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  • 執筆者の写真morinone

【ことごと綴り】秋の養生編

雨が続き、それとともに気温も下がってきましたね。

このまま涼しくなっていくのでしょうか。


季節は秋へと巡って参りました。


今回は、五季の「秋」という季節の養生について、ことごとを綴っていきたいと思います。




※五季という考え方は、古代中国で始まった「五行説」と深い関わりがあります。

「五行説」について、もう少し詳しいお話はこちらをご覧ください。




【秋の食養生】


秋は実りの時季。


今までの成熟がカタチになって現れてきます。



春夏の間に取り込んだエネルギーの中から、必要なものを蓄えて不要なものを排出していきます。


この時季は、身体の中の不要なものを排出する働きをする「リンパ管」が多く張り巡らされている「肺」「大腸」の働きに支えられています。


リンパ管の中には数々の免疫細胞があり、身体の防衛作用を担ってくれています。

肺と大腸は、最大の免疫器官といってもよいといわれているのです。


リンパ管が詰まってしまうと、気管や気管支のトラブル、肌荒れ、湿疹、下半身のむくみ、首回りや肩、股関節の凝りなどが起こりやすくなります。



そんな季節の食養生をご紹介します。


皮付きの食べ物「一物全体」が食薬になり、皮膚や身体を潤し、呼吸器や腸の働きを高めると言われています。


そして色彩は白になりますので、「白」くて「辛」い「根」の野菜(白ねぎ、玉葱、大根、蓮根など)がよい季節です。


また、濃い緑の野菜の葉(大根の葉、小松菜、法蓮草など)も食薬になります。


大根は、甘味辛味があり、気の巡りをよくします。

消化酵素のジアスターゼやビタミンCの含有量も多い健康食材で風邪予防にも効果的です。

胃腸や呼吸の強化してくれるので口内炎や便秘、二日酔いにも効果があるそうですよ。


ごぼうは、気を下におろすので、イライラを抑えて精神を安定させてくれます。

解毒作用もあるので、肉や脂物が過食しがちな現代人に適していますね。



リンパ管を詰まらせやすい食べ物(動物性たんぱく質、乳製品、卵など)の食べ過ぎを控えて、解毒・分解を促す食べ物を取り入れましょう。



秋は実りの季節で「食欲の秋」でもありますが、食べ過ぎにはご注意を!


