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  • 執筆者の写真morinone

【ことごと綴り】第15回《小寒》1月5日(~1月19日頃まで)

今回は「小寒(しょうかん)」のことごとを綴ってみたいと思います。



《二十四節気》のひとつ小寒(しょうかん)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の5番目の節気となります。


小寒とは、寒さが極まる手前のこと。

この日から寒の入りを迎え、寒さが厳しい時期です。



1年で最も寒い時期を「寒(かん)」といって、小寒から始まるので「寒の入り」です。

小寒から立春になる寒の明けまでの約1か月は寒の内といって、この時期に行う武道や芸事の稽古を「寒稽古(かんげいこ)」といいます。




【小寒の七十二候】


芹がすくすくと群れ生え、地中で凍っていた水が動き始める頃。

繁殖期になると雄の雉の目の周りの部分が肥大化して顔が鮮やかな赤色になって、赤いものに対して攻撃的になります。

それは縄張り争いの他の雄に対しての本能。

雄の雉が「ケーン」という大きな鳴き声を発して縄張り宣言をする頃です。



小寒の《七十二候》は以下です。


初候:芹乃栄(せりすなわちさかう) 1月5日〜1月9日頃


次候:水泉動(しみずあたたかをふくむ) 1月10日〜1月14日頃


末候:雉始雊(きじはじめてなく) 1月15日〜1月19日頃



(※七十二候の詳細はこちらをご覧ください。)





【旬の食材】


〈旬の食材Pick up①春の七草〉


1月7日は七日正月(なぬかしょうがつ)と呼ばれ、それをお祝いする行事を五節句のひとつ1月7日の人日(じんじつ)の節句といいます。


そして、若菜は早春にいち早く芽吹くことから、邪気を払うといわれ、その年の無病息災を祈願して7種類の若葉を入れた七草粥を食べたのです。


七草はいわば日本のハーブ。

そのハーブを胃腸に負担がかからないおかゆで食べようというのですから、正月疲れが出始めた胃腸の回復には丁度良い食べ物です。


春の七草は、芹(せり)、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろです。

7つの野草には、それぞれ食欲増進や利尿作用、止血作用、高血圧予防などの効能があるそうです。


・芹…鉄分が多く含まれているので増血作用が期待できます。


・なずな(ぺんぺんぐさ)…熱を下げる、尿の出をよくするなどの作用があります。

江戸時代にはポピュラーな食材だったそうです。


・ごぎょう(ははこぐさ)…風邪予防に使われたそうです。


・はこべら(はこべ)…たんぱく質が比較的多く含まれ、ミネラルそのほかの栄養に富んでいるため、民間では古くから薬草として親しまれています。

目によいビタミンAが豊富で、腹痛の薬にもなったとか。


・ほとけのざ(こおにたびらこ)…食物繊維が豊富


・すずな(かぶ)…ビタミンが豊富


・すずしろ(大根)…消化を助け、風邪の予防にも効果が期待されます。



もちろん、いずれもみずみずしい緑の草ですから、冬に不足しがちなビタミンがたっぷり含まれています。


ちなみに、秋の七草とは、はぎ、すすき、くず、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、桔梗と、7つの“花”なのですね。





〈旬の食材Pick up②小松菜〉


小松菜はチンゲンサイなどと同じアブラナ科アブラナ属の植物で、収穫せずにそのままにしておくととうが立ち、アブラナと同じ黄色い花を咲かせます。


中国原産で、江戸時代に小松川(現在の東京都江戸川区周辺)で栽培されていたことから、コマツナと名付けられました。


冬の厳しい寒さの中でも栽培しやすく、昔から冬の間に食べることができる新鮮な緑黄色野菜として欠かせないものだったそうです。


小松菜は今では各地でハウスなども含め通年出荷されていますが、本来寒い冬に採れる野菜だったので冬菜、雪菜などとも呼ばれています。

また、初春に出回る若くて色が薄いものは鶯菜(うぐいすな)とも呼ばれています。

11月~3月にかけてが旬ですが、寒さに強く、1~2度霜が降りた後のほうが甘みが増し、葉も柔らかくなって美味しくなります。


冬の寒さにさらして「寒締め栽培」されたものを「ちぢみ小松菜」といいます。

うま味の濃さが特徴です。 最近の縁が濃く、葉に厚みのある品種は、チンゲンサイの性格を取り入れたものだそうです。


β-カロテン、ビタミンK、ビタミンB群、C、カルシウム、鉄、食物繊維など様々な栄養素を含んでいます。

特にカルシウムはホウレンソウの3倍以上も含んでいるそうですよ!


