採取して食してしまう人間は探求心が強すぎるくらいに感じませんか。w
銀杏は、中国や日本では、古くから薬として民間療法でも活躍していたそうです。
漢方では、気管支炎や下痢、高血圧の症状改善を目的に利用されているようです。
糖質が多く、β-カロテンやビタミンCを豊富に含み、免疫力の増強が期待できるため、季節の変わり目で風邪をひきやすい秋から冬に最適ですね。
カロテンやビタミンCは抗酸化作用があり、体内の酸化を予防してくれます。
また、カリウムをはじめ、マグネシウムやリン、鉄など、骨を作るのに欠かせないミネラルも含んでいます。
カリウムは、体内にたまった老廃物や余分なナトリウムを体外へ排出する働きなどがあります。
ですが、食べ過ぎには要注意です。
杏に含まれる「ギンコトキシン(メチルピリドキシン)」という物質が影響し、食べ過ぎると、頭痛や下痢、めまいや嘔吐、ひどいと痙攣などの症状が起こることがあるそうです。
銀杏を食べる量は、小さなお子さんは5粒以下、大人でも10~15粒くらいまでが目安だそうですよ。
銀杏を店頭にて選ぶ際は、色が白く表面が滑らかで艶がある物を選びます。
しっかりと実が詰まっていて大きなものがいいです。振ってみてコロコロ音がするようなものは避けてましょう。
保存は、紙袋か新聞などに包んで冷蔵庫へ。
キッチンペーパーなどを軽く濡らし、殻についた汚れをとっておきましょう。
密閉してしまうとカビが生えやすくなるので気をつけましょう。
冷蔵保存でも、だんだんと中の実の色が黄色く変色してくるので、きれいな青い状態で食べる場合は2週間以内が目安です。
長期保存したい場合は、汚れをとった殻付きのものをジッパー付き保存袋などに入れて冷凍すれば、3ヶ月ほど保存可能です。
また、殻から取り出した実を塩茹でして薄皮をむき、粗熱をとってから冷凍保存するのもよいでしょう。 冷凍する場合は急速冷凍すると風味が保てます。金属製のバットの上に銀杏の入ったジッパー付き保存袋を置いて冷凍庫に入れましょう。
銀杏を冷凍しても互いにくっつきにくいので、食べる分だけを取り出して解凍することができます。
銀杏の下処理は、殻ごと乾煎りして中身を出す方法と、殻を割ってから茹でる方法があります。
殻を割ったらぬるま湯の中で優しくこすると薄皮がめくれます。
ここで、そのままおつまみとして食べられる簡単な方法をご紹介しますね。
まず金槌か銀杏割り器などを使って殻にひびを入れてから、茶封筒などに入れて塩をふり入れます。
それを電子レンジで1分〜1分半ほど加熱します。
はじける音がし始めたら取り出して、封筒を振って塩とまぶします。
袋から出して殻を割って実を取り出せば、そのまま食べられます。
新鮮な銀杏はもちもちしていてとても美味しいですよね。

銀杏は匂いが強く、人間とアライグマしか食べないなどといわれているそうですが、匂いと戦い手間をかけてでも食べたい秋の味覚です。w
旬の時期に、自ら拾って手間暇かけて、食卓に並べてみるのも季節を身近に感じるいい時間かもしれませんね。
〈旬の食材Pick up③柿(干し柿)〉*干し柿のレシピ

柿は中国や日本など東アジアが原産と言われています。
古くから日本で多くの品種が生まれ、「kaki」として、アジアやヨーロッパでも名前が通用しているほど、国内外問わず人気のある日本を代表する果物といえます。
柿は早いものは8月中旬頃から収穫が始まり、富有柿などは11月から本格的な収穫期に入ります。
最も沢山の種類が店頭に並び、出盛りとなる旬の時期は10月から11月といわれています。
柿は"甘柿"と"渋柿"に分けられ、中には"不完全甘柿"といわれるものもあります。
不完全甘柿とは種子が入ると渋が抜けて甘くなり、種子が入らないと渋が残る柿のことをいうそうです。
柿の品種は1000種近くあると言われていますが、甘柿の種類はその中で20種類足らずです。
甘柿の代表は「富有柿」。甘柿生産量の約80%を占めています。

