新暦の11月7から(11月21日まで)入る季節『立冬』についてのお話しをしましょう。
《二十四節気》のひとつ立冬(りっとう)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の最初の節気となり、冬の始まりです。
朝夕冷えみ、日中の陽射しも弱まり木枯らしが吹きはじめ、山にも里にも冬が近いことを感じる頃となります。
木枯らし・凩(こがらし)とは、日本の太平洋側地域において晩秋から初冬の間に吹く風のことで、冬型の気圧配置になったことを示す現象です。
季節が秋から冬へと変わる時期に、初めて吹く北よりの強い風のことを「木枯らし1号」と言います。
気象庁では、東京地方と近畿地方でこのような冬になったことを感じさせる風が吹いた時、「木枯らし1号」のお知らせを発表しているのだそうです。
木々の葉が落ち、冷たい風が吹いて冬枯れの様子が目立つようになります。
早いところでは初雪の知らせが聞こえてくることも。
立冬の《七十二候》は以下です。
初候:山茶始開(つばきはじめてひらく) 11月7日〜11月11日頃
次候:地始凍(ちはじめてこおる)11月12日〜11月16日頃
末候:金盞香(きんせんかさく) 11月17日〜11月21日頃
ひとつずつ見ていきましょう。
《山茶始開(つばきはじめてひらく)》
山茶花(さざんか)が咲き始める頃。
山茶の読みは「つばき」ですが、椿 (つばき) でなくツバキ科の山茶花の事を指しています。
山茶花も椿もよく似た花を咲かせますが、この時期に先駆けて咲くのは山茶花です。
花びらが一枚一枚散る山茶花に対して、椿は散らずに花ごとぽとりと落ちるという違いもあります。
秋から冬にかけて鮮やかなピンクの花を咲かせる山茶花ですが、もともとの野生種は白い花です。ピンクや赤の花をつけるものは園芸種として品種改良されたものだそうですよ。
山茶花という漢字は、その昔、葉の部分をお茶として飲んでいたことに由来すると言われ、読みは、もともと「サンサカ」と呼ばれていたものが訛って「サザンカ」になったと言われています。
大輪の色鮮やかな花が綺麗に咲きほこり、冬枯れの景色の中で可憐に彩ることから、寺院や茶室の庭木としても好まれる花です。
《地始凍(ちはじめてこおる)》
冬の冷気のなかで、大地が凍りはじめる頃。
日ごとに寒さが増して夜は冷え込みがいっそう厳しくなります。
本格的な冬の到来です。
衣類や家の暖房器具など暖をとるものをしっかりと整えておきましょうね。
朝は霜が降り、場所によっては霜柱が見られるところもあります。
霜柱は、湿気の多い柔軟な土質の地中の水分が凍ってできる氷の柱のことです。
空気中の水蒸気が地物に昇華してできる霜とは異なるものです。
少し詳しく言うと、水は凍る時に、異物を吐きだしながら凍ろうとする性質があるのだそうです。
例えば、製氷皿に砂糖水を入れて冷凍庫で凍らせると、表面がべとべととした氷ができます。これは、水が凍るときに砂糖を表面に吐きだしたからです。
同じことが、土の凍結でも生じるため、霜柱は氷から吐きだされた土粒を頭に載せているという姿を見せてくれるのです。
寒い朝に、まだ踏まれていない土の霜柱をサクサク踏み荒らしながら歩く感触は心地よかったなぁ!靴がどろんこになるんだけどね。
とノブさんが楽しそうに話してくれましたよ。
《金盞香(きんせんかさく)》
水仙の花が咲き、芳しい香りが漂う頃です。
漢字やよみからは、春に咲くキク科の金盞花(きんせんか)を連想してしまいますが、ここでは水仙の花のことを表しています。
「金盞」とは金の盃のことで、水仙の黄色い冠がまるで金の盃のようなので、こう呼ばれます。
水仙は、11月から3月に開花し、6枚の花びらの真ん中に、黄色い冠の様な副花冠(ふくかかん)を持ちます。その様子から金盞銀台(キンセンギンダイ)とも言われます。
学名は「ナルキッソス」と言います。
「ナルシスト」の語源となった美少年ナルキッソスが登場するギリシャ神話は有名ですね。
ナルキッソスは、水鏡に映った自分の姿に恋をしてしまい、次第に憔悴して、遂には死んでしまいます。
彼が死んだ場所に咲いたのが水仙だったというお話です。
ひっそりと咲いた花が、うつむき加減にも見える清楚な水仙だったというのは、なんだか切ない気持ちになります。
現代でも、上品な香りと清楚な佇まいから正月の生け花として重宝されています。
ですが、実は…
有毒植物であることをご存知でしたか?
葉や球根に有毒物質が含まれているそうです。
水仙の葉がニラ、球根がタマネギと似ていることから誤って口にしていまい、食中毒になるという事故が起きているとか。
ニラやタマネギは匂いで判別できますので、間違って食さないように注意しましょう。
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