店頭で選ぶ際には、葉の緑が濃く鮮やかで、シャキッと元気なもの、厚みがあるものを選びます。

茎は太すぎず、薄く緑色をしているものが美味しいです。


小松菜は、そのまま置いておくとすぐにしなびてしまいます。

乾燥しないように濡らした新聞紙などでくるみ、袋に入れて野菜庫に入れます。

その際、なるべく本来あった状態、根の部分を下にして立てて入れておくようにすると、もちがよく、茎が曲がったりしません。


アクが少ないため、炒め物やスムージーにする場合でも下茹での必要がありません。

調理前は葉先まで水分がいきわたるよう、しばらく水に浸けておくのがおすすめです。


冷凍する場合は、水できれいに洗ってから水気をきり、使いやすい長さに切ってから保存袋などに入れて冷凍しておくと調理をする際に便利です。





〈旬の食材Pick up③春菊〉


春菊はキク科キク属の植物で、若い葉と茎を食用にします。


春に黄色の花を咲かせ、葉の形が菊に似ていることから、シュンギクという名が付きました。主に関西では「キクナ」とも呼ばれています。


「春菊」は名前から、いかにも原産地は日本であるかのように思われますが、実はもともとの原種は、ヨーロッパの地中海沿岸が原産地で、観賞用として親しまれていました。

そしてこの観賞用植物が中国などで食用の野菜として改良されたのです。このため「高麗菊」と呼ぶ地域もあるようです。


春菊の旬は冬です。

11月頃から2月頃に掛けて多く市場に出回ります。

ただ、春菊は寒さにも暑さにも比較的強い野菜のため、年間を通してある程度の量が出荷されています。


多く出回っている春菊は中葉種に当たる品種です。

春菊特有の香りが強く、葉の形も切れ込みが深いのが特徴です。


中葉種の他にも大葉種、サラダ用品種などがあり、大葉種は関西地方以西で好まれている品種です。葉に丸みがあり、切れ込みがあまり深くない見た目をしています。

サラダ用品種はその名の通り香りが少なく、茎も柔らかいので茎ごと生食することができるタイプの春菊です。


春菊には独特の香りがありますが、それはαピネンとペリルアルデヒドいう成分によるものです。

αピネンは、ひのきにも含まれている成分で、リラックス効果があるといわれています。

ペリルアルデヒドは、シソと同じ成分の香りで、防腐作用もあるといわれています。


カルシウムや鉄も多く含み、β-カロテンも豊富です。


春菊は葉が痛みやすい野菜です。

購入する際には葉の先までシャキッと張りがあり、全体的に濃い緑色をしているものを選びましょう。


好みにもよりますが茎は余り太くなっているものより細めの方が柔らかくて食べやすいです。


葉のギザギザが浅く葉が広いタイプの方が苦味や香りが穏やかで、切れ込みが深いものの方が風味が強いので好みで選ぶようにするといいですね。


ちなみに、春菊の苦味は、茎よりも葉に多く含まれ、加熱すると苦味が強くなるそうです。


春菊は乾燥しないよう濡れた新聞紙などでくるんでポリの袋などに入れて冷蔵庫に入れておきましょう。


他の葉野菜同様、春菊も寝かせておくと上に伸びようという植物所以の働きで茎が曲がりやすく、またそれが出来ない為に傷みも早くなるようです。可能な限り立てて保存する方が望ましいです。


冷凍保存もできます。

その場合は塩を入れた熱湯で30秒~45秒程度さっと固めに下茹でし、すぐに冷水におとしてから水気を良く切って、小分けしてラップに包み冷凍します。


使う時は和え物やおひたしなどの場合は自然解凍し、みそ汁など汁物の場合は凍ったままでも大丈夫です。


春菊の香りは健康にいい成分が含まれている証拠です。

そうは言っても、どうしてもあの香りが苦手という人もいるでしょう。

春菊は油と組み合わせると香りが和らぐそうですよ。





【旬の食材レシピ】

さて、今回ご紹介する、ノブさんおすすめの旬の食材を使ったレシピは、

「春菊」の保存食と、そのアレンジメニューです!

