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【ことごと綴り】第14回《冬至》12月22日(~1月4日頃まで)
今回は「冬至(とうじ)」のことごとを綴ってみたいと思います。

《二十四節気》のひとつ冬至(とうじ)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の4番目の節気となります。
冬至とは、北半球において日の出から日の入りまでの時間がもっとも短く、夜が一番長くなる日のことです。
夏至の日と比べると、北海道の根室で約6時間半、東京で約4時間40分もの差があるのです。
そして、寒さは厳しさを増す頃となります。
冬至は太陽の力が一番弱まる日ですが、この日を境に日脚が伸びていくので「この日から再び力が甦ってくる」=「太陽が生まれ変わる日」ととらえ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われていました。

冬至の別名は「一陽来復(いちようらいふく)の日」。
この日を境に運が向くとされています。つまり、みんなが上昇運に転じる日なのですね。
また、悪いことが続いた後に、ようやく幸運に向かうことの例えとしても使われます。
健やかな体と心で冬至を迎えて、運が向く日を迎えましょう。
【大雪の七十二候】
乃東(なつかれくさ)が芽を出し始める頃。
乃東とは、冬に芽を出して夏に枯れる「夏枯草 (かこそう)」の古名で、紫色の花を咲かせる「靫草 (うつぼくさ)」の漢方名でもあります。
冬至は、最も太陽の力が弱まり、生命の源ともいえる太陽の恵みを享受しにくいことから、人間の魂は一時的に仮死するとされたと言われています。
そんな中で新しい命を芽吹き始める靫草は、先人たちの心に希望を与えてくれる存在だったのかもしれませんね。
オス鹿の角が落ち、降り積もる雪の下で麦が芽を出す頃です。
麦は寒さにも強く、辺り一面が雪に覆われていても、その下ではひっそりと芽吹き、暖かい春をじっと待っています。
先人たちは、そんな様子に思いを馳せたのでしょう。
冬至の《七十二候》は以下です。
初候:乃東生(なつかれくさしょうず) 12月22日〜12月26日頃
次候:麋角解(さわしかのつのおつる) 12月27日〜12月31日頃
末候:雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる) 1月1日〜1月4日頃
(※七十二候の詳細はこちらをご覧ください。)
【旬の食材】
〈旬の食材Pick up①かぼちゃ〉

冬至の食べ物といえば代表格はかぼちゃですね。
なぜ冬至にはかぼちゃなのかご存知ですか?
かぼちゃは寒い冬に、ほくほくと身体が温まる料理に使われているイメージがありますが、原産地は中南米で、もともと暑い国の野菜なのです。
でも、かぼちゃは夏から秋に収穫されても、切ることさえしなければ、風通しのいい涼しい所で2~3カ月保存が可能です。
収穫時はでんぷんが多く、時間と共に熟成し、糖分に変わるのだそうです。ヘタの部分がコルク状乾いてひびが入っている位のものが美味しいものになります。
かぼちゃは体内でビタミンAに変わるカロテンや、ビタミンB1、B2、C、E、食物繊維をたっぷり含んだ緑黄色野菜。
水溶性の他不溶性食物繊維が多く、便秘の予防や改善に役立ちます。
β―カロテンは、抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られていますが、その他にも髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。
という訳で、新鮮な野菜が少なくなる冬を乗り切るために、冬至という節目の日にかぼちゃを味わって栄養補給をしよう!という先人たちの知恵とされてきたのです。
現在は、真冬でもハウス栽培や海外からの輸入などにより、豊富に野菜を食べることができますし、かぼちゃも旬の状態で食べることができるのですが、こうして現代まで風習として残っているということです。
風習には、きちんとした先人たちの暮らしが詰まっていますね。
店頭にて選ぶ際は、軸が太く、切り口がよく乾燥してコルク状になっている物、そして軸の周りがへこんでいるものを選びます。
手に持った時にずっしりと重みを感じるもの、皮が固く爪を立ててもへこまないようなものがいいでしょう。
カットされている物は、果肉の色が濃いオレンジ色をしていて、肉厚な物、また、種がしっかりと熟して膨らんでいるものを選びます。種がペッタンコのものは未熟なうちに収穫された物で、甘味やホクホク感が足りないはずです。
まるごと置いておく場合は非常に保存性が高いので、なるべく涼しい風通しの良いところに置いておくだけで2カ月くらいは大丈夫です。
カットした物は、中のワタの部分から傷み始めるので、スプーンなどでワタと種を掻きとり、それからラップなどでピッタリと包んで冷蔵庫に入れておきましょう。1週間ほどは大丈夫です。
冷凍する場合は、種とワタを取り除き、煮物用なら面取りまで、汁物用などであれば適度な厚さにスライスしてからバットなどに並べ冷凍します。
凍ってから保存袋などに移して冷凍しておきます。
使う時は、解凍せず凍ったまま調理するのがポイントです。
解凍してしまうと水分が流れ出してしまい、煮崩れもしやすくなってしまうからです。
煮物の場合は、必ず沸騰してから投入します。
これは、冷凍する事によってかぼちゃの組織が既に崩れてしまっているので、煮崩れを防ぎ、かぼちゃから水分が出てしまって柔らかくなりすぎないようにするためです。
〈旬の食材Pick up②ブロッコリー〉

