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【ことごと綴り】第7回《白露》9月7日(~9月22日頃まで)

【二十四節気「白露」きほんのお話】9月7日(~9月22日頃)
二十四節気のひとつ白露(はくろ)は秋の節気、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の3番目の節気となります。
この日から仲秋になります。
「白露」とは草の葉に白い露が結ぶという意味です。
夜中に大気が冷え、草花や木に朝露が降り始めることから名づけられたのでしょう。
降りた露はガラス玉のように光って、白い粒に見えます。

太陽が離れていくため空が高くなり、雲が陰影を失い輪郭が柔らかくなるなど、本格的な秋の到来を感じられる頃です。
日中はまだ暑さが残りますが、朝夕の涼しさの中に肌寒さも感じ始めて、だんだんと秋の気配が深まっていきます。
【処暑の七十二候】
草花の上に降りた朝露が、白く光り涼しく見え始め、朝夕の涼しさが際立ち、夏から秋への変わり目となります。
「チチィッチチィッ」と鈴のように高い声を放ちながら、鶺鴒(セキレイ)が秋の空をさわやかに飛び、暖かくなる春先に日本にやってきたツバメが、秋の涼しい風が吹くこの時季に、暖かい南の地域へと帰っていく頃です。
初候:草露白(くさのつゆしろし)9月7日〜9月11日頃
次候:鶺鴒鳴(せきれいなく) 9月12日〜9月16日頃
末候:玄鳥去(つばめさる) 9月17日〜9月22日頃
※上記、七十二候について、詳しくはこちらをご覧ください。
〈旬の食材Pick up①栗〉

縄文時代の遺跡から出土しているほど、歴史の古いもので、タネを食用とするもので、ナッツの一種なんですよ。
栗には沢山の品種があり、早生の品種は8月中旬頃から、晩生の品種で11月下旬頃まで収穫されますが、中生の9月~10月が一番多く出回り、おおむねその頃が旬といえます。
ところで、栗は野菜だと思いますか?それとも果物だと思いますか?
栗はブナ科クリ属の落葉樹になる果実の総称なのです。
野菜と果物の違いを簡単にいうと、「野菜は野に生える草になるもの」「果物は木になる果実」と一般的に考えられているので、木になる栗は果物と考えるのが一般的でしょう。
ただ、日本の野菜や果物の定義というのははっきりとしていなくて、流通や栽培上では栗は果樹として扱われていますが、市場では野菜として扱われているそうです。
栗拾いに行くと、よく小さな穴が開いたものを見かけますよね。
中には白い虫が入っているのですが、これを防ぐため、一般的には防虫剤を用いたり、収穫した栗を薫蒸したりしています。
このおかげで、市場に流通している栗ではあまり虫入りにあたらなくなりました。
でも、野菜と同じく、無農薬、無薫蒸の物とでは味的に犠牲になっている部分もあるようです。
栗は栄養バランスも良く、栄養価が高い果物です。
炭水化物が豊富で、ビタミンB1、B2を多く含みます。
B1、B2には、糖の代謝を助ける働きがあります。
高血圧や動脈硬化に効果があるとされるカリウムや、貧血の予防が期待できる葉酸も含んでいます。
栗は意外にもビタミンCが豊富なのです。
栗のビタミンCは、ジャガイモと同じようにデンプン質に包まれているため、加熱しても壊れにくく摂取しやすいんですよ。
渋皮にはポリフェノールの一種、タンニンが多く含まれており、この強い抗酸化作用により、老化の防止やガンの予防に効果があるそうです。
渋皮煮などで沢山摂取する事が出来ますね。
ただし、栗はカロリーが高く、大きめのものになると一粒で約35kcalあります。
6粒食べると、なんと!お茶碗1杯分のご飯を食べるのと同じになりますので、食べ過ぎには注意しましょうね。
栗を選ぶ時は、表面の鬼皮に艶々した光沢があり、固く張りがあもの、手に持った時にずっしりと重みが感じられるものを選びます。
収穫後時間が経ったものは乾燥し実が痩せて軽くなってしまいます。また、十分に養分が回らず実が膨らんでいない場合もあります。
また、両側を挟まれた平たい粒の物より、ふっくらと丸みがあるものを選びましょう。
小さな丸い穴は虫が中に入っていると思ってください。
また、傷があり、そこが黒ずんでいるものなども避けましょう。
栗に含まれているデンプン質はサツマイモなどと似ていて、収穫してすぐに食べるより、収穫後3日~4日寝かせる事でデンプンが糖に変わり甘味が強く感じられるようになります。
ただ、常温では乾燥や虫食いの心配があるので、ポリ袋などに入れ、冷蔵庫、できればチルドなどに入れておくようにしましょう。
大量にあって冷蔵庫に入らない場合は、大きな鍋などに水を張り、栗を浸しておきます。
これは虫の駆除と乾燥防止の為で、水をこまめに替える事である程度風味が保てます。
栗を冷凍保存する場合は、色々な方法があります。
一長一短ですが、皮付きのままだとかさ張るという事と、作業は一度にしてしまい、使う際には小出しですぐに使えると便利なので、1度茹でて鬼皮と渋皮を剥いた剥き栗の状態にして、保存袋などに入れ冷凍する方法をお勧めします。
栗はホクホクでやさしい甘さがうれしい日本の秋の味覚です。 皮をむく手間はかかりますが、栗ご飯、栗おこわ、焼き栗、甘露煮、渋皮煮、煮もの、スープなどに入れると食卓に一気に季節感がでますので旬の時期に是非お試しください。
〈旬の食材Pick up②葡萄(ぶどう)〉