鍋ものやお浸しなどによく使われる春菊は、代表的な冬の緑黄色野菜。

生のままでも美味しく、鍋やお浸しだけでなく洋風のお料理にも合うのです。

加熱せず生のまま食べると春菊独特のクセが感じにくく、また、油と一緒に摂ると春菊に含まれるβカロテンの吸収率がアップするといわれています。

これらの性質を生かし、保存もできて幅広いお料理に使えるソースをご紹介します。



〔春菊の保存食とアレンジレシピ〕


●春菊のジェノベーゼソース

↓アレンジ↓

*根菜グリルと春菊のジェノベーゼソース

*蒸し鶏とじゃがいもの春菊和え

*春菊とカブの和風リゾット



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【春菊の保存食♪】

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春菊の塩麹ジェノベーゼソース

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バジルを春菊にアレンジし、塩麹を使ったジェノベーゼソースです。生の春菊をナッツやチーズと合わせると、とても風味がよくなります。上品な味わいにびっくりするかもしれません!

パスタはもちろん、野菜や豆と和えたり、お肉や魚介類のソテーにかけたり、作っておくと、いろいろな料理に使いたくなりますよ。




《材料》出来上がり量 約300ml


・春菊:100g(2/3束くらい)

・松の実(またはくるみ):50g

・にんにく:1かけ

・オリーブオイル:200ml

・塩麹:小さじ2

・パルメザンチーズ:30g



《つくり方》


①春菊は洗ってキッチンペーパーで水けをしっかりと拭き取ります。

にんにくは粗く刻みます。

フライパンに松の実を入れて火にかけ、焦がさないように気をつけながら乾煎りします。香りが立ったら火からおろして粗熱を取ります。

②ミキサーやフードプロセッサーなどに、半量の春菊、松の実、にんにく、塩麹、パルメザンチーズ、半量のオリーブオイルを入れ、ペースト状になるまで攪拌します。

③残りの春菊、オリーブオイルを加え、さらになめらかなペースト状になるまで攪拌します。

攪拌している途中でときどきゴムベラなどで春菊の葉を押し込むようにしてムラをなくします。味をみて、塩(分量外)で味を調えます。

④清潔な保存びんに移し、表面が空気に触れないように分量外のオリーブオイルを適量静かに入れて、酸化を防ぎ、春菊の鮮やかな色と風味を保たせます。



〈メモ〉

・ミキサーやフードプロセッサーがない場合は、春菊、松の実、にんにくを包丁で細かく刻むか、すり鉢ですって作ってください。

・松の実のほかにくるみやアーモンド、カシューナッツなどのナッツでもよいですし、ナッツ類は入れなくてもよいです。

〈保存〉

冷蔵庫で2週間程を目安に使い切りましょう。

冷蔵庫に入れるとオイルが固まることがありますが、常温にすると液体に戻ります。

すぐに使いきれない場合は冷凍庫で約3ヶ月間保存がおいしく召し上がる目安です。

冷凍用保存袋に入れて平らにならし空気を抜いて袋の口を閉じます。使用するときは必要な分だけ折って取り出すとよいです。


〈応用メニュー〉

・定番のジェノベーゼパスタ、ニョッキやペンネのソースに。

・茹でたり蒸した野菜や豆と和えてサラダやカプレーゼにしたり、ドレッシングにしたり。

・タコ、イカ、ホタテ、エビ、白身魚との相性抜群なので、マリネのソースにもおすすめ。

・バゲットやピザに塗って焼くとおいしい。

・フリットなどの揚げ物の衣に混ぜる。

・グラタンやリゾットにも。

・肉類(鶏肉・豚肉)や魚介類(白身魚・エビ・ホタテなど)のグリルソースに。

・オムレツなど卵料理ともよく合います。



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↓アレンジレシピ↓

【春菊の塩麹ジェノベーゼソースを使って♪①】

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根菜グリルと春菊のジェノベーゼソース

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根菜を弱火でじっくり焼くことで、根菜のうまみと甘みが引き出されます。

そこに春菊の塩麹ジェノベーゼソースをかけるだけで、彩りも風味も豊かな一品になります。


《材料》2人分

・春菊の塩麹ジェノベーゼソース:大さじ4

・長いも:6cm   

・れんこん6cm    

・黄にんじん:6cm

・オリーブオイル:大さじ2

・塩:適量

・黒こしょう:適量

〈トッピング〉

・くるみ:適量(ローストして粗く刻んでおく)



