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【ことごと綴り】第4回《大暑》7月22日(~8月6日まで)
今回は二十四節気の夏の最後の節気「大暑(たいしょ)」のことごとを綴ってみたいと思います。

【二十四節気「大暑」きほんのお話】7月22日(~8月6日頃)
大暑は二十四節気の12番目で、1年の折り返し地点となっています。
梅雨が明けて本格的な暑さになる頃で、二十四節気の中で最も暑い時期とされています。
熱中症などの体調不良に最も注意が必要ですね。
台風が多い時期でもあります。年々台風による被害が増えてきていますので、十分な備えが必要です。

日の昇っている時間が長く、遅い時間まで明るいので夕涼みなどを楽しめます。
通例なら各地でお祭りや花火大会など、夏の行事が目白押しの時季ですね。
動物園の白くまに氷の柱をプレゼントというイベントはちょうど大暑の日に行われるそうです。
微笑ましい夏ならではのニュースだと思いませんか。
【大暑の七十二候】
5月ごろに花を咲かせた桐が実を結び、卵型の固い実をつけ始め、土はじっとりとして、むわっと熱気がまとわりつく蒸し暑さが最高潮に達する時期です。
むくむくと青空に広がる入道雲が夕立になり、大雨に見舞われることもあるので要注意です。
初候:桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ) 7月22日~27日頃
次候:土潤蒸暑(つちうるおうてむしあつし) 7月28日~8月1日頃
末候:大雨時行(たいうときどきふる) 8月2日~6日頃
※詳しくはこちらをご覧ください。
〈旬の食材Pick up①冬瓜(とうがん)〉

冬瓜の名前の由来は、収穫した後もそのまま冷暗所で保存しておけば、冬まで保存がきくからだとされています。
名前からすると冬の野菜かと思ってしまいますね。
でも、その実のほとんどが水分でできていて、夏の暑い時期に食べると身体に溜まった余分な熱を放出してくれるので身体の養生にもってこいの野菜です。
カロリーが大変低いため、ダイエット食材としても注目されているとか。
余分なナトリウムを排出して血圧を正常に保つ働きをするカリウムを多く含んでいます。
腎臓で老廃物の排出を促し、利尿作用もあるのでむくみの解消や高血圧にも効果的。
肌の健康維持に役立つビタミンCも含まれているので、夏の日差しに疲れがちな肌にもぴったりですね。
ずっしりと重みがあり、皮全体に粉を吹いているものが完熟のサインだそうです。
カットされているものなら、果肉が白くてみずみずしく、種がしっかりと詰まっているものが良いです。
ワタはスプーンを使うと、取り除きやすく、皮は薄くむくと、煮崩れしにくくなり、翡翠色に仕上がります。
〈旬の食材Pick up②スイカ〉

スイカは5~8月に旬を迎える、夏を代表する果物です。
原産はアフリカで、中国より西の方から伝わったウリであるため「西瓜」と呼ばれるようになったそうです。
「スイカ」という名前は外来語のひとつのようなもので、中国でのサイクワァから訛ってスイカになりました。
「スイカは野菜である」というのはご存知でしたか?
農林水産省で決定していて、農産物の生産分野における定義だそうです。
一方で、飲食店やスーパーによっては果物のように取り扱われているところが大半。
農林水産省のホームページでも、野菜と果物の明確な線引きはなく、国によっても異なると記されています。
う~ん、ではどっち???
日本の生産分野での定義としては樹からなるものを果樹として、草からなるものを野菜として取り扱っています。
スイカのように草から収穫できるメロンやイチゴも実は野菜ですが、「果実的野菜」という分類に分けられています。
果実的野菜!
いいカテゴリーがあったものですね。
スイカの9割は水分で、体を冷やす効果があります。
突出した栄養素はありませんが、ビタミン・ミネラルをバランスよく含んでいます。
スイカから発見されたアミノ酸、シトルリンには利尿作用があります。
また、水分が豊富で、同じく利尿作用のあるカリウムも含むことから、体内の水分排出やむくみ解消、疲労回復などに働きます。
スイカの赤い色は、トマトなどにも含まれるカロテノイドの一種、リコピンです。
強い抗酸化作用を持ち、生活習慣病予防に有効とも言われているそうです。
βカロテンも大量に含まれていて、抗発ガン作用や免疫賦活作用、その他にも体内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。
また、リコピンは、活性酸素を減らす働きがあり、老化予防に効果的と言われ、更に呼吸器系の免疫力を高めるともいわれています。
スイカを選ぶ際のポイントは、以下の3点です。
① 重量感があるもの
② へたの切り口がみずみずしいもの
③ 縞模様がくっきりとしているもの
カットスイカを選ぶ場合は、
① 空洞がなく切り口がなめらか
② 赤色が鮮やか
③ 種が真っ黒で太っている
近年は出荷元やスーパーなどでも糖度を測って表示している所が多いので参考にするのもおすすめです。12度以上なら甘いスイカだそうですよ。
スイカは冷やし過ぎると甘味が弱まり美味しさが半減してしまいます。
丸ままのスイカは風通しが良く、比較的涼しいところに置いておきましょう。
カットされた物は傷みが早いので冷蔵庫に入れておきます。
スイカは追熟しない果物なので置いておいても甘くはならず、収穫したときが甘さのピークと言われています。
時間が経つほど味が落ちるため、早めに食べましょう。
スイカを食べるとき、先に種を取り除いてから心置きなく食べたい場合は、縞目の真上を切ることで、種が表面に出て取り除きやすくなるらしいです。
逆に、表面に種が見えないように切るには縞目ではない方に包丁を入れるという事になります。
あなたはどっち派?
スイカは8℃から10℃が最も美味しく感じる温度だそうです。
冷蔵庫に入れる場合も、直前1時間ほど前に入れるようにしましょう。
スイカはほとんど余すとこなく食べられます。
果肉はもちろんですが、通常捨てがちな皮の部分も、昔から漬物にしたり、煮物にして食していました。煮物にすると冬瓜のような味、食感になります。
また、種は炒って塩味をつけるとビールのおつまみに。
近年は世帯人員の減少や冷房器具の普及により、スイカの消費量が減少しているそうです。
スイカは自然の恵みで夏の暑さをしのぐことができます。
1/4サイズのカットスイカや、1人サイズのパックに入ったスイカも売られているので、旬のうちにぜひ手に取ってみてくださいね。
〈旬の食材Pick up③青唐辛子〉

