9月も下旬となり、空が高くなって、空気がやっと秋めいてきましたね。
キッチンスタジオの窓辺に、心地よく感じる陽射しが入り、季節の移り変わりを感じたこの日、新しくスタートした『ぬか漬け講座』が開催されました!
「季節のぬか漬けを愉しむ発酵生活」
この講座は、ぬか床の作り方や育て方というのではなく、旬の食材など季節を感じながらぬか漬けを愉しむことや、ぬか漬けのある暮らしを気軽に始めるきっかけにしていただけるような内容になっています。
『無印良品「発酵ぬかどこ」徹底活用術』の著者であり、モリ乃ネキッチンスタジオで毎月開催されている自家製調味料の仕込み教室「かもしラボ」を主宰する、オザワエイコさんを講師にお迎えしての開催です。
その様子を、モリ乃ネスタッフのヒロミが、レポートさせていただきます!

まずは、ぬか漬けにまつわるお話から。
ぬか漬けのはじまり、なぜぬか漬けが広まったのか、のお話はとても興味をそそるものでした。
だって、よく考えたら、本来なら白米を食べる際には破棄する「ぬか」ですよ。
さらには、それを食材として「食べる」というのではなく、「ぬか床」というものをつくって「漬ける」というのですから。
しかも、それが人々の暮らしの中から始まって、多くの人々に広まるというまでの経緯は、現代の様なインターネットもない時代にどうやって?!と、想像するだけでロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか?w
人と人との暮らしに、しっかりとしたつながりがあったのだろうなぁ、と想像します。
そして、先人たちが繋げてきたこの食文化を、「伝承する」といった堅苦しい型ではなく、自然体で暮らしの中に取り入れることができたら、もっともっと未来の人びとまで知って楽しむことができるんだろうなぁ、と。
(「食事は、もっぱらサプリです。」なんて未来は想像したくないので)
「そもそもぬか漬けとは?」のお話も、
「ぬか漬けがなぜカラダに良いといわれているのか」
「知っているようでちゃんと知らないこと」
「知って得すること」
などが知識としてしっかりと頭にインプットされました。

今回、よく見たこのシーン。
オザワ先生が、お話の最中に、ノブさんに「ね?」と言いながらふたりでアイコンタクト。
なんだか微笑ましかったので、パシャリ。w

なぜ、アイコンタクトが絶えないお話になっていたかというと、こちらのオザワ先生の著書『無印良品「発酵ぬかどこ」徹底活用術』の撮影は、このキッチンスタジオで行われて、たくさんのぬか漬けづくりにノブさんも参加していたからです。
その時の撮影秘話なども、ここでしか聞けないレアな内容です。w
そして、この『ぬか漬け講座』では、あらかじめ発酵熟成してあるこちらのぬか床を使い、“なんだかハードルが高い”というぬか漬けのイメージにとらわれないで、ぬか漬けの悩みから解放され、毎日の食卓に取り入れやすくする方法をお伝えしています。
身体によくて美味しいぬか漬けを「もっと気軽に」「もっと気楽に」そして「自由に」「楽しく」続けられるように。

こちらの食材は、ぬか漬けにどんな関係があるのか、お分かりになりますか?
実は「ぬか床カスタムアレンジ」の食材なのです。
ぬか漬けにする食材が思っていたよりも沢山ある!ということだけではなく、
ぬか床のオリジナルカスタムもできる!ということも目から鱗です。
(ぬか床の食べ比べも初めてしました!そもそも、ぬか床のぬかが食べられるという概念すらなかったです!)
この中には、ぬか床のお医者さん的な食材であるものもあります。
「ぬか床は管理が難しそう!」という悩みをよく耳にしますが、「こんな時はこうするといい」という解決策がちゃんとあるのですね。
(ぬか床を整えることを「立て直す」と言うそうです。ちょっと、どこかで使ってみたい!w)
「ぬか床は、お手入れ次第で半永久的です。」
とおっしゃるオザワ先生のお話は、「ぬか漬け」をぐっと身近な存在にしてくれました。
お話の後は、早速いろいろな素材を漬け込んでいくデモンストレーションです。
それぞれ、何を漬け込んでいる様子か、おわかりになるでしょうか?








答えは
①小松菜
②ゆで卵
③さば
④豚バラ肉
⑤レーズン
⑥じゃがいも(堅めに塩ゆで)
こんな食材、ぬか漬けにしたことありますか?w

ここまでくると、ちょっと見た目に安心する安定のぬか漬け食材「きゅうり」。w
でも、こちらは、ただのぬか漬けではなく、わざと長期漬け込んでおき「古漬け」にしたもの。
漬け込み過ぎてしまったものを「古漬け」ということも、それを美味しく調理して食せることも、全く知らなかったぬか漬け初心者の私は、こちらでも目から鱗。(もう、はがれる鱗がないくらい…)
「うっかり」を「失敗」にしないこともぬか漬けを楽しむには大切なことなのですね。
私は、勝手に「ぬか漬けルール」なるものを創造してしまっていたようです。
“ぬか漬けは〇時間くらい漬けて、漬かったら早めに食べないとダメ”と。
(基本の、それ以外がわからないので)
なので、なんだか「ぬか漬けは始めると、ちょっとせわしない」という印象がありました。
「なぁんだ、ぬか床に賞味期限はないし、ぬか漬けも“~しなきゃダメ”ではないのか?!」
知らないことを知るということは、こういった大きな気付きを得るのですね。
大事、大事、とても大事なことですね!
さて、古漬けのきゅうりですが、切ってそのままを試食しましたが、「酸っぱい!」。
冷蔵庫に入れたぬか床の中で、乳酸菌が優勢になり酸味が強くなってしまっているのだそう。
でも、この酸味の元は発酵による賜物である乳酸菌によるもの。
きゅうりに付加価値が付いた、身体によいものであることに変わりはありません!
(その正体を知らなければ、腐ってしまったのかと、破棄するところ?!)

