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【季節つぶやき事典】第18回《冬至》

新暦の12月22から(1月4日まで)入る季節『冬至』についてのお話しをしましょう。




《二十四節気》のひとつ冬至(とうじ)は冬の節気、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒の4番目の節気となります。

冬至とは、北半球において日の出から日の入りまでの時間がもっとも短く、夜が一番長くなる日のことです。

夏至の日と比べると、北海道の根室で約6時間半、東京で約4時間40分もの差があるのです。

そして、寒さは厳しさを増す頃となります。

冬至は太陽の力が一番弱まる日ですが、この日を境に日脚が伸びていくので「この日から再び力が甦ってくる」=「太陽が生まれ変わる日」ととらえ、古くから世界各地で冬至の祝祭が盛大に行われていました。



冬至の別名は「一陽来復(いちようらいふく)の日」。

この日を境に運が向くとされています。つまり、みんなが上昇運に転じる日なのですね。

また、悪いことが続いた後に、ようやく幸運に向かうことの例えとしても使われます。

健やかな体と心で冬至を迎えて、運が向く日を迎えましょう。



さて、冬至の食べ物といえば代表格はかぼちゃですね。

なぜ冬至にはかぼちゃなのかご存知ですか?




かぼちゃは寒い冬に、ほくほくと身体が温まる料理に使われているイメージがありますが、原産地は中南米で、もともと暑い国の野菜なのです。

でも、かぼちゃは夏から秋に収穫されても、切ることさえしなければ、風通しのいい涼しい所で2~3カ月保存が可能です。


さらに、体内でビタミンAに変わるカロテンや、ビタミンB1、B2、C、E、食物繊維をたっぷり含んだ緑黄色野菜。

という訳で、新鮮な野菜が少なくなる冬を乗り切るために、冬至という節目の日にかぼちゃを味わって栄養補給をしよう!という先人たちの知恵とされてきたのです。


現在は、真冬でもハウス栽培や海外からの輸入などにより、豊富に野菜を食べることができますし、かぼちゃも旬の状態で食べることができるのですが、こうして現代まで風習として残っているということです。

風習には、きちんとした先人たちの暮らしが詰まっていますね。






冬至の《七十二候》は以下です。


初候:乃東生(なつかれくさしょうず) 12月22日〜12月26日頃


次候:麋角解(さわしかのつのおつる) 12月27日〜12月31日頃


末候:雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる) 1月1日〜1月4日頃




ひとつずつ見ていきましょう。







《乃東生(なつかれくさしょうず)》



乃東(なつかれくさ)が芽を出し始める頃。


乃東とは、冬に芽を出して夏に枯れる「夏枯草 (かこそう)」の古名で、紫色の花を咲かせる「靫草 (うつぼくさ)」の漢方名でもあります。

和名の靫草は、花の形が矢を入れる「うつぼ」という道具に似ていることから付けられました。


靫草は、日当たりの良い山野の草地に群生して、夏至の頃に枯れていきます。


今回の侯は、夏至の「乃東枯 (なつかれくさかるる)」と対になっているのにお気づきになったでしょうか。



冬至は、最も太陽の力が弱まり、生命の源ともいえる太陽の恵みを享受しにくいことから、人間の魂は一時的に仮死するとされたと言われています。


そんな中で新しい命を芽吹き始める靫草は、先人たちの心に希望を与えてくれる存在だったのかもしれませんね。






《麋角解(さわしかのつのおつる)》



オス鹿の角が落ちる頃。


「麋」とは、「なれしか」というトナカイの一種の大鹿、一般的にはヘラジカやトナカイの仲間を指しています。

ヘラジカは、人の手のひらのように平たくて大きな角を有しているのが特徴的であり、欧州ではエルク、北米ではムースと呼ばれるシカ科の動物です。


メスの鹿は角が生えませんが、オスの鹿は1年に1度、角が根元から自然にポロっと取れて、春に生え始めて枝分かれして、また大きくなった角は冬には抜け落ちます。

ヘラジカもトナカイも、実はもともと日本には棲息していなかった動物です。

日本で見られる鹿は、日本固有のニホンジカであり、「麋」とは呼ばれません。



七十二候は、古代中国から伝来した内容について、江戸時代、暦学者によって日本の気候風土に合う内容に改訂され、現在に至るわけです。

どうして日本に棲息しない「麋」まま変えなかったのか、謎の一つと言われているそうです。


七十二候の中では異色ですが、日本の気候風土だけに固執せず、柔軟な発想や世界観の広がりも感じられ、想像力をかきたてられる真冬の時季の候ですね



さて、新暦では数え日ですね。

年の暮れになり、日数が残り少なくなる時期のことを指します。


1年のカウントダウン。

今年はどんなことを感じながら過ごされますか。





《雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)》



降り積もる雪の下で、麦が芽を出す頃です。


寒さにも強く、辺り一面が雪に覆われていても、その下ではひっそりと芽吹き、暖かい春をじっと待っています。

先人たちは、そんな様子に思いを馳せたのでしょう。


麦は「越年草(としこえぐさ)」という別名があります。

10月から11月ごろにまかれ、寒さにも負けず、霜や雪にも耐えて年を越し、本格的な春を迎えるとあっという間に畑一面へと広がって、すくすくと育ちます。


初夏には黄金色に染まった麦の波があちらこちらに見られ、収穫の時季を迎え、七十二候は5月末頃に、24候の小満の末候『麦秋至(むぎのときいたる)』となります。

そして人の背丈をも超える程に成長して収穫を迎えます。



日本独特の「麦踏み」という風習をご存知ですか?


麦は、早春にせっかく芽吹いた芽を踏むという工程があります。

これは霜柱による土壌の浮きを防いで根張りを良くしたり、麦の伸び過ぎを抑えて穂の出方を均しくするために行うのだそうです。

何度か麦踏みをすることで、強い麦に育てることができるとか。


これもまた、経験からつくりあげた風習なのでしょう。

何事もやってみてから、“もっと良くしよう”という思いと試行錯誤がなければ成功に近づけないということなのですね。




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