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【季節つぶやき事典】第14回《霜降》


新暦の10月23日から(11月6日まで)入る季節『霜降』についてのお話しをしましょう。




《二十四節気》のひとつ霜降(そうこう)は秋の節気、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の6番目となり、秋の締めくくりの節気です。

いよいよ冬の始まりが近づいて来ています。

朝晩にぐっと冷え込み、北国や山里では霜が降りはじめるころ。

(平野は12月に入ると霜がやって来ます)



この頃晴夜に気温が下がり氷点下になると、空気中の水蒸気が地表に凝結して霜になりますが、霜降はこうした自然現象を表しています。

露が霜に変わり、初霜の知らせが聞かれるのも大体このころで、山は紅葉で彩られます。 

秋が一段と深まり、日が短くなったことを実感できます。

霜が降りるには、その周辺の温度が0℃以下であることが条件ですが、気象庁で発表される気温は地上から1.5mの高さで観測するそうですので、気温が3℃と発表されていても、地面の温度は0℃以下になっていることもあるようです。 花壇の中や土の道にも、霜を見ることができるかもしれません。

そして、見上げる木々は色づきはじめていますね。

木々の紅葉には、朝晩の冷え込みが関係しているのだそうです。 朝の最低気温が10度以下になると紅葉がはじまり、気温が低くなるほどに、 葉は色鮮やかに染まっていきます。

だんだんと冬が近づいてきました。

ビタミンが豊富な食材や体があたたまる料理を日々の献立に取り入れて、冷え対策を行いたいものですね。

霜降の《七十二候》は以下です。

初候:霜始降(しもはじめてふる) 10月23日〜10月27日頃

次候:霎時施(こさめときどきふる)10月28日〜11月1日頃

末候:楓蔦黄(もみじつたきばむ) 11月2日〜11月6日頃

ひとつずつ見ていきましょう。

《霜始降(しもはじめてふる)



北国からだんだんと氷の結晶である、霜がはじめて降りる頃となります。 晩秋のこの頃、朝晩の冷え込みがぐっと増し、早朝には草木や地面にうっすらと氷の結晶が付いていることに気付きます。 霜が降りるようになると、地面近くは氷点下まで下がっているそうですよ。

ちなみに、霜は、0℃以下に冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が昇華(固体化)して、針状,うろこ状,羽毛状,扇状などの氷の結晶として堆積したものなので、地中の水分が凍ってできる霜柱(しもばしら)とは異なります。

先人たちは、朝に外を見たとき、庭や道沿いが霜で真っ白になっていることから、雨や雪のように空から降ってくると思ったそうです。そのため、「霜は降る」というようになったのだとか。

ただし、現在の気象庁が定める予報用語としては「霜が降りる」という表現が正式で、「霜が降る」という表現は使わないのだそうです。

なんだか、ちょっと残念な気がするのはわたしだけでしょうか。

足元からの冷えに気を付けて着るものや身体を温める食べ物を工夫して備えましょう。


《霎時施(こさめときどきふる)



小雨が思いがけず降っては止む季節です。

雨が降ったかと思えば、すぐに青空が顔を出します。

この小雨とは、秋雨のようにしとしと降り続く雨ではなく、ぱらぱらと通り雨のように降り、じきに止んでしまうような「時雨 (しぐれ)」のことです。

「しぐれ」は「過ぐる」から転じた言葉ともいわれ、いわゆる天気雨・通り雨です。

時雨は、北西の季節風に流された雲が日本海側から太平洋側へ移動する際に盆地で雨を降らせることで、日本海側や京都盆地、岐阜、長野、福島などの山間部ではよく見られる現象だそうです。

初時雨は、人々や動物たちが冬支度をはじめる合図だといわれています。

《楓蔦黄(もみじつたきばむ)


もみじや蔦が色づいてくる頃。

葉が赤色に変わることを「紅葉(こうよう)」と呼び、銀杏のように黄色に変わることは「黄葉(おうよう)」と呼びます。また、秋の山が紅葉することを「山粧う(よそおう)」といいます。

「紅葉」は(こうよう)とも(もみじ)とも読みますね。

(もみじ)の語源は、草木が赤や黄色に染まることを「紅葉つ(もみつ)」「黄葉(もみつ)」といい、その葉のことを(もみじ)と呼んだことからとか、「揉みいず」で、色が揉み出されるという意味からと所説あるようですね。

北国や山々はすでに紅葉に染まっている頃ですが、紅葉前線が日ごとに南下してくる晩秋には、平地でも美しい秋の景色が楽しめます。

ちなみに、「もみじ」と「楓(カエデ)」の違いをご存知ですか?

実は「もみじ」も「楓(カエデ)」も「カエデ科カエデ属」。

違いがわかりにくいのは当たり前ですね。

違いを見分ける方法としては、葉の切れ込みを見ます。

葉に5 〜6個の深い切れ込みが入っていて、葉先が6〜7枚になっているのが「もみじ」。



それに対して、切り込みが浅く、葉先が9〜11枚と多いのがカエデです。



秋が深まるごとに色を重ね、まもなく散っていく紅葉は、移ろいゆく季節を愛でる日本人にとって格別なものであり、春の桜と同じくらい待ちわびられる存在でした。 紅葉狩りの歴史は古く、平安のころから始まったそうです。

貴族の間では紅葉見物が流行りましたが、狩猟をしない貴族の間では、草木を眺め自然を愛でることを狩りに例えて「紅葉狩り」となったといわれています。



ですが、当時の人々は紅葉の赤に無常(人生のはかなさ)を感じて、これから訪れる冬の寂しさや紅葉した後に散る葉にわが身を重ねていたという説もあり本格的に楽しむようになったのは室町時代以降とされています。

そして、現代のように紅葉狩りが世間一般に広まったのは江戸時代中期のころだそうです。


その頃、「都名勝図会」など名所を案内する本が伊勢神宮へお参りする伊勢講(いせこう)や熊野詣(くまのもうで)などの影響で庶民の間で旅行が流行したそうなのですが、その旅行ブームの火付け役となったのが名所案内本です。これらのガイドブックに紅葉の名所を紹介したところ、たちまちそこに人が押し寄せのだとか。


そして紅葉の木の下に幕を張り、お弁当やお酒を持ち込んで花見同様どんちゃん騒ぎをしたそうですよ。

今も昔も変わらない感じがしませんか?

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