食べ過ぎると、大腸で異常発酵(腸内腐敗)を起こしやすく、リンパ管に汚れを溜めることになり体調不良を引き起こす可能性もあるのです。





〈おすすめの養生食材〉


大根・蓮根・玉ねぎ・白ねぎ・里芋

生姜・くず・自然薯・こんにゃく

きのこ類・人参・ごぼう・さつま芋・冬瓜

玄米・雑穀・大豆・胡麻など種子類

大根の葉・人参の葉・小松菜・法蓮草・ちんげんさい・春菊・ルッコラ

栗・葡萄・梨・桃・無花果・柿・洋梨・りんご

秋刀魚・鮭・いくら・たらこ



味付けは塩気や油を少し多めにしていつもより濃厚にするとよいです。


焼き物や揚げ物に偏らずに、じっくり時間をかけて調理した煮込み料理や、おひたしなどを食べることで潤いを保つことができます。


以下の料理を参考にしてみてください。




〈おすすめの料理〉


・新米の栗ごはん

・大根と雑穀ごはん

・根菜炊き込みごはん

・栗のポタージュ

・蓮根のみぞれ汁

・けんちん汁

・大豆の呉汁

・芋煮

・きのことごぼうとさつま芋のきんぴら

・冬瓜のそぼろ煮

・サンマの塩焼き

・小松菜と油揚げの煮びたし

・青菜とじゃこの酢醤油和え

・人参と春菊の胡麻和え

・大根と柿の漬物

・大学芋

・秋の果物のタルト

・スイートポテト など








【秋の身体養生】


暦の上では秋になったと言っても、まだまだ暑い日が続きますね。


日本の気候は確実に昔とは変わってきてしまっています。

暮らし方は先人たちに見習う部分を取り入れながらも、暑さを我慢せずに冷房を上手く調節して活用するなど、過ごし方は整えていきましょう。


ただし、身体の冷えはよくありません。基礎体温が下がって免疫力まで下がってしまいますので要注意です。

お風呂にきちんとつかるなど、身体を温める養生も必要ですね。


だんだんと秋も深まってくると、急に涼しくなり風邪をひきやすくなります。

季節の変わり目、台風などの気圧の変化によって、喘息やアレルギー体質が悪化する方、気象病で体調不良を感じる方も増えてきます。


食事や習慣を見直すことで養生し、不調の出ない身体に備えておけるといいですね。


風邪のひきかけには、まず綺麗な空気を身体の奥まで吸い込みましょう。

まずは息を吐き切り、ゆっくりと身体全体で横隔膜を広げて背中まで空気が入るくらいのイメージで吸います。


休みの日には、気分だけでなく、肺もリフレッシュする感覚で自然の綺麗な空気を吸い、樹や砂などに手や耳を当てて自然を五感で感じてみるのはいかがですか。



近年では、春の花粉症から始まりアレルギーが1年中長く続く方が増えているそうです。


原因は様々で、一概にはいえませんが、アレルギーなどほとんど見られなかった先人たちの和の季節の養生を取り戻していけば、おのずと改善に向かっていくと思いませんか。


早寝早起きで自然界のリズムに身体を整え、古来からの自然な食材を薄味でそのものの味を味わってみるのもよいですね。





<リンパマッサージのススメ>


血液が細胞に新鮮な酸素や栄養を運び、リンパ液は細胞から吐き出された二酸化炭素や老廃物、余分な水分などを回収します。


リンパ液の流れが悪いと、血管の中の老廃物が処理できなくなり、血液の汚れを浄化する「肝」や「腎」などにも負担をかけてしまい、本来の働きができなくなるために体調を崩してしまいます。


血液は心臓というポンプから送り出されるので流れる速度は非常に早く、約40秒で巡ると言われています。

それに対し、リンパ液はポンプ機能がないため全身を巡るのになんと約8時間かかるそうです!


リンパ液を動かすには身体を動かすことが一番なのですが、疲労、寒さ、ストレスなどに影響を受けやすく、流れが滞りがちになってしまうことも。


これを助けるためのリンパセルフケアをご紹介します。




【トリートメントオイルの作り方】



<材料>


・植物オイル 30㎖

・お好みの精油(エッセンシャルオイル)6滴



※植物オイル:アルガン油、オリーブ油、スイートアーモンド油、ホホバ油などトリートメント用のものをお使いください。


※「アロマオイル」と表記されているものは合成香料を含むものもありますのでご注意ください。必ず天然精油であることをご確認ください。




<作り方>


プッシュ式の遮光びんに植物オイル30㎖を入れ、デトックスに向いた精油をお好みの香りで合計6滴ブレンドしてよく混ぜます。



※デトックスに向いた精油:ジュニパーベリー、グレープフルーツ、ゼラニウム、サイプレス、ローズマリー、レモン、オレンジなど





【トリートメントのポイント】


・力を入れ過ぎないで、なでるくらいが丁度いい塩梅です。

・逆方向に流さないようにしましょう。

・オイルを両掌にしっかりとつけて無理に肌をこすらないようにしましょう。

・マッサージをする手の方ではなく、なでられている身体の方に意識するとよいです。

・体調不良の時は行わないでくださいね。

・終わった後は水分を取り、できるだけゆっくりとしましょう。





  1. トリートメントオイルを両手のひら全体によくのばします。

  2. 耳の下から耳の裏側、耳たぶを指で揉みます。

  3. 以下は、両手の指や手のひらでなでるように滑らせてマッサージ。

  4. あごの下から耳の下へ

  5. 鎖骨中央からわきの下へ

  6. 胸の下からわきの下へ

  7. 肘からわきの下へ

  8. 手首から肘へ

  9. お腹から太ももの付け根へ

  10. .お尻から太ももの付け根へ

  11. .膝上から太ももの付け根へ

  12. .足首から膝へ






【ちょっとよりみち綴り~自然治癒力について~】



今回の秋の養生の要所要所にでてきたキーワードに「リンパ」がありましたね。

そのリンパの働きは「体の下水管」のようなもので、老廃物や余分な水分など身体の中に溜まった要らないものを回収することでした。


そのリンパが流れるリンパ管は血管と同じように全身に網目の様に張り巡らされていて、その間には、フィルターの役割をする関門のようなリンパ節があります。


リンパ節では体内に進入した細菌や異物を食い止める役割をしています。


では、「身体の中に溜まった要らないもの」とは具体的には何でしょうか?


