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  • 執筆者の写真morinone

【ことごと綴り】第17回《立春》2月4日(~2月18日頃まで)

今回は「立春(りっしゅん)」のことごとを綴ってみたいと思います。



春の節気、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の最初の節気でもあり、二十四節気の1年の始まりでもあります。

長かった冬が明けて、日もだんだんと長くなり、初めて春の兆しが表れてくる頃です。

草木が芽吹き、花が咲き、多くの動物たちが活動を始める、命の躍動を感じる季節。

春を迎えた喜びと年が明けた晴れやかさに、最も華やいだ時季だったことでしょう。



この立春から始まる新しい年に初めて汲む水を「若水(わかみず)」といって、健康や豊作、幸福を招く水とされています。

まず神棚にお供えをして、それから食事の仕度や洗顔に使います。

この若水でいれるお茶を「福茶(ふくちゃ)」といいます。煎茶やほうじ茶に、結び昆布や小梅などを入れていただきます。

3日の朝、じっくりと沸かしたお湯でお茶をいれてみてはいかがでしょうか。



【立春の七十二候】


暖かい春の風が川や湖の氷を解かし始め、水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ね、春の到来を告げる鴬が山里で美しい鳴き声で鳴き出す頃です。


七十二候では、この季節から新年が始まります。

旧暦の2月8日は「事始め」と呼ばれ、一年の祭事、農事を始める日でした。

何か新しいことに着手することも「事始め」。

春に向けて新たにチャレンジし始めるきっかけにするのもいいですね。




立春の《七十二候》は以下です。


初候:東風解凍(はるかぜこおりをとく) 2月3日〜2月8日頃


次候:黄鴬睍睆(うぐいすなく) 2月9日〜2月13日頃


末候:魚上氷(うおこおりをいずる) 2月14日〜2月18日頃



(※七十二候の詳細はこちらをご覧ください。)




【旬の食材】


〈旬の食材Pick up①さやえんどう〉


えんどう豆を若採りし、さやごと食べるのがさやえんどうで、絹さや、さとうざや等の種類があります。

ちなみに、えんどう豆の仲間のうち、若い実を食べるものがグリーンピースで、さやと実を食べるのがスナップエンドウ、えんどう豆の若芽をつるごと収穫したものが豆苗ということはご存知でしたか?