ブロッコリーはケールが祖先にあたるアブラナ科アブラナ属の植物で花芽を食べる野菜です。
1年をとおしてスーパーに並ぶなど、年中楽しめるブロッコリーですが、実は夏に種をまき晩秋から春先にかけて収穫されているものが旬。
おいしい旬の時期は11月から3月にかけての寒い時期なんです。
ブロッコリーは凍らないように、糖度を上げて身を守るため、寒い時期にグンと甘味が増しておいしくなります。
色鮮やかでトマトの隣に飾られることも多いため、なんとなく夏野菜と思われがちですが、実は寒い季節に旬を迎える野菜なのです。
今は、夏は北海道で収穫するなど、産地リレーをしているため、1年中おいしいブロッコリーが食べられるんですね。
ブロッコリーは非常に栄養価の高い食材として知られています。
特に豊富なのがビタミン類。
ビタミンCが非常に豊富で、gあたりでみるとレモンより多いのだそうです。
疲労回復、かぜの予防、ガン予防、老化防止に効果があるといわれています。
葉酸もたくさん含まれています。
葉酸はDNAの合成や調整に深く関わっており、正常な細胞の増殖を助ける働きがあります。
妊娠前後の女性にとっては、胎児の成長に大量に必要とされるので、普段の必要量の約1.7倍摂取する必要があると言われています。
また、葉酸が不足すると舌炎や精神神経異常が起こるそうです。
ブロッコリーは、緑色が鮮やかなものが新鮮な証拠です。
軸の切り口でも確かめ、切り口がみずみずしく新しいかどうか、変色していないか、スが入ったように空洞ができていないかなどを確認してください。
また、全体的にきっちりと詰まっているものを選びます。
房と房に隙間ができているようなものや、蕾が大きく粗く感じるもの、柔らかい物などは避けてください。
つぼみが小さく、粒が揃っており、きっちりと詰まっているものがおすすめ。
保存はビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に立てておきましょう。
ブロッコリーはあまり日持ちしないので、目安として5日以内に食べ切るようにしましょう。
買ってきたら早めに茹でて保存しておくのもいいでしょう。
少し固めに塩茹でして、水気を十分に切りキッチンペーパーを敷いたタッパーに入れて冷蔵庫に入れておきます。
そうすれば使いたい時に、すぐに使えて便利です。早めに使いきれない時は、小分けにして硬めに茹でてから冷凍しておくといいですよ。
ブロッコリーをゆでる場合、水に対して2%の塩を入れた熱湯でゆで、あげたらそのまま水気を切って冷ますほうがいいです。冷水にさらす事もありますが、やや水っぽくなり、ビタミンの流出は避けられません。
ビタミンCに限っていえば、可食部100gあたり、ゆでた場合のビタミンC含有量は55mgに対して、レンジで加熱した場合は140mgと、約2.5倍もレンジで加熱した方が多く摂れるそうですよ。
なので、栄養を多く摂りたい人は、レンジで加熱ブロッコリーをおすすめします。
電子レンジでブロッコリーをおいしく加熱する方法を伝授!
まず、房を均等な大きさに分け、ポリ袋に入れます。
耐熱皿にのせ、ポリ袋(電子レンジでの加熱が可能なもの)の口は結ばずに、軽く折るか、ねじるだけにします。
これで600Wの電子レンジで2分加熱すればOK。
レンジの性質やブロッコリーの大きさによって、加熱時間は調整してくださいね。
さらにキレイに仕上げたい場合は、加熱後、氷水を入れたボウルにそのままポリ袋ごと入れて冷やすと、色を止めることができ、鮮やかな緑色に仕上がります。
こうするとビタミンも流出しませんし、ブロッコリーが水っぽくなりませんよ。
〈旬の食材Pick up③金柑〉