古漬けのきゅうりとみょうがの味わいのみ、味付け一切なしの和え物に。
「切って混ぜるだけ~」の一品です!

ここからは、皆さんと一緒に、事前に漬けていた先程のデモンストレーションの食材を、本日のランチメニューへと調理していきます。






盛り付けも美しく、完成~!

こちらが、『ぬか漬け講座』のランチ、には見えませんよね?

〈ランチメニュー〉
*小松菜・じゃがいも・ゆで卵のぬか漬け、豚バラ肉・さばのぬか漬けグリルのワンプレート
*ぬか漬けの豚汁
*古漬けアレンジ
*もちきびご飯
*レーズンのぬか漬け

このワンプレートの食材は全てぬか漬けしたもの。
(他に一切味付けなし!)
見た目はそれぞれの素材そのものですが、口に入れると「いい意味で視覚を裏切る味わい」なのです!
それぞれの食材の味や食感に、旨味と酸味、塩味が加わり、“ほぉ~~~!”と確認しながら噛みしめて味わいたくなります。
お米が進む、進む!
この感覚を味わってみたい方は、是非次回の『ぬか漬け講座』をお楽しみに!
(詳細は、決まり次第インスタや公式LINE、こちらのブログにてお知らせいたします。)

この豚汁も、ぬか漬けのごぼう、人参、こんにゃく入り。
発酵食品の味噌も加わって、菌活に間違いなし!のカラダが温まるお品です。

きゅうりとみょうがの古漬けアレンジ。
生姜、青じそ、胡麻の香りや風味も加わり、箸休めに丁度よい和え物です。
酢のとがった酸味ではないので、酢の物が苦手な方にもおすすめです。

レーズンのぬか漬け。
ドライフルーツや果物がぬか漬けになるなんて思いもしませんよね。
なんでも、干し柿やドライ無花果のぬか漬けも絶品だそうですよ。
これからの季節に干し柿が出てきたら試してみたいですね。
今回は、デモンストレーションの前に、参加者お一人ずつ、簡単な自己紹介と、「ぬか漬けにまつわる話」を少しだけしていただきました。
ぬか漬けが初めての方、現在進行中の方、何度も失敗をして現在はされていないという方。
それぞれの方にエピソードや悩みがあり、今回の講座への期待も感じました。
やはり、私と同じ様に「ぬか漬けは、美味しくて食べるのは好きだけど、漬けるのはちょっと難しい(面倒くさい?)」と感じている方は多かったように思います。
オザワ先生の仰る「もっとぬか漬けを自由に!」という想いは、今回ご参加いただいた方々に届いたのではないかと思っています。
(そして、もっとお届けしたい!)
なぜなら、初心者である私がそう思えたから。
ぬか漬けは、先人たちが体感によって伝え繋いできた“食材に旨味とカラダによい作用をもたらす付加価値製造工程”であって、「ぬか漬け」という形式ではないのだな、というのが初心者の私の気付きです。
「旨味だけでなく、カラダも喜ぶ調味料」的感覚!
「ぬか漬け」≠「~しなくてはならない」「~でなければならない」
この公式は、「知ること」で得られ、次に「~してみたい!」に変わってゆくのかもしれませんね。
かく言う私も、帰宅してすぐに、小松菜・オクラ・ミニきゅうり・鶏肉を漬けました。
今朝の朝食は、中学生の娘と共に、雑穀米・醤入り味噌汁・ぬか漬けを美味しくいただきました。
朝からカラダが目覚めたような気がします。
そして、自分が自らの子供に、少しだけ何か大切なものをつないでいるような感覚も。
「カラダにいいものを美味しく口にしている。」と思いながら食べることも大切です。
というオザワ先生のお話も甦ります。
ご参加いただいた皆さまのお宅でも、ぬか床に食材が漬けこまれたでしょうか?
若しくは、カスタマイズされているでしょうか?
皆さんが、抱えていた「ぬか漬けの呪縛」から放たれて、“次は何にしようかな~”なんて楽しんでくださっていると嬉しいです。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。
共に、ぬか漬けライフを~!
<おまけ>
ご参加いただいた方の中に、九州ご出身の方がいらして、「ぬか漬け」を食べる習慣がなかった。というお話がありました。
私も福岡生まれで、福岡出身の母がぬか漬けを漬けている姿を見たことがなく、ぬか漬け文化のない家庭に育ちました。
そこで、「ぬか漬け文化は温かい地域にはないの?」「やっぱり、漬け物のイメージって寒い国?」と、ちょっと気になったので、調べてみました。
すると!なんと!
ぬか漬け発祥の地は北九州と言われているんだそうです!?
北九州小倉城藩主である「細川忠興」が「ぬか漬け」を食べ、城下の庶民にも広めたのだとか。
ぬか漬けにはその地域ごと、または作り手ごとに特色があり、その地域ならではの気候風土、作り手の思いや好みによって味や食材が多岐に広がっていったそうです。
さらに!
ぬか漬け発祥の地である福岡県北九州市の小倉城近くの八坂神社には、日本で最も古いといわれるぬか床があるのだそうですよ。
その歴史は約400年?!
冷蔵庫のない時代、世代交代をしても、毎日きちんと手入れをしてきたのでしょうか?!
オザワ先生の「ぬか床は、お手入れ次第で半永久的です。」が、実証されたお話でした。w
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