全国で栽培され、ハウス栽培もあるので一年中出回っていますが、どの品種も暑さには弱く、旬は春から初夏までです。

フレッシュのグリーンピースはほとんどが露地物になるため流通も旬の時期に限られています。

関東以南では冬に種をまき春に収穫が始まります。

冬の寒さが厳しい北海道や東北では主に春先にまき初夏から夏にかけて収穫されています。


さやのまま食べるので、豆ではなく、カロテンを沢山摂取できる緑黄色野菜です。


栄養価もとても高く、カロテン、ビタミンC、食物繊維が豊富です。 豆部分にはビタミンB1やたんぱく質、必須アミノ酸のリジンも含まれています。


さやが鮮やかな緑で全体にハリとツヤがあり、先のひげが白っぽくピンとしているものが新鮮です。

豆が目立たないくらい薄いものを選びましょう。豆がふくらんでいるものはもう硬くなっているかもしれません。


スナップエンドウの場合は豆が成長して大きくなっても美味しい品種なので、豆がきちんと端から端まで詰まっているもの、緑色が澄んでいるものがよいです。


鮮度が低下しやすいので、湿らせたペーパータオルなどで包んでからビニール袋に入れて野菜室に入れましょう。2~3日で使い切るようにするといいです。


冷凍する場合は、一度さっと塩茹でした物を小分けして冷凍します。

この時、よく水気をきり、それぞれが重ならないように広げて冷凍し、凍ってから密封袋などに入れて冷凍しておくと、使いたい時に必要な分だけを取り出しやすくなります。


下準備として筋を取る必要があります。

まず先の方の端をつまみ、反っている内側に向けて枝に付いていた方に向かって引っ張るようにちぎると筋が付いてくるように取れます。

次に枝に付いていた方の端をつまみ、指先でちぎるようにして反対側の反っている外側に向かって先の方まで引っ張ると筋が取れます。

柔らかいものだと、内側しか筋が取れないものもあります。


下茹では塩を加えて沸騰している湯の中に入れ、1分程度であげ、冷水にとり一気に熱を取って色止めします。

熱が取れたら浸けっぱなしにせずすぐにあげて水気をきります。


炒め物などで加熱しすぎると大切な食感が一気に落ちてしまいますのでご注意くださいね。





〈旬の食材Pick up②明日葉(あしたば)〉


明日葉は、セリ科シシウド属の多年草です。


葉と茎を食用にしていて、おもに若葉を食べます。

葉の部分はセリ科の野菜特有のさわやかな香りと、ほのかな苦味があるのが特徴です。

茎はあまりくせがなく、ゆでるとアスパラのような食感が楽しめます。


茎が緑色の「青茎」と、茶褐色の「赤茎」の2種類があります。赤茎のほうがやや苦味を感じるようです。

強い生命力と繁殖力がある植物で、今日に葉っぱを摘んでも明日にはもう若葉が出ていることから「あしたば(明日葉)」と名付けられました。


他にも、八丈草(ハチジョウソウ)、明日草(あしたぐさ)、明日穂(あしたぼ)などの別名があります。


房総半島、三浦半島、八丈島や大島など伊豆諸島、そして紀伊半島など暖かい太平洋沿岸部に自生している植物で、日本が原産とされています。

古くから食用にされてきており、青汁の原料としても有名ですね。

近年では、東京近郊でも栽培が進められています。


旬の時期は新芽が出てくる2月から5月頃で、3月頃に出荷のピークを迎えます。

その頃になると首都圏では東京都産のものが出回るようになります。

出荷されているものは青汁やサプリメントなど加工向けがほとんどで、スーパーなどではあまり見かけませんが、その時期には直売所などに並んでいることがあります。


茎を切ると、ネバネバした淡い黄色の汁がにじみ出てきますが、この黄色い色素の中に含まれているのがポリフェノールの一種である「カルコン」と「クマリン」で、抗菌・抗酸化作用をはじめさまざまな薬効があるそうです。


明日葉にはほうれん草やケール以上にβカロテンが非常に多く含まれています。

食物繊維はなんと、ほうれん草やケールのほぼ2倍もあるのだそうですよ!


店頭にて選ぶ際には、葉につやがあり色が濃いものを選びましょう。


旬のものでも茎が太いものや育ちすぎのものは、苦味を強く感じたり繊維が多くてスジっぽく感じたりする ことがありますので、細くてみずみずしいものが柔らかで食べやすいでしょう。