《つくり方》

れんこんは皮をむいて約1cm厚さの輪切り、長いもは皮をよく洗って皮つきのまま約1cm厚さの輪切りにし、それぞれ軽く水にさらして水けをふいておきます。

 黄にんじんは皮つきのまま約1cm厚さの輪切りにします。


②フライパンまたはグリルパンにオリーブオイルを入れて熱し、①の根菜を入れ、弱火でじっくり約7分焼きます。表面焼き色がついたら上下を返し、さらに約5分焼きます。




③油をきって器に盛り付け、春菊の塩麹ジェノベーゼソースをかけ、刻んだくるみをトッピングします。

*じゃがいも、里いも、大根、ごぼう、カブ、玉ねぎ、パプリカ、ブロッコリー、インゲンなど他の野菜でも。 *鶏肉や豚肉、魚介類のグリルにかけるのもおすすめです



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↓アレンジレシピ↓

【春菊の塩麹ジェノベーゼソースを使って♪②】

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蒸し鶏とじゃがいもの春菊ソース和え

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塩麹ジェノベーゼソースを作ったら、まずはこれやってみて!というおすすめの食べ方です。

鶏肉とじゃがいもとの相性が抜群によいし、春菊とレモンの風味でさっぱりといただけて、シンプルな料理ですが十分な満足感です。



《材料》2人分

・春菊の塩麹ジェノベーゼソース:大さじ3

・鶏むね肉:150g

・じゃがいも:小ぶり2個  

・キドニービーン(茹で):50g

・レモン汁:小さじ2

・塩:適量

・黒こしょう:適量

〈トッピング〉

・レモン(くし切り):1/2個分



《つくり方》

①鶏むね肉は食べやすい大きさに切ります。じゃがいもは洗って皮ごと6等分のくし切りにします。


②①の鶏むね肉とじゃがいもを、蒸気の上がった蒸し器に入れ、それぞれの中まで火が通るよう10〜15分ほど蒸します。

 

③ボウルの中に②、茹でキドニービーンを入れ、春菊のジェノベーゼソース、レモン汁を加えて混ぜ合わせます。塩、黒こしょうで味を調えます。


④器の盛り付け、レモンを添えます。


*ここに、さらに生の春菊を加えるのもおすすめです。サラダ感覚で食べられます。

*カリフラワーやインゲンなどを一緒に蒸して加えたり、ナッツをトッピングしても。



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↓アレンジレシピ↓

【春菊の塩麹ジェノベーゼソースを使って♪③】

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春菊とカブの和風リゾット

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年末年始のご馳走の後、七草粥のように食べることをイメージしてつくりました。

やさしい味わいですが、出汁と玉ねぎで旨味をプラスし、ほのかな春菊の風味が食欲をそそります。



《材料》2人分

・春菊の塩麹ジェノベーゼソース:大さじ4

・白米:1合

玉ねぎ:1/4個

・カブ:1個(葉も使う)

・オリーブオイル:大さじ1

・出汁:250ml

・塩:適量

・黒こしょう:適量

〈トッピング〉

・黒こしょう:適量

・パルメザンチーズ:適量

・レモン(輪切り):適量

・桜海老:適量



《つくり方》

①白米は洗ってザルにあげ水気をきっておきます。

 カブは1cm角切り、葉の部分は1cm長さにカット、玉ねぎはみじん切りにします。


②フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ、玉ねぎを透き通るまで炒めます。

 白米を加えて油をなじませ、出汁を加え、弱火で10分ほど炒め煮します。


③春菊のジェノベーゼソース、カブを加え、フタをして3分ほど蒸し煮します。

カブがやわらかくなったら全体を混ぜ、塩、黒こしょうで味を調えます。


④器に盛り付け、パルメザンチーズ、黒こしょうをふり、レモンの輪切り、桜海老などお好みのでトッピングします。


*大根や蓮根を加えても美味しいです。

*出汁をコンソメスープ、豆乳や牛乳などにするとまた違った味わいのリゾットになります。


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春菊が美味しいこの季節、お鍋もいいですが、春菊の塩麹ジェノベーゼソースを作って、ぜひいろいろな冬のお料理に使ってみてくださいね。




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