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  • 執筆者の写真morinone

【季節つぶやき事典】第13回《寒露》

新暦の10月8日から(10月23日まで)入る季節『寒露』についてのお話しをしましょう。



《二十四節気》のひとつ寒露(かんろ)は秋の節気、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の5番目の節気となります。

寒露とは、晩夏から初秋にかけて野草に宿る冷たい露のこと。

その露が冷たく感じる頃となり本格的な秋の始まりになります。

朝夕の冷え込みも、涼しいというより、肌寒くなってくる頃ですね。

この頃は、大気の状態が安定して空気が澄んだ秋晴れの日が多くなり、夜空には月が明るむ季節へと移り変わります。

「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」という言葉を耳にしたことはありますか。

井戸の水を汲み上げる滑車を使った桶が、井戸の底へさっと落ちていく様に例えて、他の季節に比べ秋の夕暮れはあっという間であることを表すことわざです。

実際に6月の日没時刻は19時頃で、その後ゆっくりと暗くなっていきますが、11月になると日没時刻は16時30分頃となるうえに、日没後は急速に暗くなっていくのだそうです。



日が傾いてきたかと思うとすぐに空が茜色になりそして瞬く間に日が沈み暗くなってしまうため、つるべが落ちていくように短い時間に感じられるのですね。

この時期は、日一日と暗くなる時間が早まるのを感じて、少し物悲しく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

寒露の《七十二候》は以下です。

初候:鴻雁来(こうがんきたる)    10月8日〜10月13日頃

次候:菊花開(きくのはなひらく) 10月14日〜10月18日頃

末候:蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり) 10月19日〜10月23日頃

ひとつずつ見ていきましょう。

鴻雁来(こうがんきたる)


鴈が北から飛来し始める頃。

ツバメが南国へ去った後に、北国から冬鳥たちがやってきます。

鴨、白鳥、鴈の群れがV字の編隊を組んで。

ちなみに、V字型の編隊は省エネな飛行方法だそうで、実際、空力的な計算をすると、単独で飛行するのに比べ、25匹の渡り鳥がつながって飛ぶと、同じエネルギーで70%も飛行距離を伸ばせるのだそうです。

V字型編隊を組むのは、斜め後ろにいることで、後ろ向きの風+上昇気流の両方の恩恵があり、省エネで長旅を続けることができることを知っている鳥たちの知恵のカタチなのですね。

更に冬鳥たちは、日中は太陽と自分たちの位置を、夜は北極星と自分たちの位置を確認しながら飛ぶことで方向を見失うことなく旅をするらしいです。

毎年毎年、そうして秋に日本へ飛来し、春になると北へ帰るという冬鳥たちが受け継ぐ生きる力は目を見張るものがありますね。

日本に飛来する代表的な鴈は「真鴈(まがん)」といって、特に宮城や石川、新潟などで見られることが多いようですよ。


菊花開(きくのはなひらく)


菊の花が咲き始める頃。

菊は野生種がなく、1,500年ほど前に、チョウセンノギクとハイシマカンギクの交配でつくられたとされています。

本来は秋の花ですが、人工的に開花時期を遅らせる「電照菊(デンショウギク)」という栽培方法が普及して1月~3月に開花するものもあるそうです。

菊は、桜と並んで日本を代表する花ですが、実は日本自生の花ではないのです。

奈良時代中期頃に不老長寿の薬効があるとされ、薬草として中国から日本に伝来しました。そして日本で観賞用に改良を重ねられ、発展したのが「和菊」なのです。

菊を育てたり愛でたりすることは、身分を問わない娯楽であったために、江戸の園芸ブームから庶民にも広まりました。

明治以降は皇室を中心とした菊花会をきっかけに、菊花展や菊人形展が行われ、多くの人が季節を楽しむようになったそうです。

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)


秋の虫が戸口のそばまで寄ってきて哀愁たっぷりに鳴き始める頃。

はじめは野にいた虫たちが、秋が深まるとだんだん人家に近づいてきて軒下で鳴いたりする、という先人の観察眼は面白いですね。

虫たちも人恋しくなるということでしょうか。

蟋蟀」は「しっしゅつ」といい、コオロギやキリギリスのことを指すと言われていますが、「蟋」をコオロギ、「蟀」をキリギリスとする説など諸説あるようです。

コオロギやキリギリスは、秋の虫の中でも遅い時季まで鳴き続け、時には霜が降りる頃まで鳴くことも。

ちなみにコオロギは「コロコロ」と鳴き、キリギリスは「ギーッチョンギーッチョン」と機織りのように聞こえることから、別名を機織り虫といいます。

その鳴き声が深まる秋や夜長を感じさせてくれますね。

秋の夜長に何をしますか?

でも、夜更かしはほどほどに。

過ごしやすい気温が続く秋は、乱れた睡眠習慣を整えるのにうってつけの季節なんだそうですよ。

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