保存は、濡らしてかたくしぼったキッチンペーパーに包み、ポリ袋に入れます。

可能な限り立てた状態で冷蔵庫に入れて保存しましょう。保存期間の目安は5日程度です。


旬の明日葉を固めに茹でたものを使いやすいサイズにカットしてから、冷凍保存用袋に入れて冷凍庫で保存すればおよそ1ヶ月もちます。


少しクセのある味が特徴で、油との相性が良く、天ぷらや炒め物に適していて、食べた時にそのクセが爽やかな風味と感じて食べられます。


天ぷらは生のまま揚げますが、その他の調理をする時は、下ゆですることで苦味や香りがやわらぎます。


ゆでる時は、塩を加えた熱湯で茹でます。

太い茎の部分と葉の部分は火の通りが違うので分けて茹でるか、先に茎を沸騰している湯に1分ほど浸してから葉の部分を浸すようにします。


葉の部分はさっと熱湯にくぐらせるようにする程度にしておきましょう。

茹で上がったものはすぐに冷水にとり、一気に冷ましてから水気を軽く絞って使います。


下ゆでした明日葉は、炒め物やおひたし、和え物など、さまざまな料理に使えます。





〈旬の食材Pick up③檸檬〉


檸檬はミカン科ミカン属の柑橘で、インドが原産とされています。


別名クエン(枸櫞)とも呼ばれています、酸味の「クエン酸」という名称はこの檸檬から付けられたそうです。


店頭に並ぶほとんどが輸入のものですが、国産檸檬は広島県で全体の約半数以上が生産されています。そして広島に続き、愛媛、和歌山、熊本、佐賀と続きます。


国産のものは残留農薬や坊カビ剤など心配がなく、安心して使用でき、それだけに付加価値も高くなります。


年中スーパーで見かける檸檬ですが、国産檸檬の旬は冬です。

9月頃から収獲され始めますが、まだ青い状態なのでこの時期のものはグリーンレモンとも呼ばれます。

このグリーンレモンはもぎたてのフレッシュ感が味わえると人気です。


冬以降は黄色く色づき、12月下旬から3月頃までが檸檬の旬とされています。


檸檬の酸味の主な成分はクエン酸で、これには疲労回復、ストレス解消、免疫力向上、など様々な効果があるといわれています。


檸檬には果汁100gあたり50mg(全果だと100mg)ものビタミンCが含まれています。この量はちょうど大人が一日に必要なビタミンCの量にあたるので、毎日レモン果汁100ccを飲むといいということになります。


疲れた時にきゅっと絞ったドリンクや蜂蜜漬けにしたものを食べるといいですね。


店頭で選ぶときに重要視する点は弾力と重みです。

弾力がありずっしりと重いものは、水分が多く果汁が多い証拠です。

そして全体的にむらがなく黄色になっているものを選びます。


皮まで使いたい場合は、農薬を使用していない国産もレモンがおすすめです。

国産のものが手に入らず、皮も使いたい場合は、塩もみをしてこすりながら水洗いして使うとよいそうです。




【旬の食材レシピ】


今回ご紹介する、ノブさんおすすめの旬の食材を使ったレシピは、

「レモン」の保存食と、そのアレンジメニューです!


ぬか漬けや野菜の漬物など、日本では古くから乳酸菌の力を利用した保存食がありますが、今回は、食材を塩水に漬け込むだけで手軽に作れる「乳酸発酵漬け」を、旬のレモンとの組み合わせでご紹介します。



「乳酸発酵漬け」のいいところ


①食材を塩水に漬けるだけなので手軽に作れる。

②そのまますぐ使えるので時短調理ができ、いろいろな料理に使える。

③旨み、甘み、酸味が増し、シンプルな味付けで料理が美味しくなる

④腸内環境を整え、美容と健康をサポートしてくれる。

⑤保存性が高まる。


など、体にうれしく、美味しく、便利な保存食です。

常備しておくと、日々の食事で手軽に乳酸発酵食をとることができますね。




レモンの保存食とアレンジレシピ〉

『乳酸発酵漬けレモン』


▼アレンジレシピ

*白いんげん豆とタコの発酵レモンサラダ

*サーモンと発酵レモンのハーブソテー


*・・・*・・・*・・・*


【レモンの保存食♪】

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乳酸発酵漬けレモン

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レモンの乳酸発酵漬けは、発酵して旨みと甘みが加わり、レモンの酸味の角がとれる感じがします。さらに爽やかな香りを料理にプラスし、さっぱりと美味しく仕上げてくれます。

肉料理や魚料理、サラダやマリネなどによく合います。漬け汁も一緒に使ってください。

レモンは皮ごと使うので、ノーワックスのものがよいですね。今回は自宅の庭で実ったレモンを使いました。




《材料》出来上がり量 約500ml

・レモン(ノーワックス):2個(250gくらい)

〈5%の塩水〉250g

・塩:12.5g

・水:237.5g



《つくり方》

①レモンはヘタを切り落とし、3mm厚さの輪切りにします。


②ボウルに①のレモンと塩を入れて、軽く手で揉み込んでしんなりさせます。


③清潔な保存びん②を入れ、水を注ぎ入れます。レモンが完全に水に浸っているようにします。浸かってなければ、同じ濃度で塩水をつくって足します。


④ゆるくフタをして(またはラップ)、1〜2日間常温(20℃くらい)におきます。

1日2〜3回びんを上下に振って混ぜて発酵を促します。

 *発酵ガスが出るので、びんのフタは完全には閉めず空気が抜けるようにしてください。

 