金柑の栽培は主に「温室」と「ハウス」、それに「露地」の3つの栽培スタイルがあります。
温室栽培の物が早ければ11月末頃から収穫が始まります。露地物は1月から3月にかけて収穫されます。
最も美味しく、沢山出回る旬の時期は1月中旬から3月上旬までとなります。
金柑は柑橘属ではなく「金柑属」の仲間で、ミカンなどと異なり皮ごと食べられる果物です。
柑橘類の皮の部分などに多く含まれるヘスペリジンは、これまで様々な研究から健康維持に役立つ効果があるとされています。
具体的には毛細血管の強化や血中コレステロール値の改善効果、血流改善効果、抗アレルギー作用、発ガン抑制作用など。
皮ごと食べる金柑はこのヘスペリジンを摂取しやすい果物だといえます。
また、ビタミンC、ビタミンE、などが多く含まれ、昔から風邪の予防や、咳止めやのどの痛みを抑える民間薬として親しまれてきました。
店頭にて選ぶ際には、色が少し紅色を帯びた濃い色で艶があり、粒が大きく、表面に張りがあって重みを感じるものを選びます。また、へたの部分が茶色っぽくなっていなく新鮮なものかどうか確かめます。
冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しないようポリの袋などに入れるようにしてください。基本的には2週間程度日持ちしますが、なるべく早く使うようにしましょう。
【旬の食材レシピ】
さて、今回ご紹介する、ノブさんおすすめの旬の食材を使ったレシピは、
「金柑」の保存食と、そのアレンジメニューです!
皮がやわらかく丸ごと生で食べられる金柑。
そのままでもおいしいですが、金柑の甘くさわやかな香り、皮のほのかな苦みと果肉の甘酸っぱい風味、ジューシーさを生かしつつ、長く味わえるよう、少しだけ手間をかけて保存食にしてみませんか?
加熱調理をしたり、甘さを足したりすることで、素材の風味を引き立てることができます。
フレッシュの味わいとはまた違う、金柑の凝縮された美味しさを楽しめますよ!

〔金柑の保存食とアレンジレシピ〕
①金柑の甘露煮
→金柑と小豆のガトーショコラ風ケーキ
②金柑の蜂蜜スパイス煮
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【金柑の保存食♪①】
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金柑の甘露煮
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つややかでぽってりとした金柑の甘露煮。
口に入れると、ジュワーっとやさしい甘みとほのかな苦みが広がり、果肉がとろけます。
小さな粒に美味しさが凝縮しているので、一粒でも十分な満足感!
金柑をそのまま丸ごと煮るレシピもありますが、ここでは、種をていねいに取り除いてから調理します。
この一手間で、食べやすくなり、口にした時のおいしさが違いますよ。
金柑は「金冠」と掛けられ、黄金のような色味でもあることから、豊かに栄える様にと願う縁起の良い食べ物として、おせち料理にも入っています。
金柑の甘露煮は、おせち料理にはもちろん、お茶請けや焼き魚のあしらいものなどにもおすすめです。


《材料》つくりやすい分量(500ml容量の保存びん1本分)
・金柑:200g(中サイズ15個くらい)
・水(下茹で用):適量
〈A〉水:200ml
〈A〉砂糖:60g
〈A〉みりん:30g
・醤油:小さじ1/4
《つくり方》
①金柑を下処理します。
きんかんは洗ってヘタを取ります。きんかんの上下の幅を少し残して縦に等間隔で4〜6箇所ぐるっと一周切り込みを入れます。
*竹串や針で細かい穴を開ける方法もありますが、切り込みを入れるとより味のしみ込みがよくなり、種を取り出しやすくなります。

切り込みを入れた金柑の上下を少しギュッと押して中身が見えるようにして竹串などで種を取り出します。
*金柑の中央部に種があり、竹串をさすと硬いものに当たるのでわかります。多少種が残っていても、食べる時に気づくので大丈夫です。