甘柿と渋柿との違いは、渋味の原因であるシブオール(タンニン)の状態にあります。
よく実の中にゴマといわれる黒い斑点が見られますが、これはシブオールが固まったものだそうです。
どちらも同じくらい含まれていますが、甘柿の場合は水に溶けない状態(不溶性タンニン)になっています。
一方渋柿は、このシブオールが水に溶けた状態(水溶性タンニン)のまま残っているため、食べると口の中で渋味を感じます。
渋柿は収穫の後、「渋抜き」といわれる工程を経て市場に出すということになります。
渋柿の脱渋方法をいくつかご紹介します。
1.温泉処理
古くから伝わる方法で、約40℃の温湯に12~24時間浸けます。
鹿児島県紫尾(しび)温泉などでは温泉に一晩浸して脱渋された柿を「あおし柿」と呼ばれています。
2.アルコール脱渋
柿のヘタの部分を焼酎など30~40%のアルコールにつけ、ビニールの中に入れ1週間程密封しておきます。
3.炭酸ガス脱渋・ドライアイス法
果実温度を20~25℃に保ち、90%濃度の炭酸ガス内に24時間密封します。
ドライアイスを用いて炭酸ガスを発生させる方法が通常よく使われているようです。
柿には栄養が豊富に含まれており、「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほど栄養価が高く健康食品として非常に優れているといわれています。
どの品種にもペクチン、βカロテンをはじめβ-クリプトキサンチン、ゼアキサンチン、リコピンなどのカロテノイド、ビタミンCを多く含みます。食物繊維も豊富です。
ビタミンCは、なんと、みかんやいよかんなどの柑橘類の約2倍も含まれているのだそうです。
大きめの柿1個で1日分のビタミンCの必要量をほぼ摂取することができるといわれていて、疲労回復、かぜの予防、ガン予防、老化防止に効果が期待できますね。
ビタミンCとタンニンには血液中のアルコール分を外へ排出する働きや副腎機能低下を防止する働きがあるそうです。また、酵素(カタラーゼ、ペルオキシダーゼ)がアルコールの酸化、分解を促すなど、二日酔いの防止もによさそうです。
ただし食べすぎると、体を冷やしたり、消化不良、便秘などの症状があらわれることもあるそうなので注意しましょう。
店頭にて選ぶ際は、実はかためで皮の色とつやが良く張りのあるもの、ヘたが緑色でしっかりついているものを選びましょう。
白く粉を吹いたようになっているものはブルームと言い、ブドウなどでも見られるように完熟した果実によく見られる自然現象です。
渋抜きの工程を経た柿は、その後もエチレンガスを出しながら熟してどんどん柔らかくなっていくので、買ったら早めに食べましょう。
でも、すぐには食べられない!という方に。
柿をシャキシャキした食感のまま保存する方法をご紹介します。
柿はヘタの部分で呼吸し、ここから水分が蒸発していくので、保存する時に水を含ませたキッチンペーパーなどをヘタの部分に当てます。
ヘタが下になるようにして袋などに入れて冷蔵庫に入れておくと2〜3週間くらいはシャキシャキした状態のまま保存することができるそうです。
さらに長期保存する場合は冷凍保存もできますので、その方法をいくつかご紹介します。
1.柿を丸のまま冷凍
熟しすぎたものは、冷凍するとシャーベットのようになり美味しくいただけます。
皮もヘタも付いたまま凍らせ、食べる時は半解凍して、ヘタが付いている上の部分を蓋の様に少し切って、スプーンなどですくって食べます。
2.柿を食べるサイズに串切りなどにして冷凍
解凍して食べやすいように、皮を剥き、種も取り除き串切りなどにしてラップを敷いたバットなどに重ならないように並べて冷凍します。凍ったら密封容器やジッパー付き保存袋などに入れて再度冷凍保存します。
食べたい分だけちょっとずつ取り出しやすく、種も取ってあるので、そのままスムージーなどに使うこともできます。
3.柿をピューレにして冷凍
皮を剥いて種を取り除いてからミキサーなどにかけ、ピューレ状にして冷凍する方法です。
ジッパー付き保存袋などに入れて、空気を抜き平たく板状にした状態で凍らせます。
いろいろな保存方法がありますが、柿の状態や食べ方などにより、お好みの方法でぜひお試しください。
干して保存する方法(干し柿づくり)は、次の【旬の食材レシピ】でご紹介します。
【旬の食材レシピ】
今回は「柿」の保存食「干し柿」のおうちでできるつくり方と、ノブさんおすすめの干し柿のアレンジレシピをご紹介します。
秋がだんだんと深まり、柿がおいしい季節になりましたね。
そのまま食べるのもいいですが、干し柿にするとまた違った美味しさになり、それを長い間楽しむことができます。それだけでなく、栄養価や甘みが増し、さらにお料理やスイーツとして活用することもできますよ♪
干し柿づくりに最適な低い気温と湿度が少ないこの時期に、ぜひつくっていろいろな食べ方を楽しんでみませんか。

