【季節つぶやき事典】第24回《春分》

新暦の3月20日から(4月3日まで)入る季節『春分』についてのお話しをしましょう。




《二十四節気》のひとつ春分(しゅんぶん)は春の節気、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の4番目の節気です。

春分とは、太陽が真東から昇り、真西に沈む日のこと。

昼と夜が同じ長さになる春分の時期を二十四節気の大きな節目のひとつとします。

これは、秋分も同じです。


この頃には雨と晴れの日を繰り返し、一雨ごとに暖かさを実感できますが、急に寒気団が南下して真冬の寒さに戻ることがあって、寒の戻りと呼ばれます。



春分の日を中日にして、前後3日の7日間が、春のお彼岸です。



極楽浄土は西にあると信じていた先人たちは、太陽が真西に沈むこの日が極楽浄土に最も近づける日と考えたようで、彼岸に仏事を行うようになったとか。


「暑さ寒さも彼岸まで」といわれる通り、ようやく暖かくて心地の良い季節の始まりですね。


天文学的には、春分のから夏至の前日までが「春」となります。


最近は、早い時期から暑くなって夏のような日がやってくるので、この春の陽気を五感で感じながら味わいましょう。




春分の《七十二候》は以下です。



・初候:雀始巣(すずめはじめてすくう) 3月20日〜3月24日頃


・次候:桜始開(さくらはじめてひらく) 3月25日〜3月29日頃


・末候:雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす) 3月30日〜4月3日頃




ひとつずつ見ていきましょう。






雀始巣(すずめはじめてすくう)



雀が枯草や毛を集めて巣を作り始める頃。


この頃には昼の時間が少しずつ伸び、多くの小鳥たちが繁殖期を迎えます。


雀は軒下の隙間などに巣を作ります。

現在は瓦葺きの家が減ってきているので、雀が少なくなってきた一因だと言われています。


ノブさんは、昨年マンションの換気口などに雀たちが盛んに出入りする様子を見つけたそうです。

観察をしてみると、どうやら中に巣を作っている様子。

そのうちひな鳥の鳴く声が盛んにしだしたんだとか。


コンクリートののり面に設置してある水抜きのパイプの中から出てきたのも見たことがあるそうです。

大雨が降ったりしてお水が出てきたら…と考えるともっといい巣が作れる環境があればいいのにと思ってしまいますね。


草木の芽や葉が伸びて、雀の姿が隠れるほどになることを、「雀隠れ」というそうです。

時々、葉の茂った大きな木から「チュン!チュン!チュン!チュン!」と、もの凄い数の雀の鳴き声が聞こえてくることがありませんか?その様な木を知っているスタッフさんはその木を「雀の学校!」と名付けているそうですが、声だけが激しく聞こえてくるなんて、確かに「雀隠れの木」です。


隠れて楽しそうに何をしているのでしょうね。



雀は世界中に分布しているにもかかわらず、人間の住む集落にすみ、人間がいなくなると雀もいなくなるそうです。

人間のそばにいないと暮らせない雀ですが、飼うことは大変難しいといわれています。

私たちがカラスやハトと同じく、とても身近に感じる鳥なのに、案外不思議な鳥ですね。






桜始開(さくらはじめてひらく)



その春に桜の花が初めて咲き始める頃。


うららかな春の陽気に誘われて、あちらこちらで開花が始まるこの時季、桜前線の北上を日本中が待ち望む、お花見の季節の到来です。


日本人にとって、古来から花といえば桜というほど桜を愛で、歌に詠んできました。今も桜は春の到来を告げる象徴です。

日本では、卒業、入学、就職と、大切な人生の節目は桜の記憶と共にあると思いませんか。



今やお花見の桜といえば染井吉野がほとんどですが、実は江戸時代につくられた比較的新しい品種です。

それ以前は、桜といえば山間に咲く山桜のことでした。



この染井吉野ですが、実は繁殖能力が極めて低く、人間が接ぎ木をしないと増えません。

染井吉野が好きな人間と、その人間がいないと生きていけない染井吉野。

なんだか深いところにある愛情でつながっている感じがしますよね。



桜のつく旬の味覚に桜餅がありますね。

この桜餅に種類があることをご存知ですか?


小麦粉などの皮であんを巻いた関東風と、もち米を使った道明寺粉の皮の中にあんを詰めた関西風があります。

どちらも、桜の葉の塩漬けで包んであり、香りを楽しみながら春をしみじみと感じる和菓子です。


目で色を楽しみ、香りを感じ、少し塩気のある甘みを堪能しながら桜を眺め、春の空気が肌をかすめていく時間。


五感が研ぎ澄まされそうでいいですね。









雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)



春の訪れを告げる雷が鳴り始める頃。


この候は、秋分の初候「雷乃収声 (かみなりすなわちこえをおさむ)」と対になる候です。


三月初旬にある啓蟄のころに鳴る雷は「虫出雷(むしだしかみなり)」と呼ぶそうですが、春に起こる雷は「春雷(しゅんらい)」といって、穏やかな日常に突然起こる事件や心情の劇的変化を表す言葉としても使われます。


この時期は、暖かい日が多いのですが、ときに北から冷たい空気を伴った高気圧が南下して低温になったり、南関東では雪や雹(ひょう)が降ることも。

そんな桜が咲く頃に一時的に冷え込む様子を「花冷え」といいます。

美しい言葉ですね。


雷といえば夏に多いものですが春の雷はひと鳴りふた鳴りで止むことが多く、夏の雷雨とは違うようです。

その分大きな音に感じられて印象深くなるのでしょうか。


雷は少し怖いイメージですが、雷が多くなる春から夏は、ちょうど稲が育つ時期。 「雷の多い年は豊作になる」という言い伝えもあるように、昔は雷の光が稲を実らせ育てると考えられていたそうです。



この時季は、「一雨ごとに暖かくなる」という話をよく耳にしますね。


雨は、上昇気流で運ばれた空気中の水蒸気が上空で冷やされて雲になり、その雲の中で大きくなった水が雨粒となって降ってくるものです。

上昇気流は気圧差や気温差によって起こります。気温差(暖かいほうと冷たいほう)があって、雨が降ることで、暖かい空気が勝って、だんだんと春を運んでくるのでしょうか。


冬の冷たい雨、梅雨時のじっとりした雨、夏から秋に見られる豪雨と比べると、春の雨にはなんだか優しさがあふれていますよね。



天候の状況は不安定な季節ですが、雀が巣を作り、桜が咲き始め、遠くの空では雷が鳴り始める。

と、毎年順序よく流れていく季節は、「大丈夫、大丈夫だよ。」とどこか急いた現代の人びとの気持ちを安心させてくれるような気がしませんか。

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