⑤汁が白っぽく濁り、酸味が出てきたら食べ頃です。 フタをして冷蔵庫に入れて保存します。



〈保存〉

冷蔵庫で2週間程が保存の目安です。


〈メモ〉

・レモンは出来るだけ薄く切った方が食べやすいです。

・少しずつ酸味が強くなり、また野菜の食感がやわらかくなってゆきます。好みの味・食感のうちに食べきるのがおすすめです。

・雑菌が入らないよう、取り出すときは清潔なスプーンなどを使ってください。


・できあがりの味のイメージによって塩分量(2〜5%が基本)を変えたり、スパイスやハーブを加えたりして、自分好みの味を楽しんでみましょう。


〈応用メニュー〉

・肉や魚の臭み消しにもなるので、肉や魚の煮込み料理など。

・ささみ、スモークサーモン、白味魚、豆類、野菜などをオイルと一緒に和えるだけで簡単マリネに。

・肉や魚のグリルに、ハーブなどと一緒に添えるとさっぱりといただけます。

・サラダのドレッシングとして。


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▼アレンジレシピ

【乳酸発酵漬けレモンを使って♪①】

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白インゲン豆とタコの乳酸発酵レモンサラダ

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具材と乳酸発酵漬けレモン、オリーブオイル、塩こしょうを和えるだけで、簡単に美味しくて腸がよろこぶサラダが出来上がります。

乳酸発酵してマイルドになったレモンの酸味が豆とよく合います。



《材料》2人分

乳酸発酵漬けレモン:50 g

・乳酸発酵漬けレモンの汁:大さじ2 

・白インゲン豆(乾燥)50g(=塩茹でして120gくらい)

・タコ(茹で):50g 

・紫玉ねぎ:1/4個   

・パセリ:適量

・オリーブオイル:大さじ1

・塩:小さじ1/2

・粗挽き黒こしょう:適量


〈トッピング〉

・レモン(くし切り):1/4個分



《つくり方》

①白いんげん豆は固めに塩茹でし、ザルにあげて水けをきっておきます。


②乳酸発酵漬けレモンは、軽く汁気をきって粗いみじん切りにします。

紫玉ねぎは繊維に沿って薄切りして3分ほど水にさらし、ザルにあげて水気をキッチンペーパーなどで拭きます。

茹でたタコは一口大に切ります。パセリはみじん切りにしておきます。


③ボウルに①と②、乳酸発酵レモンの汁、塩を入れて和えます。オリーブオイルを加えてひと混ぜして器に盛ります。粗挽き黒こしょうをふり、レモンを添えます。


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▼アレンジレシピ

【乳酸発酵漬けレモンを使って♪②】

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サーモンと乳酸発酵レモンのハーブソテー

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サーモンと乳酸発酵漬けレモンは最強コンビ!

乳酸発酵漬けレモンの旨み、酸味、香りがサーモンの美味しさを引き立てます。

さらにディルの爽やかな香りをアクセントに加えれば、おもてなしの一皿が簡単にできますよ。


《材料》2人分

・乳酸発酵漬けレモン:70g

・乳酸発酵漬けレモンの汁:大さじ2 

・サーモン切り身:2枚(300g)

・玉ねぎ:1/2個

・グリーンアスパラ:3本

・ディル:適量

・オリーブオイル:大さじ1

・酒:大さじ3

・塩:小さじ1/3

・粗挽き黒こしょう:少々



《つくり方》

①玉ねぎは薄切りにします。グリーンアスパラは下の皮をピーラーでむき長さ2等分に切ります。ディルは枝からちぎって外しておきます。


②フライパン(グリルパン)にオリーブオイル入れ中火で熱し、サーモンを入れて焼き目をつけます。

サーモンを裏返して、玉ねぎ、アスパラを入れ、発酵レモンと酒を加え、フタをして弱火にし7〜8分ほど蒸し焼きにします。

塩と粗挽き黒こしょうで味をととのえます。


③器に盛り、ディルをちらし、粗挽き黒こしょうを少々ふります。


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「乳酸発酵漬け」のいいところと、料理をさっぱりと香りよくするレモンのいいところを組み合わせた「乳酸発酵漬けレモン」は、なにかと使いたくなる便利な保存食です。

この旬の時期に、国産のいいレモンを見つけたら、ぜひ漬けて日々のお料理を楽しんでみてくださいね。


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