葡萄は、栽培の歴史が古く、世界中で親しまれている果実です。
生で食べることが多いのは実は日本ならではなのだそうですよ!
海外では主にワインの原料として栽培されています。
ひとことに『葡萄』といっても誰もが知っているデラウエアや巨峰をはじめ、白ブドウ系や赤ブドウ系という分類以外にも、アメリカ系やヨーロッパ系、アジア系など、原産地の違いによる大別など色々な分類があります。
その色や形、大きさや味わいはそれぞれ個性があり、収穫(旬)の時期も微妙に違います。
品種ごとに収穫時期がずれ、また、産地によってもずれはありますが、6月頃から店頭に並び始め、おおむね最も種類や数が出回り、品質的に安定して美味しい食べ頃の旬は8月から10月初旬頃にかけてです。
葡萄には体内に吸収されやすいブドウ糖や果糖などの糖質が多く含まれていて、これらは体内で代謝の経過を経ずにそのままエネルギーになってくれるので、疲労回復効果が非常に大きいと言えます。
ブドウ糖や果糖などの糖質は直接脳の栄養源となり、脳の働きを活発にし、集中力を高める効果があるそうです。
葡萄にはポリフェノールが沢山含まれています。
特に皮や種の部分に多く、これはガンや動脈硬化の予防に効果があるといわれています。
また、その中のアントシアニンは色素成分で赤ブドウに沢山含まれており、目の疲れや糖尿病による目の病気など、視力回復につながる重要な役割を果たす成分として注目されています。
選ぶ時は、色が濃く、表面に張りがありブルームと呼ばれる白く粉をふいたようなものがしっかりと付いているものを選びましょう。
また、枝の色が緑で、切り口が新しいものを選んでください。
葡萄の実が房からぽろぽろと取れているものがあれば、それは鮮度が落ちているという事です。枝を手に持って少しゆすってもしっかりと実が付いているものを選びます。
実がびっしりと隙間なく付いているものを選んでください。隙間が沢山あるものは避けましょう。
保存方法は、房のままの場合は、なるべく実に負担がかからないよう一房ずつ乾燥しないよう袋などに入れ、野菜庫に入れます。
水に浸けると傷みが早くなるので、洗うのは食べる直前にしましょう。
房のままでなくても良いなら、実を一粒一粒枝から切り離しジッパー付き保存袋など密封袋に入れて野菜庫に入れてください。
切り離す時に、枝から引きちぎらないでくださいね。
実の枝が付いていた部分に穴があき、果汁がにじみ出て傷みを早めてしまいます。
枝を2~3ミリ程実側に残して、実を傷つけないようハサミで切り落としていきます。
冷凍する場合は、上記の実を房から切り離して保存する方法で、密封袋に入れたまま冷凍します。
食べる時は食べる分だけ取り出し、さっと水洗いをすれば表面だけが溶けて、皮が剥きやすくなり、シャルシャリしたシャーベットのように食べられます。
ところで、葡萄はつるに近い部分の方の甘みが増すってご存知でしたか?
ということは、下から順に食べると、最後まで美味しくいただけるというわけですね。
ぜひお試しください。
〈旬の食材Pick up③生姜〉

