6月17日(土)。
午前中にかもしラボ『旅する調味料講座』のあった日の午後、
引き続き、かもしラボの『定番調味料講座』とことん黄梅仕事!6月〈土曜クラス〉が開催されました。
『かもしラボ』は、手作り調味料研究家 オザワエイコさんが主宰する手作り調味料の仕込み教室です。
土曜クラスと火曜クラスがあり、毎月モリ乃ネキッチンスタジオで開催しています。
化学調味料や食品添加物をできるだけ使わず、厳選した素材で安心できる調味料づくりを実習します。
『定番調味料講座』では、旬の食材を使って、和の調味料を基本とした定番の調味料や保存食を仕込みます。
毎月、季節を楽しみながら調味料づくりができ、日々の食に重宝する調味料ばかりなので、年間通して参加される方や何年も通われている方もいらっしゃる、毎回人気の講座となっています。
午前中の『旅する調味料講座』に引き続き、『定番調味料講座』もモリ乃ネスタッフのヒロミが、初レポートさせていただきます!
6月のテーマは《とことん黄梅仕事!》
ひとり黄梅1kgを使って、梅しょうゆ、梅みそ、日本酒で仕込むスパイス梅酒、梅漬け、梅干し
と、とことん黄梅を楽しみます。
午前中の講座のスパイシーな香りが残るキッチンスタジオでしたが、次第に黄梅の香りが漂い、だんだんと空気感もなんだかまあるい感じになっていった気がします。
こちらが1kgの黄梅。
梅しごとを楽しんで好きになっていただくために、1種を大量に仕込むのではなく、少しずつここで試してみて、お気に入りのものを自宅で改めて仕込んでいただきたい、とオザワ先生。
確かに、素人の私などは、なんとなく毎年「梅しごと」と称して、梅酒か梅シロップを仕込みますが、それ以外の梅しごとというものはピンと来なかったり、やったことがないからやらない、やれない、のループにはまっている気がします。
こういった、“きっかけ”や“気づき”はとても大事なことかもしれません。
まずは、何を仕込むにしても「梅しごと」の欠かせない工程、「へそ取り」からスタートです。
これまでの「梅しごと」ワークショップなどでもそうでしたが、この作業が始まると、皆さん黙々と手を動かし始め、キッチンスタジオに和やかな空気が漂います。
コロンとまあるい梅の感触と、ほのかな香りに癒されるひとときです。
まずは、「梅しょうゆ」と「梅みそ」を仕込みます。
これらは、梅調味料の定番なのだそう。
梅しょうゆは、酸味と出汁の旨味と梅の香りがする醤油といったところでしょうか。
ぽん酢の代わりに使用したり、冷奴にそのままかけても美味しいのだそうです。
料理好きの参加者の皆さんからは、こんな風に使ったら美味しそう、というアイデアがポンポンと出ていましたよ。
流石です!
梅みそは、酢味噌の代わりに、ねぎぬたや刺身こんにゃく、ふろふき大根などに添えると美味しくいただけるそうです。
また、煮物などの隠し味にもよいそうですよ。
「梅干し」と「梅漬け」の違いってわかりますか?
梅の塩漬けをして、そのまま梅酢に漬けたままのものを梅漬け、
3日ほど天日干しをして殺菌し、保存力を高めたものを梅干しといいます。
違いは“干すか干さないか”だけなのですが、それぞれに風味が違い、食感も違うものになるのだそうですよ。
また、赤紫蘇の塩もみしたものを加えれば赤い梅漬けや梅干しに、入れなければ、白梅漬けや白梅干しなのだそう。
さらに、食べやすいように氷砂糖やはちみつ、酢などを一緒に漬ける減塩梅漬けというものも。
「どれがいい、こうしなくちゃいけない、というのではなく、どれが好きか、でいいんです。」
というオザワ先生のお話は、私の中でハードルがとても高くて手を出せなかった梅干し(梅漬け)も、仕込んでみようかな、と思ってしまうものでした。
今回は、昔ながらの酸っぱい梅干しと、土用干しなしの減塩はちみつ梅漬けを仕込みました。
梅酒は「日本酒で漬けるスパイス梅酒」を。
日本酒で漬けると、フルーティな香りをダイレクトに味わえるのだそうです。
オザワ先生のお話では、青梅と黄梅、砂糖入りとノンシュガー、シナモンやクローブなどのスパイス入り、梅だけでなく他の果実と一緒に、など、梅酒といっても様々な味わいを楽しむことができるので、こちらも少しずついくつか仕込んでみて、お気に入りのものを見つけてみるといいですよ、とのことでした。
梅漬けや梅干しを赤くする場合の赤ジソの使い方は、実際にもみシソを作りながら、捨てるアク汁と、完成したもみシソの色の違いを確認しました。
鈍い紫色から、鮮やかなマゼンダピンクに変われば出来上がりです。
最後に、梅干しを使って作る「煎り酒(いりざけ)」をデモンストレーションして、味見をしていただきました。
私は、この煎り酒というものを全く知らなかったので、デモンストレーションの間も、何が出来上がるのか全く予測がつきませんでした。
煎り酒とは、江戸時代から伝わる梅干しを活用した調味料で、特に白身の刺身を、“醤油で汚さず、黄金色の煎り酒で食す”という粋な食べ方があるそうです。
日本酒に梅干しを入れ、アルコールを飛ばしながら半量になるまで煮詰め、昆布や鰹節で出汁をきかせ、塩で味を調えた調味料といった感じでしょうか。
味は、これまで口にしたことのない調味料でしたが、梅干しの酸味と程よい塩味、そこに出汁の旨味が加わってとても美味しい!