【柿のレシピ】
⚫︎おうちでできる干し柿
⚫︎柿の皮茶
⚫︎干し柿のクリームチーズサンド
⚫︎干し柿入りなます
⚫︎干し柿と小松菜の白和え
【柿の保存食♪】
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おうちでできる干し柿
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干し柿というと、秋の田舎の風物詩というイメージがありますが、ご家庭の軒下やベランダなどでも手軽につくれるんです。スペースに合わせて少量でもつくれますので、季節の手仕事として秋を楽しんでみませんか。
渋柿は干すことによって、渋味の素となるタンニンが水溶性から不溶性に変わります。
そうすると、食べた時に口の中でタンニンが溶け出ないので渋味を感じなくなるのだそう。
渋柿はもともと甘柿よりも糖度が高いので、渋味を感じなければとっても甘く感じることができるというわけです。干し柿にして渋を抜く方法を見つけ、保存食にしたという素晴らしき先人の知恵!ですね。


《材 料》柿の数は何個でも。つくりやすい量でどうぞ。
・渋柿(枝はT字に残します)・・・ 20個くらい(お好みの量で)
・ヒモ・・・ 80cmくらい×4本(20個の場合/1本に5個ずつ吊るします)
《つくり方》
①ハサミで柿のガクを切り取ります。ヘタの周りの皮をギリギリまで剥くので、浮いているヘタはできるだけ切り取ってください。
②柿の皮を剥きます。細長い形の柿はピーラーで先の方からヘタに向かって縦に、平たい形の柿はくるくるとリンゴのように剥きます。ヘタの周りは包丁の方が剥きやすいです。
包丁を使う場合は、鋼の包丁だと鉄と柿のタンニンが反応して黒くなってしまうので、ステンレス製のものがよいです。
柿の皮は捨てずにとっておきましょう。(*別途「柿の皮茶」レシピあります)

③柿の枝にヒモを結びます。粗く編んだ太いヒモの場合は割いて、またはヨリを開いて、間に枝を通して引っかけます(下記写真参照)。
干した時に柿同士がくっつかないように、柿と柿の間隔は10cmくらいあけて結びます。
今回は80cmくらいの長さのヒモに5個くらいずつにしました。

④雑菌の繁殖を防ぎカビにくくするために、柿をひとつずつ焼酎やブランデーなど度数の高いアルコールにくぐらせるか、沸騰したお湯の中に5秒間くらい浸けます。熱湯につけると柿の色が黒ずむのを抑える効果もあるそうです。

⑤風通しがよく、雨に濡れない場所(軒下や屋根のあるベランダなど)で天日干しします。
物干し竿や洗濯用ハンガーなどに、柿同士がくっつかないように間隔をあけて吊るします。
直射日光が当たりすぎると柿の表面が黒くなりやすいので気をつけてください。

⑥4〜5日ほどして、柿の外側が乾いてしんなりしてきたら、柿を指で押すようにして軽く揉みます。強く押しすぎると皮が破れたり傷がついたりてしまうのでやさしく丁寧に。
その後、2〜3日おきくらいに揉むとよいでしょう。
揉んでやわらかくすると、渋味が早く抜けて、甘みが全体にいきわたるといわれています。

⑦柿の種類や大きさ、干す環境にもよりますが、だいたい1〜2週間くらいで渋が抜けて食べられるようになります。
早めに引き上げるとあんぽ柿、1ヶ月くらい干すと固めの干し柿になります。
好みの具合になったら引き上げて、一つずつ枝をハサミで切ってヒモから外します。
⑧すぐに食べない場合は、一個ずつラップに包んでジッパー付き保存袋などに入れ、なるべく空気に触れないようにして冷蔵または冷凍保存します。
〈メモ〉
*冷凍すると、長く保存できるだけでなく、乾燥させずに熟成が進むため、さらに甘味が増して味わい深くなります。冷凍で1週間以上おくと美味しくなります。
糖度が高く冷凍してもカチカチにはならないので、常温で少し置いておけば食べられる状態になります。
*天日干しの際にカビを防止するには、風通しのよさが最も重要です。そして、湿気のない乾燥した日が続く時に干しましょう。雨の日は濡れない場所に取りこんでください。
*もし雨に濡れてしまった場合は、つくり方④ の工程を行ってから、また干します。
カビてしまった場合は、カビをていねいに取り除いてから④ の工程を行って干します。
*T字の枝がついていない柿の場合は、皮を剥いた後、ヘタを下にしてザルの上にのせて干すか、みかんネットなどに入れて吊るすとよいです(下記写真参照)。