生姜はショウガ科の多年草です。
原産地はインドからマレー半島にかけての南アジアといわれ、世界各地で薬や香辛料として使われています。中国が最も多く生産されていますが、日本でも多く生産されています。
旬というのは収穫最盛期のことですが、実は露地ものの生姜の旬は9月~10月頃。このころに採ってすぐに出荷される、色白のものは新生姜と言います。
この新生姜には2通りあるのをご存知でしたか?
1つは秋に根生姜の収穫後すぐに出荷される色白のもの。
そしてもう1つが甘酢漬けなどにされる夏のうちに早めに収穫され、赤い茎の部分が付いているものです。
この赤い部分が付いている新生姜は夏6月頃から8月くらいまで出回る夏が旬の生姜です。
通常「生姜」といわれているものは、地上の葉や茎が枯れはじめた頃根を掘り出し、これを貯蔵して出荷するので通年店頭に並んでいます。
「囲い生姜」「根生姜」「古根(ひね)生姜」「老成生姜」とも呼ばれています。
生姜はツンとした辛さと香りが特徴ですね。
香り成分はシネオールといい、疲労回復・夏バテ解消に役立ち、健胃・解毒・消炎作用もあると言われています。
辛み成分はジンゲロール・ショウガオールで、強い殺菌作用があり、料理においては、臭い消しや、脂の酸化防止効果などもあります。
鮨に欠かせないガリはこの殺菌作用を活かしたものですね。
また、ガン細胞の増殖を抑制する作用や発ガン物質が引き起こす遺伝子の突然変異を抑制する作用などもあると言われ、ガンの予防に大きな効果があるそうです。
そのほかにも、ショウガオールには血行を促進する作用や、体を温める働きがあるほか、新陳代謝を活発にして、発汗作用を高める働きがあります。
また生のまま摂取するよりも乾燥させたものや、加熱調理することでより身体を温める効果が大きくなるとされています。
これは生姜に含まれるジンゲロールという成分が加熱する事でショウガオールに変化するからなのです。
温め効果を求めるのであれば生姜湯や味噌汁など加熱する料理などに使うと良いでしょう。
選ぶ時は、古根生姜(老成生姜)の場合は、表面に艶と張りがあり、出来るだけふっくらと大きな塊の物を選びます。
小さく細い物は繊維質が多い上に、皮を剥くので使える部分が少なくなってしまいます。
新生姜の場合は、色は白っぽく艶があり、茎の切り口付近が綺麗な紅色の物を選びます。
生姜を買ってもなかなか使いきれず半分くらい傷んで捨ててしまうということはありませんか?
数日で使い切るのであればラップをして冷蔵庫に入れておいても大丈夫ですが、長期間保存する場合は瓶やタッパーに水を張り、そこに使いかけの生姜を入れて蓋をしておくと数日おきに水を換えるだけで1カ月程は大丈夫です。
更に長期に持たせるなら、水を焼酎に代えれば半年くらいは持つそうです。
生姜を冷凍する場合、塊のまま冷凍してしまうと解凍の手間など調理する際に使いにくいので、すりおろすか、細切りやみじん切りに刻んで小分けした物をラップで包み冷凍しておくと便利ですね。
今回はノブさんおすすめの「新生姜」を使った保存食レシピを2品と、
それぞれのアレンジレシピをご紹介します。
瑞々しく香り高い新生姜が出回ったら、その風味を保存食として閉じ込めて、いろいろな料理のアクセントとして使いましょう。
定番の甘酢漬けや紅生姜のほかにも、違った漬け方で新生姜の魅力を楽しんでみませんか?


【新生姜の保存食①♪】
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新生姜のスパイスはちみつ漬け
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古くから健康を助ける食材として重宝されてきている「生姜」と「はちみつ」のコラボ「生姜のはちみつ漬け」。
生姜をはちみつに漬け込むことにより、乾燥による酸化を防ぎ、風味を保つことができます。
漬けた生姜をそのまま食べるのはもちろん、生姜の成分がしみ出たはちみつも一緒に、ドリンクやデザート、お料理にも手軽に使うことができます。
簡単に作れるので、ぜひ常備しておきたい生姜の万能保存食です。

