【ことごと綴り】夏の土用養生編

夏本番!がやってくる季節ですね。

でも、実は暦の上では、すでに次の秋への移り変わりの時季となっているのです!


「ことごと綴り」では、二十四節気にまつわる食のことをその時季ごとに綴る他に、各季節ごとの養生にまつわること「季節の養生編」も綴っていきたいと思っています。


今回は、「夏」!といきたいところですが、今は、8月7日の立秋を迎える前の「夏の土用」の時季とされていますので、「夏の土用の養生編」となります。


まずは、その「土用」という季節についてお話をしてから、その時季の養生について綴って参りたいと思います。




【土用について】


雑節のひとつである土用。

土用は季節の変わり目のそれぞれの季節の終わりの約18日間をいいます。

年4回、合計約72日間あります。

二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬が春化秋冬の季節の始まりですから、その約18日前からその前の季節の土用に入るということになります。




春の土用:4月18日~5月5日頃

夏の土用:7月21日~8月7日頃

秋の土用:10月21日~11月7日頃

冬の土用:1月17日~2月3日頃


先人たちは、この土用前後に様々な儀式やお祭り、民間風習、養生法を多く残しています。

1年の季節の巡りの中で、過ぎる季節を終わらせて、来る季節を迎える時期です。

また、過ぎゆく季節と新しく迎える季節の境にある土用は、気の乱れる時期と言われ、体調を崩す人が増えるともいわれていますので、養生の点においても日本の季節を5季と捉え、一緒にその季節ごとの養生について見ていけたらと思っています。


ちなみに、この5季という考え方は、古代中国で始まった「五行説」と深い関わりがありますので、少しだけこの「五行説」についてご説明しますね。





五行説では、世界は「木火土金水」の5つの要素で成り立っていて、これらが相互に働き合うことで自然の移り変わりや生命の循環が引き起こされるとされています。

「春夏秋冬土用」の季節の他、内臓の働きや感情、方角、色彩なども5つの相に分類されます。

上図は5季それぞれの時季に影響を受けやすいとされる「5臓」とそれぞれ関連の深い味、色などをまとめたものです。この関係性は、東洋医学の現場などで広く活用されているそうです。


このことごと綴りの「季節の養生編」では、こちらを基に「春夏秋冬と各季節の土用」の養生などについて綴っていきたいと思います。




【夏の土用の食養生】


この、夏から秋に変わる土用は、年に4回ある中でも一番重要な土用といわれています。

土用の方角は中央。身体の真ん中であるお腹、胃腸に体調があらわれやすく、胃腸の疲れ、食欲不振、消化力の低下、風邪や微熱、だるさが起きやすいので、食材や食べ方、食べる時間などを見直してみましょう。


土用の色は黄色。

「黄色」くて「甘み」のある食べ物が食薬になる季節です。




〈おすすめの養生食材〉


とうもろこし・かぼちゃ・玉ねぎ

玄米・あわ・ひえ・きび・麦・ひよこ豆などの穀物類・甘酒

生姜・ターメリック・自然薯・くずなどの根菜類 など

うなぎ・梅干し・うどん・瓜など「う」のつくものがいいとされています。



野菜や穀物に含まれる自然の甘みを摂ることが大切です。そして、自然の甘みに塩気を足すと吸収が良くなります。



以下の料理を参考にしてみてください。



〈おすすめの料理〉


・とうもろこしごはん

・もちきび入り玄米ごはん

・梅干しと青じその玄米ごはん

・かぼちゃと玉ねぎの味噌汁

・けんちん汁

・ひよこ豆のコロッケ

・きんぴら

・甘酒カレー

・生姜入り甘酒 など








【夏の土用の身体養生】



体感的にはじっとりと汗が出る季節となりましたね。

肌トラブルはもちろん、熱が内側にこもるので内臓も炎症を起こしたり抵抗力が落ちて口内炎ができたり、風邪をひきやすくなったりします。


暑くなってくると、シャワーだけで済ませがちになりますが、こういう時期だからこそ、お風呂につかることが大切です。

体温調節や血液の循環に重要な働きをする汗を体の奥からかきましょう。

足湯や半身浴も効果的ですし、リラックスタイムにはもってこいです。

今回は、もっとも気軽にできる「ハンドバス(手浴)」をご紹介します。




〈ハンドバス(手浴)のススメ〉


冷房のかかった部屋で1日中すごしていると、案外身体は冷えているものです。

そこで、夕方のリラックスタイムを兼ねて植物療法のひとつ「ハンドバス(手浴)」はいかがでしょうか。


1 洗面器に38~41度くらいのお湯をはります。

少し熱いかなと感じるくらいがおすすめ。

(エッセンシャルオイルを使用するので、洗面器はできるだけホーローのものをおすすめします。)


