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  • 執筆者の写真morinone

【ことごと綴り】第8回《秋分》9月23日(~10月7日頃まで)

今回は「秋分(しゅうぶん)」のことごとを綴ってみたいと思います。


【二十四節気「秋分」きほんのお話】9月23日(~10月7日頃)


二十四節気のひとつ秋分(しゅうぶん)は秋の節気、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の4番目の節気となります。


春分・秋分の3日前から7日間をそれぞれ春の彼岸、秋の彼岸とするので春分・秋分は「彼岸の中日」といいます。

彼岸は日本独自の行事で国民の祝日のひとつです。


太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになるのが春分と秋分です。

これから段々と日が短くなり、秋が深まっていきます。



夜が長くなり秋の趣も色濃くなっていきますので、読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋など思い思いに心豊かな時間をお過ごしください。


厳しかった残暑に目処がつくため「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、この日を境に寒さが増してくる頃でもあります。

ご自身の体調の変化を細かくチェックしてあげてくださいね。




【秋分の七十二候】


春分から夏の間鳴り響いた雷が鳴りをひそめる頃で、入道雲から鰯雲(いわしぐも)や鱗雲(うろこぐも)へと変わり、秋の空は高くなっていきます。

夏が終わり、外で活動していた虫たちは寒さの到来を察知して、土の中へ巣ごもりの仕度を始めます。

田んぼでは水を抜き、稲刈りに取りかかる頃となります。

夏に花を咲かせ、たわわに実った穂が垂れ下がるこの時季は、畦の水口を切って田を乾かし、いよいよ稲刈りが始まります。




初候:雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)9月23日〜9月27日頃


次候:蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)   9月28日〜10月2日頃


末候:水始涸(みずはじめてかるる)    10月3日〜10月7日頃




【旬の食材】


〈旬の食材Pick up①里芋〉



日本には稲作よりも前、縄文時代に伝わったとされる歴史のある野菜です。

じゃが芋や薩摩芋がそれほど主流ではなかった江戸時代までは、芋の主役だったといわれています。

親いもを囲むように子いも、孫いもが育つため、豊作や子孫繁栄の象徴ともされてきました。

株の中心に親イモができ、その周りに小さな子イモが増えていきます。


里芋はサトイモ科の植物の塊茎(かいけい)と肥大した地下茎の総称です。

山里で一般的に栽培されているので「山芋」に対して「里芋」と命名されたようです。


一般的な里芋は市場に通年流通していますが、品種によって旬は少しずれてきます。

里芋の代表的な品種の「石川早生(いしかわわせ)」や「土垂(どだれ)」などは8月下旬から10月にかけての秋が旬。

もとは唐芋(とうのいも)という品種の「えび芋(京芋)」はそれより遅く9月下旬頃から、そして里芋としては高価な「八頭(やつがしら)」や親芋の「頭芋(かしらいも)・殿芋(とのいも)」は縁起物として正月料理に使われる事が多いので12月から1月が旬となります。