〈食べ頃〉
柿の種類や大きさにもよりますが、干し始めて1〜2週間くらいで中がとろっとしたあんぽ柿ができます。
1ヶ月〜1ヶ月半くらい干すと水分の抜けた固めの干し柿になります。かたさはお好みで。
〈保存〉
常温(風通しのよい冷暗所)では、ラップやキッチンペーパーに包んで5日間くらいが目安。
あんぽ柿は常温保存は不向きなので、すぐに冷蔵庫か冷凍庫へ。
冷蔵の場合は、一個ずつラップに包んでジッパー付き保存袋などに入れて約1ヶ月保存可。
冷凍の場合は、約3ヶ月保存可。自然解凍して食べます。
・酢の物、なます、サラダ、和え物、白和え、野菜と塩漬け。
・衣をつけて天ぷらにしても美味しい。
・ラム酒漬け、ブランデー漬け、シロップ漬け、ジャム、紅茶煮、などに。
・細かく刻んでパンや焼き菓子、アイスやヨーグルトに入れる。
・きな粉、シナモンパウダー、バター、メイプルシロップなどをかけてアレンジ。
・チーズとの相性が良いので合わせて、チーズケーキ、チーズパイ、チーズ和え、ディップなど。
【柿の皮は捨てないで! 】
―――――
柿の皮茶
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柿の皮にも実と同じくビタミンCやビタミンAがたっぷりで、乾燥により甘みと旨みが凝縮されます。
柿を剥いたあとの皮は捨てずに乾燥させてお茶にして飲みましょう♪
ほんのり甘い緑茶のような味わいです。

《材 料》
・柿の皮・・・ 適量
・お湯・・・ 適量
《つくり方》
①干し柿を作る際に剥いた皮は、とっておきます。
柿の皮を干し網などに入れるかザルに広げて、干し柿と一緒に天日干しします。

②皮の水分が完全に抜けてカラカラに乾燥したら引き上げます。
オーブンやレンジ、ノンフライヤーを使っても。
オーブンを使う場合は、110度で90分くらいカリカリになるまで焼きます。
③乾燥した柿の皮をミルなどで粉砕します。
④柿の皮の粉末を大さじ1カップに入れて、お湯を150ml注いでかき混ぜます。
〈メモ〉
*乾燥させた柿の皮はほんのり甘く、長く保存ができ、いろいろな使い方ができます。
そのままポリポリとチップスとして食べてもいいし、煮物や漬け物を作るときに加えると、柿そのものの甘みでとても美味しく仕上がります。
*粉砕したものは、ヨーグルトなどのトッピングやドレッシングなどに使えます。柿の風味が残り甘みがあるので、パン生地に練り込んだり、パウンドケーキやクッキーの生地に入れてもいいですね。
*柿の皮を乾燥させずに食べる場合は、天ぷらやきんぴらにすると美味しくいただけます。
〈保存〉
湿度の高い場所を避けて常温で保存。風味を保つには1ヶ月間くらいを目安に使いきりましょう。
【干し柿を使って①♪】
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干し柿のクリームチーズサンド
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意外な組み合わせのように思いますが、干し柿の甘さとクリームチーズの酸味と塩気が絶妙のバランスで相性が良いのなのです。
口いっぱいに広がる濃厚な美味しさは、おやつやお茶請けにはもちろん、オードブル、ワインやシャンパンやビールのおつまみにもおすすめです♪

