新暦の12月7から(12月21日まで)入る季節『大雪』についてのお話しをしましょう。
《二十四節気》のひとつ大雪(たいせつ)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の3番目の節気となります。
本格的に冬が到来する頃です。
陽はさらに短くなって寒さが増し、冬が深まっていきます。
山々は雪に覆われ、平野にも雪が降り積もります。
このころになると九州地方でも初氷が張り、全国的に冬一色になります。
新しい年の準備をはじめる「正月事始め」もこの時期を目安にするといいでしょう。
大雪の《七十二候》は以下です。
初候:閉塞成冬(そらさむくふゆとなる) 12月7日〜12月11日頃
次候:熊蟄穴(くまあなにこもる)12月12日〜12月15日頃
末候:鱖魚群(さけのうおむらがる) 12月16日〜12月6日頃
ひとつずつ見ていきましょう。
《閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)》
天地の気が塞がれ、本格的な冬が訪れる頃。
閉塞は「そらさむく」と読みますが、重く垂れ込めた雲に天地の気が塞がれて、生き物も動きをひそめている、そんな深閑とした冬日の様子を表す言葉です。
雪が深くなり、空は重い雪雲に覆われて本格的な冬がやってきます。
降雪地方では、雪の重みで木が折れないように雪吊りをします。
地域によっては大雪に閉じ込められ、厳しい冬になりますが、暖かい春を迎えるために人びとを守ってくれるのだと前向きに捉える方が良いようですね。
いろいろな事象を見る時に多面的な見方が必要ということを、先人たちは言葉にして季節を語ったのでしょう。
《熊蟄穴(くまあなにこもる)》
クマをはじめ、動物たちが冬ごもりをする頃です。
この時季には食物が不足してしまうことに起因しています。
秋になってドングリや山ブドウが実ると、それまで草を食べていたクマは、これらの栄養価が高い木の実をたっぷり食べるようになります。そして、皮下脂肪をたくわえます。
穴にこもる直前はもう食事をとらないのだそうですよ。
そして、飲まず食わずのまま、春を待ちます。
冬眠中のクマの脳波は、3〜4時間おきに、起きているときと同じ脳波になるといいます。つまり『冬眠』といっても、カエルやリスのように冷たくなって深く眠るわけではなく、代謝を落としてウトウトしている状態なのですね。
わずかな刺激で目を覚ますほど眠りは浅いようです。
ですので、クマの場合は「冬ごもり」という事が多いのだとか。
人間は、熊のように冬ごもりはしませんが、外で木枯らしが吹きすさぶ中、ますます家の中で過ごす時間が増えてくる時季です。
時々、クマとは逆に、体を動かす習慣をつけて、本格的な冬の暮らしに向けて暮らしを整えていきましょう。
《鱖魚群(さけのうおむらがる)》
鮭が群れをなして川を上っていく頃となりました。 川で生まれた鮭は、海で大きく育ち、産卵のために故郷の川へと帰っていきます。
鮭が生まれた川に帰ってくることを『母川回帰(ぼせんかいき)』と言います。
鮭はなぜ母川回帰することができるのでしょうか?
定説は1つに絞り込めないものの、現在、嗅覚や太陽コンパスなど複数の方法を賢く併用しているという考え方が有力視されています。
魚の嗅覚?!と驚いてしまうような話ですが、川のにおいとは、数十種類のアミノ酸の組成によって決まるそうです。
古来の人々は、そんな「鮭の遡上」を神秘的なものとしてとらえてきたのでしょう。
自然の生き物のチカラには、毎度のことながら感心させられますね。
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