芋類の中で特にカロリーが低く、ヘルシーな里芋。

カリウムを多く、余分なナトリウムの排出を促すため、高血圧の改善に役立ちます。

近年、コレステロールの生成を抑制する成分が含まれることがわかったそうで、動脈硬化の予防に効果がありそうです。


独特のぬめりは、ムチンとガラクタンという水溶性食物繊維です。

ガラクタンには、腸の働きを活発にし、血糖値やコレステロール値の上昇を抑制する効果や脳細胞を活性化する効果があるとされています。


時々、サトイモを扱うと手が痒くなる人がいますが、これはシュウ酸という成分です。

刺のような形の結晶になっているため、皮膚に刺さるからだそうです。

これは、味の上でのえぐみにもなっています。


里芋はふっくらと丸みがあり、おしりがかたく締まり、縞模様が等間隔のものを選びましょう。

持った時にずっしりと重みを感じるものが良いです。逆に軽い物や柔らかくなっているものは避けてくださいね。

古い物はカビ臭くなる事が多いので、臭いもチェックしてみましょう。

泥つきの方が保存に向きます。土がついたままの状態であれば新聞紙などにくるまなくてもそのまま放置するだけで、直射日光をさければ1ヶ月間保存できます。

洗ってあるものは、なるべく早く使い切りましょう。


暖かいところで採れる里芋は、冷蔵庫に入れると低温障害を起こし早く痛みやすくなりますので、冷蔵庫には入れないようにしましょう。


皮を剥くときは、濡れたままだとぬめりがあり非常に剥きにくいので、一度よく水洗いをした後に、しっかりと乾かしましょう。


煮物にする場合は、皮を剥き塩でぬめりをすり落としてから、米のとぎ汁に少量の酢を加えた茹で水で下茹でした物を使います。

そうすることで、えぐみを取り除き、芋は白く、澄んだ出汁またはスープに仕上げることができます。


里芋は下ごしらえが結構面倒ですよね。

そんな時、まとめて下処理して冷凍しておけば使いたい時すぐに使えて便利です。



1.生のまま冷凍


皮を剥いて軽く塩をまぶしてヌメリやアクを落としてさっと水洗いし、ザルにあげて水気をしっかりと切ってから、そのまま広げて冷凍する方法。

使う時は凍ったまま煮物などに使います。

比較的ホクホクに仕上がります。



2.皮を剥いて茹でてから冷凍


皮を剥いたものを鍋に入れて、里芋がしっかりと浸かるくらい水を入れ火にかけます。半茹で程度で火を止めます。茹でている時に、アクがどんどん出てきますが、それをすくい取りながらあまり出なくなったらザルにあげて、さっと流水にさらし荒熱をとり乾かします。それを広げて冷凍します。



3.茹でてから皮を剥いて冷凍


洗ったサトイモを熱湯で3分ほど茹でるか、ラップに包み、レンジで3分ほど加熱すると、手でつるりと皮が剥けます。こうすると素手でむいてもかゆくなりません。

皮を剥いたものを乾かして広げて冷凍します。

ただし、この方法では十分にアクが抜けないので、繊細な料理には向かないことに留意してくださいね。





〈旬の食材Pick up②秋刀魚(さんま)〉



海魚である秋刀魚は、北太平洋、日本海、東シナ海など広い海域に生息し、群れになって海遊しています。

成長すると全長40cmほどになり、日本刀のような美しい形をして、背部は暗青色(あんせいしょく)、腹側は銀白色(ぎんはくしょく)に輝いています。


秋刀魚漁は、秋刀魚がオホーツク海にいる7月中旬から始まりますが、旬はやはり秋です。

秋刀魚が根室から襟裳岬沖辺りに南下し始める9月から11月が一番脂ののった美味しい時期とされています。


店頭に並んでいる秋刀魚にはウロコがほとんど無くつるっとした状態なので、もともとウロコが無いと思っている人も多いのではないでしょうか。


秋刀魚も生きて泳いでいるときには細かく綺麗なウロコに覆われているのです。

ですが、秋刀魚の漁獲はそのほとんどが棒受け網漁や刺し網漁で、漁獲される時に、網の中で大量の秋刀魚同士がこすれあうことで、秋刀魚の薄くてとてもはがれやすいウロコは、ほとんどはがれ落ちてしまうのだそうです。


