【季節つぶやき事典】第25回《清明》

新暦の4月4日から(4月19日まで)入る季節『清明』についてのお話しをしましょう。




《二十四節気》のひとつ清明(せいめい)は春の節気、立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨の5番目の節気です。

清明とは「清浄明潔」という言葉を略したものといわれます。

すべてのものが清らかで生き生きして明るいという意味です。


若葉が萌え、花が咲いて、鳥たちが歌い舞い飛ぶ、それぞれの生命がいきいきと輝く季節の到来です。



清明の頃には、南東から「清明風」と呼ばれる穏やかな風が吹いてきます。

これは、冷たい北風の季節が終わり、春の到来を知らせてくれる風。

この時期になると晴れの日は暖かくて湿度も低く、とても過ごしやすくなります。木々の緑や色とりどりの花を眺めながら、散策を楽しみましょう。



この頃、空は青く澄んで気候は温暖になり、まさに清々しい時期。

新年度が始まり、新しい環境での生活や仕事がスタートする人も多いですよね。

その分エネルギーをたくさん使う時期ともいえます。

清々しい春の息吹を感じながら、動植物の生命力も分けてもらって乗り切りましょう。





清明の《七十二候》は以下です。



・初候:玄鳥至(つばめきたる) 4月4日〜4月9日頃


・次候:鴻雁北(こうがんかえる) 4月10日〜4月14日頃


・末候:虹始見(にじはじめてあらわる)  4月15日〜4月19日頃




ひとつずつ見ていきましょう。





玄鳥至(つばめきたる)



燕が南の国から渡ってくる頃。


「玄鳥 (げんちょう)」とはツバメの異名で、黒い鳥という意味です。

燕尾服の名の元になったふたつに切れ込んだ長い尾は特徴的です。


冬を暖かい東南アジアで過ごしたツバメたちは、繁殖の為、春になるとはるばる海を渡って日本にやってきます。

もともと日本で生まれ育ったのですから、帰ってくるという方がしっくりくるのでしょうか。


つばめの飛来は、本格的な春と農耕シーズンを表しています。


日本では昔から、「ツバメが巣をかけると、その家に幸せが訪れる」 という言い伝えがあり、ツバメは大切に扱われてきました。 これは、ツバメは米などの作物を荒らさず、害虫だけを食べてくれる益鳥として親しまれてきたことも関係しています。


モリ乃ネスタッフさんの最寄り駅には毎年たくさんのツバメが巣をつくるのだそうです。そう高くはない天井すれすれ、改札を行きかう人々の頭すれすれをひゅーん、ひゅーんと飛んでいるにも関わらず、誰も文句を言わず、ツバメたちを人々が見守っているその様子が好きだと言っていました。


雀同様、人間の近くに巣をつくり、外敵から身を守る生き方を選んだツバメ。

親鳥が危険に思ったり、環境が変化したりすると、巣を捨ててどこかに行ってしまうこともあるそうです。あまり近づき過ぎず、適度な距離で見守ることが大切なのかもしれません。


信頼された人間が、どの様に見守っていくのか、試されているのかもしれませんね。





鴻雁北(こうがんかえる)



ツバメの渡来とは入れ替わりに、冬を日本で過ごした雁が北のシベリアへと帰っていく頃。


雁は夏場にシベリアで子どもを産み育て、秋になるとまた日本へやってくる渡り鳥です。その旅路はきっと過酷で、大変なものなのでしょう。また元気に、日本にやってきて欲しいなと心から思います。


10月上旬には「鴻雁来 (こうがんきたる)」という季節があり、春に帰っていった雁が、その頃また日本へとやってきます。


昔から日本人は、雁の行き来に趣や季節の移り変わりを感じ、多くの詩歌に詠んできました。 「雁」「雁渡る」は秋の、「雁帰る」は春の季語です。


雁は宮城県の県鳥にもなっています。

「雁金紋(かりがねもん)」として家紋になっていたり、昔からたくさんの作品に登場したり、人々にとって思い入れの深い鳥ですが、現在日本ではその数を減らし、保護鳥の対象になってしまっています。



↑雁金紋


季節を象徴する動植物などが人間との関わりの中で生きにくくなってしまうのは、とても考えさせられる事情ですね。

人が人らしく、心豊かに季節を動植物から感じる。この習慣が少しでもそんなことに意識を向けるきかっけになるといいな、と思います。





虹始見(にじはじめてあらわる)



雨上がりに虹が見え始める頃。


春が深くなるにつれ、空気が潤ってくるので、この時期からきれいな虹を見ることができます。


春は陽の光はまだ弱く、その分、夏の虹に比べると淡くはかない虹ですが、それもまた趣があり良いものです。


晩秋には、また陽の光が弱まって虹を見かけなくなるということで、「虹蔵不見 (にじかくれてみえず)」という候があります。


ところで、漢字で虹は「虫偏」ですね。

これはなぜなのか、不思議だと思ったことはありませんか?

虹と虫はあまり結びつかないような気がしますが、中国では虹を「空にあらわれる大きな蛇」と見なす考えがあったようです。

大きな蛇が天に昇り、龍になると考えられていたそうですよ。

日本では、「虹の懸け橋」など、知らないどこかに行けそうな夢のあるメルヘンチックなイメージなので、力強い龍とは結び付きにくいのかもしれません。


虹色といえば日本では赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色。

でも、アメリカなどでは一般的に6色といわれていて、国や地域によっては5色、3色、2色というところもあるのだそう。


これは、何色ととらえるかは国や地域によってそれぞれ違っていたり、そもそもその色に名前がついていなかったりするため。

そう考えると、“虹は7色”と1番色数が多くて、しかも全ての色にちゃんと名前がある日本の繊細な色文化は素敵だと思いませんか。



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