こんな調味料があったなんて!
確かに、淡白な白身魚に合いそうです。
デモンストレーションでアルコールを飛ばす際に、
“こういったことも、知っておくといいでしょ?”
と、オザワ先生はわざと鍋に火を入れて発火させて見せてくれました。
鍋から換気扇まで上り立つ大きな炎。
実際、私も鍋でアルコールを飛ばすのを初めて見ましたし、よくテレビなどで見るような、一瞬ぼわっと発火するのではなく、結構長い間火がついていることに驚きました。
(こちらをする際の、換気扇周り、警報機などの諸注意もアドバイスいただきました。)
学校の家庭科の実習では教わりませんでしたからね。w
“体験で知る。”
大切なことだと思います。
最後は、そのままキッチンカウンターを囲んで、質問タイム。
個々の疑問などに先生がお答えします。
そんな中で飛び出した、“黄梅の実は生でも食べられる”を実体験することに。
梅の実は生で食べてはいけない、といわれているので、なんとなく食べない、という方が多いと思いますが、実は食べられるのだそうです!
青梅は、お腹を壊す方がいるようなので、あまり食べない方がよいそうなのですが。
早速、黄梅をカットして少しずつ皆で試食しました。
うん、プラムっぽい。
この日、皆さんにお持ち帰りいただいた5種の黄梅しごと。
さて、皆さんのお気に入りはどれでしょうか。
そして、どんな風にして楽しまれるのでしょう。
これをきっかけに、毎年季節のならわし、手仕事の楽しみが増えていくといいですね。
オザワ先生曰はく。
“梅雨の時期は雨が多くてジメジメして気分が下がり気味になるけれど、そんなことは言っていられないんですよ!忙しい季節なんです!”
梅しごとにらっきょう漬け、次は山椒!と、つぎつぎにやってくる季節の旬の恵みの手仕事。
“泣きながらでもやる!”
その言葉の裏には、
“やり終えた時の達成感や満足感を味わう”“やり終えた自分を褒めてあげる”
という本当の意味があるようです。
きっと、先人たちもそうだったのではないかと思うのです。
日々の暮らしの中で、季節ごとのならわし、手仕事を“大変だけどやる”。
そこに、充実感や生き甲斐が生まれ、生きる喜びを感じる。
そういうことなのかなぁ、と。
なんだか、これまで私の中では、昔から継承されているもの、
例えば「梅酒」というものは、「こういうもの」で、「こうしなくてはいけない」
という変な思い込みがあり、それこそ馬鹿1つ覚えのように、1度習ったまま、そのままを毎年繰り返していたように思います。
それが悪いというわけではありませんが、
「梅」という季節の旬の果実を、ひとつの食材として、いろいろと楽しんでみる。
そんな、シンプルな教えが、今回、私の中に“ストン”と落ちてきました。
でも、それは、その素材の扱い方をしっかりと知っていて抑えた上で、様々な味わい方を、これまでいろいろと試されてきた経験値からくるものなので、私が一足飛びにできることではありませんが。w
ノブさんもそうなのですが、料理を手掛ける方は、探求心をもって、本当にいろいろと試されているんですよね。
だからこそ、そこには本当の安心感があります。
ネットでは得られない情報がここにはあります。
そして、そのポイントを惜しげもなく教授してくださるのですから、とても有難いことだなぁと思うのです。
これからも毎月、かもしラボの講座は開催予定です。
とてもわかりやすく、普段の調理に取り入れやすいカタチで教えていただけますので、様々な新しい世界の扉を開きに、是非お越しくださいませ。
私は来月もまたお邪魔させて頂く予定ですので、今からとても楽しみです。
ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました!
仕込んだ黄梅を、愛でて育てて美味しく召し上がってくださいね。
【おまけ】
夏の日差しの中、エントランスに看板やリーフレットをセットするノブさん。
かもしラボの講座の際には、ノブさんも会場におります!
時には講座に参加しているなんてことも?!あるとかないとか?!
ノブさんに会いたい方も、是非かもしラボ講座にお越しください~。w
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