・食べ過ぎた栄養素

・老廃物

・農薬

・重金属

・化学物質

・薬     など


普段、このようなものが身体の中で溜まっているとはあまり想像しませんよね…。

(したくない、とも言えますが…)


こうやって見てみるとなんだか怖いです。


アレルギーの人が多くなったひとつの原因としても化学物質や農薬など身体に負担になるものの増加という説もあるそうです。


リンパが回収をする働きをしているとは言え、その「身体の中に溜まった要らないもの」は少ないにこしたことはありません。リンパの働きの負担が減った分、身体のエネルギーは身体をよくするため(自然治癒)に働くことができます。


ですから、日常の中で身体の負担を取り除くべく「まずは不必要なものを取り入れないケア」も大切になってくるのです。





【日常生活でのケアのポイント】


食に関しては、なるべく無添加・無化学調味料を心掛けるようにしましょう。


ちなみに、タレやチューブ入りのものや加工肉なども、知らないうちに「取り入れてしまう」食材の場合があるのでご留意くださいね。



白米を雑穀米や分つき米に替えてみる、白砂糖をきび砂糖やてんさい糖に、精製塩をあら塩にするなど、なるべく未精製の物を摂るようにするといいですね。



調味料は本当に発酵しているものをできるだけ取り入れ、油の質(低温圧搾の植物油)に気を付けるようにすると良いでしょう。


そして、発酵食品(納豆、漬け物、みそ汁など)を毎日バランスよく摂るようにしましょう。


発酵しているものはなかなか日常の買い物の中では入手しにくいかと思われます。


自家製調味料をつくるという選択もあります。(←モリ乃ネ推奨!!)


また、発酵しているものを作り続けて、皆さんへお届けしたいという作り手さん達もいらっしゃいます。

その方々の継続を助けるという意味でも情報を駆使して購入する、という選択もひとつですね。


その他暮らしの中でのポイントとしては、肌に触れるものはできるだけ天然素材(綿、麻、シルク)を使用して、締め付ける服ではなく、身体が程よくリラックスできる余裕のある服にしましょう。


下半身を温かく保つのもポイントです。


洗濯用洗剤は合成洗剤、柔軟剤についても気をつけてみるといいですね。


「経皮吸収」といって、皮膚から吸収すると、血管にそのまま吸収され、血液と共にとても速い速度で身体を巡ってしまうといわれています。


合成洗剤や柔軟剤が付着した衣類が一日中肌に触れているということは、最も化学物質を経皮吸収しやすい状態ということになります。


特に皮膚が薄い小さなお子様にはご留意されるといいと思います。これは住居用洗剤の化学物質も同様といわれています。



コロナ禍の現在は、どうしても日常的に殺菌除菌を徹底している方が多いと思いますが、除菌殺菌のし過ぎも身体の免疫力低下(特に子供)に繋がる可能性があります。


普段は、しっかりと石鹸で手洗いをし、うがいをすることを徹底するのがよい塩梅かと思われます。


上記のようにポイントはいろいろとあるのですが、いきなりすべてを徹底的に変えるのは難しいですよね。


これはだめ、それもだめ!と、そんなに気を張らずに構えて、まずは油や調味料を良いものに変えることから始めてみるのはいかがでしょうか。



それから発酵食品を毎日取り入れることも。(←モリ乃ネ大推奨!!)


この様に、身体によい働きをするものを選び、不必要なものはできるだけ取り込まないようにするという日々のケアは、お医者さんではできない処方ですから。


セルフケアで「不調にならない身体をつくる」=自然治癒力を高めることは、自分の身体を知ることから始まり、日々の選択、ケア、と「まずは自分を大切にする」ことに他ならないのですね。


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