【季節つぶやき事典】第21回《立春》

新暦の2月3日から(2月18日まで)入る季節『立春』についてのお話しをしましょう。






《二十四節気》のひとつ立春(りっしゅん)は春の節気、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の最初の節気でもあり、二十四節気の1年の始まりでもあります。

長かった冬が明けて、日もだんだんと長くなり、初めて春の兆しが表れてくる頃です。


草木が芽吹き、花が咲き、多くの動物たちが活動を始める、命の躍動を感じる季節。

春を迎えた喜びと年が明けた晴れやかさに、最も華やいだ時季だったことでしょう。


この立春から始まる新しい年に初めて汲む水を「若水(わかみず)」といって、健康や豊作、幸福を招く水とされています。


まず神棚にお供えをして、それから食事の仕度や洗顔に使います。


この若水でいれるお茶を「福茶(ふくちゃ)」といいます。煎茶やほうじ茶に、結び昆布や小梅などを入れていただきます。


3日の朝、じっくりと沸かしたお湯でお茶をいれてみてはいかがでしょうか。




立春の《七十二候》は以下です。


初候:東風解凍(はるかぜこおりをとく) 2月3日〜2月8日頃


次候:黄鴬睍睆(うぐいすなく) 2月9日〜2月13日頃


末候:魚上氷(うおこおりをいずる) 2月14日〜2月18日頃




ひとつずつ見ていきましょう。






《東風解凍(はるかぜこおりをとく)》



暖かい春の風が川や湖の氷を解かし始める頃。

七十二候では、この季節から新年が始まります。


東風とは春風のことです。

春風とは南から吹く暖かい風のはずなのに、どうして東風というのでしょう?


それは、七十二候がもとは中国から渡ってきた暦だからです。

中国では陰陽五行の思想が親しまれていて、春は東を司るということから東風というそうです。


この季節に最初に吹く、南寄りの強い風が「春一番」です。


立春になり暦の上では春ですが、2月はまだまだ寒いですね。


その寒さのことを先人たちは敢えて「春寒(はるさむ)」や「余寒(よかん)」と呼んで暖かな春の到来を心待ちにしていました。

もう春なのだから、この寒さは冬の名残りなんだよ、と。



旧暦の2月8日は「事始め」と呼ばれ、一年の祭事、農事を始める日でした。

何か新しいことに着手することも「事始め」。


春に向けて新たにチャレンジし始めるきっかけにするのもいいですね。










《黄鴬睍睆(うぐいすなく)》



春の到来を告げる鴬が山里で美しい鳴き声で鳴き始める頃。


早春に鳴くことから「春告鳥(はるつげどり)」ともいわれています。


春になって初めて聞く鶯のさえずりを「初音」といいます。

古来より「梅に鶯」などといって春の兆しを愛でてきたのです。


「ホーホケキョ」と尾を揺るがしてさえずり、「ケキョケキョ」と続けて鳴くことを「鶯の谷渡」といいますが、この鳴き声は有名ですよね。


でも実は、鶯は一年中日本にいる鳥なのです。

では、なぜ春先だけその美声を聞くことができるのでしょう?


それは、寒い時期は「チャッチャッ」と地鳴きをするだけなのですが、春になると繁殖期のラブコールや縄張り宣言の声としてさえずりを始めるという訳です。


しかも、初めは「ホ—ホケキョ」と鳴くことができないそうです。

練習を重ねてだんだんと上達していくそうですが、その上達の早さには、人と同じように個体差があるようですよ。

なんだか、親近感がわきますね。


若鳥は幼い頃に聞いた他の鶯の鳴き声を覚えていて、次の年の春にそれを思い出しながら練習して上手くなっていくそうです。


「ホ~…ケキョ!」と鳴いていた鶯がだんだんと上手になって「ホ~~~ホケキョ、ケキョケキョ!」と鳴けるようになっていったのを近所の里山で聞いたことがあると、ノブさんが話してくれました。

(たまに、「ホ~…」でやめる鶯がいて「やめるの?!」と突っ込みたくなった!とも。w)


皆さんも、この季節に鶯の声に耳を傾けて、上達具合を確かめてみてくださいね。4月には繁殖期を終えて山に帰っていくため、聞こえなくなってしまいますから。


「がんばって!」とつい応援したくなるかもしれませんよ。







《魚上氷(うおこおりをいずる)》



暖かくなって水がぬるみ、割れた氷の間から魚が飛び跳ねる頃。


そんな春先に薄くなった氷のことを「薄氷(うすらい)」と呼んでいます。

寒い冬の間水の底でじっとしていた魚たちも水がぬるむと元気に泳ぎ始めて喜びを表しているのかもしれません。


思わず、薄氷が割れた間から飛び跳ねるという表現をした先人たちの喜びも伝わってくる気がしますね。


2月からは、次第に渓流釣りが解禁されます。

待ちわびた釣り人が竿を片手に川へ出かけて、イワナやヤマメ、アマゴなど、春を代表する川魚を釣り上げるのは、季節の楽しみのひとつです。


これらの魚は、昔から住んでいる日本在来の渓流魚です。

日本人とともに生きてきましたが、今では貴重な存在になりつつあるということは感慨深いですね。



皆さんは「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれる、春を告げる魚がいるのをご存知ですか?


地域によって異なるそうですが、ニシンやメバル、サワラ(関西)、ヤマメ、アマゴなどだそうです。


それぞれの地域の方がそれぞれの魚から春を感じるというのは面白いですね!

お店で並ぶ魚たちの顔ぶれが変わり始めたら、「あ!春が来たなぁ」と感じてみてください。

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