目からウロコの方もいらっしゃいましたか?w


秋刀魚はDHAEPAを多く含み、鉄分などのミネラル、ビタミン12も豊富です。


DHAを摂るとよく頭がよくなると言われていますが、特に脳細胞の活性化や目の網膜活性化に効果があると言われています。

また、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きもあるそうです。


EPAは動脈硬化を防ぎ、抗血栓、コレステロールの低下などの作用による脳血栓の予防や改善に効果があると言われています。


秋刀魚を店頭にて選ぶ際は、まず、くちばしに注目です。

くちばしが黄色いものが鮮度の目安です。きれいな黄色をしていれば鮮度がいい秋刀魚といえます。


次に注目したいのは目。

黒目の周りが濁っておらず透明なものを選んでください。鮮度が悪いと白く濁っています。


秋刀魚は長さよりも太さの方が大切です。夏の出始めのサンマはまだ脂ののりが少なく体高が低くスリムな体形をしているそうです。

脂がのってくるほど背が盛り上がってきて、体高が少し高くなるので、太ければ太いほど脂ののりもいいとされています。


また、鮮度が良いものは触った時に固く、持った時にぐにゃぐにゃしないのだそう。特に腹部が硬く体表がキラキラと光っているものがいいそうです。






〈旬の食材Pick up③きのこー舞茸〉



舞茸は「見つけると舞うほどうれしい」と「カサがヒラヒラしていて舞っているように見える」ということから名づけられたと言われています。


本しめじのように希少性のある天然きのこでしたが、1970年代に栽培に成功し、広く流通するようになりました。

舞茸はよくスーパーなどでも売られていますが、そのほとんどは栽培物です。


天然の舞茸は北海道や東北の深山でしか採れず希少なため高価なきのことなっています。天然ものの旬は秋です。

毎年のように同じ木の同じ場所に生えると言われていて、きのこ採りの人は見つけても決して人にその場所は教えないのだそうですよ。


栄養価に優れており、キノコ類に含まれるβグルカンの効力が群を抜いて強いです。

βグルカンは、免疫機能を回復させ、ガン細胞の増殖を抑えることや、血圧・血糖値・コレステロールを下げるなどの効果が期待できます。


腸を刺激して腸内をきれいにする効果もあるので、大腸がんの予防も期待できます。


カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にするビタミンD、ナイアシンなどのビタミンB群と亜鉛が豊富です。


ビタミンDの前駆体であるエルゴステロール含有量はきのこ類の中でトップクラスです。


選ぶ時は、ヒダに厚みがあり、シャキッとして軸が硬くしまり、ピンとしているものを選びましょう。

小さくひと株ごとになったものと、大株を切り分けたものが売られていますが、小株のものは小さい分ヒダも薄い傾向にあります。

シコシコした歯触りを楽しむなら大株のものの方が良いでしょう。


パックのままか、乾燥しないように袋に入れて冷蔵庫で保存し、3日~4日までに使い切りましょう。

冷凍する場合は、食べやすい大きさにほぐして、小分けにしましょう。


舞茸は生では食べられません。必ず加熱調理してから食べてくださいね。


マイタケプロテアーゼというタンパク質分解酵素を含んでいるので注意しましょう。

逆に、これを活かし、肉などを焼く前にマイタケと塩、胡椒、酒またはワイン、ニンニクなどを一緒にミキサーにかけたマリネ液に浸しておくと肉が柔らかくなります。


香りがとても強いキノコなので、他の食材の風味を殺してしまわないよう使う量を加減するとよいでしょう。

また、煮汁などに色が付きやすいきのこですので、綺麗な澄んだ色に仕上げたい場合はあらかじめさっと湯通ししておく必要があります。






〈旬の食材Pick up③きのこーぶなしめじ〉



味にくせがなく、和洋中といろいろな料理に使いやすいことで人気です。


ぶなしめじは、本来は味が淡泊で旨味とともに多少の苦みを持つきのこでしたが、人工栽培への移行に伴い改良されて、味がよく食べやすいきのことして、広く食卓にのぼるようになりました。


一般によく目にするぶなしめじは、おがくずと栄養材を固めた菌床で栽培されたもので、かつては「本しめじ」として販売されていました。

しかし、「本しめじ」という本来の品種は、このぶなしめじとは別の品種で、栽培には向かない野生のきのこなのでその名称での販売が国により止められ、今では「ぶなしめじ」として売られています。


↑本しめじ。姿かたちが違いますね。


栽培物は施設内で作られているので当然通年栽培され、旬はありません。


ただ、旬と言う訳ではありませんが、栽培物は通年品質が安定しているにもかかわらず、夏場は需要が少ないために同じ価格で量が増えたり、セール品の対象になったりと価格が下がる傾向にあるのだそうですよ。

寒い時期の鍋だけでなく、炒め物やマリネなど、お得に色々と使いたいですね。


天然物のぶなしめじは秋にブナの倒木や切り株、枯れ木などに群がるように生えるきのこです。ブナ以外にもトチノキやカエデ等、他の広葉樹でも見られる事があります。



色は薄茶色で、傘は大きいものだと15cm程にもなり、一般のスーパーなどで売られている栽培物とは見た目がかなり違っていますね。


天然物の収穫は、地域にもよりますが、8月下旬頃から11月頃で、旬は9月下旬から11月初旬となります。


ぶなしめじには、カルシウムの吸収率を上げるビタミンDの他にビタミンB1、B2、ナイアシン、食物繊維、カリウムなどが含まれています。