2 お気に入りの精油(エッセンシャルオイル)を1~2滴(多く入れ過ぎないように)入れてます。もしも、精油が皮膚についてしまった場合はすぐにお水で洗い流してください。


ラベンダー、ローズセラニウム、ローマンカモミール、イランイラン、マジョラム、ローズ、ジャスミン、ネロリ、サンダルウッドなどがおススメです。




(※「アロマオイル」と表記されているものは合成香料を含むものもありますのでご注意ください。必ず天然精油であることをご確認ください。)


3 精油は水に溶けないのでよく撹拌します。


直接肌に触れると刺激を感じるようであれば、少量の植物オイルに混ぜてから入れると良いです。


(※植物オイル:アルガン油、オリーブ油、スイートアーモンド油、ホホバ油などトリートメント用のものをお使いください。)


4 手の筋肉をほぐしながら手首までしっかりと温めます。


首や肩の疲れも癒しながら、精油の芳香成分を呼吸から取り込めるので効果的です。

ほんの数分でもいいので、続けていくとさらに効果が増しますので、日々の習慣のひとつ加えてみてはいかがでしょうか。


※皮膚の弱い方、ご高齢の方は精油の量を少なくしたり、様子をみながら行ってください。妊婦の方は医師に相談をすると安心です。小さなお子様には行わないでください。





【ちょっとよりみち綴り~五感・嗅覚について~】


季節の養生で、ハンドバスについてご紹介しましたが、そこからちょっとよりみちをして、「嗅覚」についてひと綴り。


人間の五感のひとつ「嗅覚」は、個人差が特に大きい感覚だと言われています。


視覚は赤、緑、青の3色を感知する受容体があり、これらで全ての色を区別します。

味覚は、甘味・酸味・塩味・苦味・旨味と五味で様々な味を認識しますが、それに対して嗅覚は数百種類もの受容体があるそうなのです。


それらの組み合わせでにおいを感知するので、約1万種類を嗅ぎ分ける能力があるといわれています。

更ににおいは、無意識に出来事や周辺情報と一緒に記憶されていくので、個人個人の感じ方が異なってくるのだそうです。


人の感覚器官は、他の五感と巧みに連携して働いています。


例えば、食べて美味しいと感じるのは、味覚からだけでなく、他の感覚からの情報が統合されて生まれるものです。これは、人特有のもので、他の動物は体の構造上、人が感じるほど、味ににおいを感じることがありません。食べるという事は、生きるための栄養補給といったところでしょうか。


(人は直立歩行をするようになり、それまでまっすぐだった食道が喉のところで直角に折れ曲がったため、咽頭部が広がりました。その結果、食道と気道が平面交差するようになり、喉から鼻へ抜けるにおいを感じることができるようになったのです!このにおいが美味しさを感じる秘訣です。)



人の「食事」という営みは、単に空腹を満たして栄養補給をするためのものではありません。歯ごたえやその咀嚼音、色、形、熱感、そして香りなど五感を働かせて感じ、こころへも影響を及ぼすものです。


そんな大切な時間を1日3回も毎日過ごすわけですから、できるだけゆっくり味わっていただきたいものですね。


少しよりみちが脇道に入ってしまいましたが、嗅覚の話に戻ります。


嗅覚の感覚の幅を広げるためには、天然の香りがよいそうです。

天然の香りは、様々な香りの複合体なので、素材が持っている複雑なにおいがわかるようになっていくのだそうです。しかも、天然の香りはどこかはかなさを感じる様なさり気なさがありますね。


そんな微弱なにおいさえも検出できるようになるとものごとの多様性に気づけるようになるのかもしれません。


そんなことを頭の片隅において、嗅覚鍛錬も兼ねて、精油(エッセンシャルオイル)の芳香成分を愉しむのも面白そうですね。


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