《材料》つくりやすい分量
・干し柿・・・ 4個
・クリームチーズ・・・ 60g
・ローストしたクルミ・・・20g
・シナモンパウダー・・・小さじ1/2
・ローストしたアーモンド(トッピング)・・・適量
・ローストしたかぼちゃのタネ(トッピング)・・・ 4個
《作り方》
①干し柿はヘタを切り落とし、真ん中に縦に切れ目を入れて種を全て取り除きます。
ローストしたクルミ、アーモンドは細かく刻みます。
クリームチーズは常温に戻しておきます。
②ボウルにクリームチーズ、刻んだクルミ、シナモンパウダーを入れて混ぜ合わせます。
③干し柿の切れ目に②を詰めてサンドし、刻んだアーモンドとかぼちゃのタネをトッピングします。
④冷蔵庫で30分ほど寝かせます。
丸ごと食べてもいいですし、よく切れる包丁で丁寧に輪切りにして食べてもいいです。
〈メモ〉
*冷蔵庫で冷たくしても、オーブントースターでクリームチーズが溶けるくらいまで2分ほど加熱しても、どちらの食べ方も美味しいです。
*ナッツやシナモンを加えずにクリームチーズだけでもよいです。
*クリームチーズの代わりにブルーチーズにすると大人の味になります。
【【干し柿を使って②♪】
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干し柿入りなます
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大根とにんじんでつくる彩りが鮮やかな紅白なます。干し柿を加えると、やさしい甘みで酸味がまろやかな味わいに。柚子皮を添えて、お正月のおせちやおもてなし料理としていかがですか。

《材料》つくりやすい分量
・干し柿・・・1個 ・大根・・・1/4本(150g)
・にんじん・・・1/4 本(30g)
・塩・・・小さじ1/2
〔合わせ酢〕
・酢・・・大さじ1・1/2
・みりん・・・大さじ1・1/2
・砂糖・・・小さじ1
・塩・・・小さじ1/2
・ゆずの皮・・・適量
《作り方》
①大根、にんじんは長さ3~4cmに切って皮をむき、繊維に沿って細切りにします。
ボールに大根、にんじんを入れ、塩をふってかるく全体を混ぜ10分ほどおく。
しんなりしたら水で塩をサッと洗い落とし、水けをしっかりと絞る。
②干し柿はへたと種を除いて細切りにする。
③ボールに合わせ酢の材料を入れて混ぜ、大根、にんじん、干し柿を加えて和えます。
冷蔵庫で2〜3時間ほどおいて味をなじませます。
④器に盛り、細切りしたゆずの皮を添えます。
【干し柿を使って③♪】
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干し柿と小松菜の白和え
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お馴染みの豆腐を使った白和えですが、干し柿を加えると甘みと深みがプラスされた風味になります。
季節感が加わり、上品な味わいに。

《材料》つくりやすい分量
・干し柿・・・1個
・小松菜・・・100g ・絹ごし豆腐・・・70g
・白ごまペースト・・・小さじ2
・煮切ったみりん・・・小さじ1
・薄口醤油・・・小さじ1/2
・塩・・・少々
《作り方》
①干し柿は1.5cm角に切ります。
小松菜は蒸して3cm長さに切り、水けをしっかりと絞ります。
絹ごし豆腐はキッチンペーパーで包み、軽適度な重しを載せて
冷蔵庫で1時間ぐらいしっかり水切りをしておきます。
②水切りした豆腐をすり鉢に入れ滑らかになるまでよくすります。
またはフードプロセッサーで滑らかにします。
練りごま、塩、みりん、薄口しょうゆを加えてよく混ぜ合わせます。
③干し柿、小松菜を加えて和えます。塩で味を整えます。
〈メモ〉
*あんぽ柿を使うと柿の色味がきれいですが、白和え全体の色味も変わってしまいますので、食べる直前で和えるとよいです。
*豆腐と調味料類を同時にフードプロセッサーで混ぜてもOKです。
*小松菜の代わりに、茹でたほうれん草、人参や蓮根、春菊、クレソンなどでも美味しいです。
*白ごまペーストの代わりに、ピーナッツバター(有糖の場合はみりんを控えてください)、すり潰した松の実やくるみなどを使うなどバリエーションを広げてみてくださいね。
*・・*・・*・・*・・*
干し柿作りは、日々の暮らしに季節感と穏やかな時間を与えてくれます。
そして自分好みの柔らかさの干し柿が作れるのも嬉しいですね。
干してある柿の具合を確認をする際に、味見がてらその場でヒモから外して一つ食べるのが、楽しみの一つでもあります♪
干し柿の甘みと旨みを活かしたアレンジ料理も、ぜひぜひお試しくださいね〜。