青唐辛子は色付く前に収穫した唐辛子です。
木になったまま完熟させると真っ赤になり、赤唐辛子になります。
青唐辛子を食べると主要な辛さ成分のカプサイシンが内臓感覚神経に働いて、アドレナリンの分泌を活発にさせるため、発汗及び強心作用を促す働きをするとされています。
唐辛子を食べると体が燃えるような感じがして汗が出すのはこのためなのですね。
唐辛子の刺激は胃腸をも刺激し、消化液の分泌を促すことになり消化を進めます。
また、食欲を増進させる働きもあるとされます。
食欲が落ちる夏、唐辛子を利かせた辛い物が食べたくなるのは、自然と身体が欲しているということなのですね。
栄養分として、ビタミンC・ビタミンE・βカロテンも含まれている良い食材です。
βカロテンは抗発ガン作用や免疫賦活作用、その他にも体内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。
唐辛子にはβカロテンと並んで、強い抗酸化作用をもつビタミンEが沢山含まれています。
これらは動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に良いだけでなく、美肌を保つためにも大切な栄養素です。
ただ、食べ過ぎると胃腸に刺激が強すぎるので注意しましょう。
鷹の爪など赤唐辛子は、加熱すると辛さが倍増するのはご存知でしょうか?
それに対して青唐辛子は加熱すると辛さが和らいで、ほんのりと甘みを感じるようになるんですよ。
選び方としては、全体にしっかりと色づき、表面に艶があるものを選びます。
軸の切り口がまだ新しく、茶色く変色したり干からびたりしていないかも確かめましょう。
生の青唐辛子は、乾燥しないように袋に入れて冷蔵庫の野菜庫に入れておきます。
1週間ほどは持ちますが、早めに調理や加工を。
青唐辛子は夏から秋の8月~10月頃が旬。 時期の終わり頃には、辛味がさらに増すそうです。
生食に適している時期は、6月から10月頃となります。
そう長くはない期間ですので、見かけたら買ってしまう方がいいかもしれませんよ。
少々値段がお高めなのは、旬の短さと、まだまだ馴染みの薄い食材なために、大量入荷をしていないところが多いからでしょうか。
それなら!
来年は、家庭菜園も考えてみてはいかがでしょう?
自家栽培は食べられるまでに少し時間はかかりますが、育てる楽しさから味わえば、何より美味しく感じるのではないでしょうか。
プランターで簡単に栽培でき、病害虫もつきにくい野菜で、初心者向けだと言われているようですよ。
今回はノブさんおすすめの「青唐辛子」を使ったレシピをご紹介します。

【青唐辛子の保存食♪】
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青唐辛子しょうゆ麹漬け(三升漬けアレンジ)
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北海道・東北地方の郷土料理「三升漬け」は、青唐辛子と醤油と米麹を一升ずつ、合わせて三升漬け込んだ保存食です。東北地方では、一升漬や麹南蛮とも呼ばれています。
三升は多いので現代の家庭でも食べきれる量にして、爽やかな辛みにうま味と甘みを加えて食べやすく、調味料としても使いやすいようアレンジしました。
長期保存が可能なので、青唐辛子の出回る時期に作っておきます。熟成が進むとともに辛さがまろやかになるので味の変化も楽しめます。

《材料》作りやすい分量(350ml容量の保存びん1本分)
・青唐辛子:100g(中25本くらい)
・醤油:100ml
・米麹:100g
・みりん:50ml
・刻み昆布:3g
◎唐辛子によって辛さが違うので、味をみて量を調整してください。
《作り方》
※青唐辛子を扱う時は、素手で触らずゴムやビニールの手袋をするようにしてください。
①青唐辛子は洗ってヘタを切り薄い輪切り、またはみじん切りにする。種はそのまま入れますが、辛さを控えたい場合などは種を取り除いて辛さ調整してください。
フードプロセッサーで細かくしでもよいです。


②青唐辛子、米麹、刻み昆布と、醤油、みりんをボウルに入れて混ぜ合わせます。
しっかり混ざったら清潔な保存容器に入れます。
③冷暗所に2週間以上おいて時々かき混ぜながら熟成させます。トロッとして味がなじんだら食べられます。
〈食べ頃〉
2週間ほどおけば食べられますが、1ヶ月以上おくとより味がなじんで辛さがまろやかになってきます。
〈保存〉
常温で1〜2年間。暑い時期は冷蔵庫に入れておくと風味が保てます。