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  • 執筆者の写真morinone

【季節つぶやき事典】第27回《立夏》

新暦の5月5日から(5月20日まで)入る季節『立夏』についてのお話しをしましょう。




《二十四節気》のひとつ立夏(りっか)は夏の節気、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑、の最初の節気です。

立夏は夏の兆しが見え始める頃です。


新緑を青々と茂らす木々たちがとても美しく、すがすがしい風を感じられます。

気温は高くても、梅雨の手前で湿度も低いため、とても過ごしやすく晴れた日が続く1年で最も爽やかな季節です。

外で過ごすには最適な季節ですが、もうすでに紫外線が強くなってくる頃でもありますので、お出かけの時には対策を忘れないようにしましょう。



旧暦の時代に、梅雨の晴れ間という意味合いだった「五月晴れ」という言葉がこの頃の爽やかな晴天という意味でも使われるようになりました。





立夏の《七十二候》は以下です。



・初候:蛙始鳴 (かわずはじめてなく) 5月5日〜5月9日頃


・次候:蚯蚓出 (みみずいずる) 5月10日〜5月14日頃


・末候:竹笋生 (たけのこしょうず) 5月15日〜5月20日頃




ひとつずつ見ていきましょう。





《蛙始鳴 (かわずはじめてなく)》



野原や田んぼで蛙が鳴き始める頃。


蛙の声が賑やかになってくると、野山の若葉もみずみずしく輝いて、まもなく本格的な夏が訪れます。


新緑の季節を「若葉時(わかばどき)」といいます。

若葉に降りかかる雨は「若葉雨」と呼ばれ、他にも新緑の頃に降る雨を「緑雨(りょくう)」「翠雨(すいう)」「青雨(せいう)」というそうです。

深まる緑を映して雨の色も変化していく表現は美しいですね。


「かわず」はもともと、川にすむ蛙を「河之蝦(かわづがえる)=川の蛙」といって、田んぼの蛙と区別していたものが次第に略されて「かわず」となり、一般の蛙の異名として使われるようになりました。


蛙の鳴き声はオスの蛙がメスの蛙を恋しがって鳴く声だとか。

雨蛙、殿様蛙、蟇蛙(ひきがえる)、牛蛙などのそれぞれに違った声のラブソングの合唱といったところでしょうか。


蛙の合唱が夜に響いていても、なんだか心地よく感じるのは、そんな甘くて優しい雰囲気が漂っているからなのかも。




立夏へと移る5月5日は「端午の節句」。


男の子の健やかな成長を祈願する日です。

別名「菖蒲の節句」ともいわれ、強い香りを持つ菖蒲で災厄を祓う日でもあります。



中国から日本に伝来した当初は、厄払いの菖蒲の節句の色合いが濃かったそうですが、鎌倉時代に武家社会となるにつれて、現在の男の子の成長を願う日へと変化していきました。


江戸時代になって男児の健康を祈る鯉のぼりを掲げたり、兜を飾る風習になり、菖蒲を武事・軍事を尊ぶ「尚武(しょうぶ)」にかけて、武家の男児の立身出世と武軍長久を祈る日となりました。



菖蒲をお風呂に入れる菖蒲湯は葉が香り立ち、茎が保温効果や血行促進になるそうですよ。

ぜひこの日の由来を子供たちに語り伝えながら、試してみるのはいかがでしょうか。






《蚯蚓出 (みみずいずる)》



蚯蚓(ミミズ)が土の中から出てくる頃。


蚯蚓は夏の訪れを告げ、田畑の土を豊かに肥やしてくれる隠れた味方です。


名前の由来は手足がなく目もないその姿から「目見えず」という言葉が派生したと言われていますが、ちゃんと光を感知し、暗がりに進む性質をもっています。


ミミズが掘ったトンネルは、植物の成長に大切な空気や水の通り道となります。 更に、落ち葉などの有機物を食べて、土の中に窒素やリンを含む栄養豊富のフンをすることで植物が育ちやすい土質に作り変えるのです。

これが「自然の鍬 (くわ)」とも呼ばれる所以なのですね。





ところで、話は変わりますが、苺の旬がこの5月から6月だということをご存知ですか?



現在、苺と呼んで美味しく頂いているのは「和欄苺(おらんだいちご」です。

日本に渡来するまでは、苺といえば「木苺」をさしていました。

和欄苺も木苺同様、本来は初夏に実を結ぶのですが、クリスマスケーキなどの需要と促成栽培の発達で冬の出荷が多くなったそうです。


人間が関わった時代の流れと共に、植物の旬が実際よく口にする時期と異なってしまうことは耳にしますが、事実を知ると、なんとも言えない驚きがありますね。





《竹笋生 (たけのこしょうず)》



筍(たけのこ)がひょっこりと土の中から出てくる頃。


筍は広い意味ではイネ科の竹の若芽のことを指します。

生長が早く、1日に120センチも伸びた記録があるとか。


竹には60個ほどの節がありますが、この節の数は、筍の時から変わらず同じだそうで、それぞれの節に生長点があるため、それらが同時に生長して、竹は驚異的な速さで伸びていくという事だそうです。


「筍の親優り(おやまさり)」ということわざがそれをよく言い表していますね。


他にも「雨後の筍」という筍の生態が元になっている言葉もあります。

この季節に雨が降ると、筍が次々と生えてくることから、一斉に似たような事が続いたり、物事が現れたりする様子を表すようになりました。


筍は日本で古来から食べられていて、植物繊維が多く含まれたヘルシーな食材として人気です。



出回る時期は孟宗竹(もうそうちく)という品種が春先の3月中旬からで、日本原産の真竹(まだけ)が5,6月に旬を迎えます。


掘った直後から堅くなり始め、えぐみが増すという筍の美味しさを最大限に味わうには、掘ってから1時間以内に調理をするのが目安とされているそうですよ。

朝掘りの新鮮なものはそのままお刺身でいただけるほど。


今の時代となっては、それはとても贅沢な美味しさになったのかもしれないですね。


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