1月15日(日)。
季節は、大寒を迎える少し前の1年で最も寒い時期を迎えていますが、しばらく続いた晴天の日に湿り気の混じる曇りとなったこの日、老舗豆専門店 べにや長谷川商店の長谷川清美さんを講師にお迎えして、モリ乃ネキッチンスタジオ今年最初の「豆の教室」を開催しました。
この日は、特別ゲストをお迎えしてのサプライズもありましたので、その様子も含めて、モリ乃ネスタッフのヒロミがリポートします!
『豆の教室』は、豆のおいしさや素晴らしさをより多くの方に知っていただきたい、豆料理をもっと気軽に楽しんでいただきたいという想いから始まり、第1回目「大豆」、第2回目「小豆」、第3回目「えんどう豆」、第4回目「いんげん豆」に続き、今回で第5回目となります。
「べにや長谷川商店」さんは、昭和元年より北海道遠軽町にて北海道産の豆類を扱う老舗豆専門店。
特に力を入れているのは、農家さんが何代にもわたり北海道でつくっている、ごくわずかにしか残ってない在来種の豆です。
講師の長谷川清美先生は、「べにや長谷川商店」のご長女で、横浜市に設立された販売会社「べにやビス」の代表取締役。
豆の販路を広げるほか、横浜で「お豆サロン」「お豆の学校」などを主宰し、豆料理や郷土食など豆の食べ方の普及に力を注いでいらっしゃいます。
今回の豆のテーマは、リクエストが多かった「ひよこ豆」です。
世界66カ国の豆や豆料理を取材してきた長谷川清美さんに、現地でのエピソードや、国内でもひよこ豆を使った料理を食べられるお店情報なども交えながら、調理法やアレンジ料理を教えていただきました。
こちらが今回使用する、戻す前のひよこ豆。
水煮されたものを目にしたり、料理に使うことはありましたが、この様な状態のひよこ豆を目にしたことはなかった私。
「鳥のくちばしのような突起があり、ひよこのような形をした豆」あるいは「ひよこのふっくらしたお尻をイメージさせる形の豆」というのがひよこ豆の名前の所以であると聞いていましたが、なるほど、この状態の方がその様子がわかりますね。
ちなみに日本はひよこ豆の栽培に適した気候でないことから、国内でほとんど生産はされていません。
主にアメリカやメキシコ、カナダ等から輸入されているそうです。
ひよこ豆は、食感が栗に似ていることから「くり豆」とも呼ばれ、独特のホクホク感があって、日本でもカレー、スープ、サラダ等の食材としてよく口にするようになりましたね。
そして!
今回、会場には、もうひとりサプライズゲストの方がいらっしゃいました。
べにや長谷川商店の長谷川ミヨさん!清美先生のお母さまです。
北海道遠軽町からおみえになっていて、この日は特別に、ご自慢の『ばたばた焼き』の作り方をご披露くださったんですよ。
詳しくは、のちほどお伝えしますね。
絶妙な清美先生との母娘トークが、会場を賑やかにしてくれるひとこまも。
この日のデモンストレーションでは、
・豆の基本の調理方法(もどす・茹でる・圧力鍋で茹でる)
・ひよこ豆のアレンジ料理
*ミャンマー風ひよこ豆の豆腐“トゥ・フン・ノエ”〈ねぎ油とパクチーのピリ辛だれを添えて〉
*本場レバノンのファラフェル(ひよこ豆のコロッケ) 〈ヨーグルトソースと一緒にピタパンにはさみます〉
*グリルにんにくフムス(ひよこ豆のペースト) 〈グリルにんにくを使ったクリーミーでスパイシーなフムス〉
*練りごま入りひよこ豆あん 〈コクのあるひよこ豆のあんをクラッカーにつけます〉
これだけの品数を調理!
にがりを加えず、豆に含まれるでんぷん質で固めるというひよこ豆の豆腐「トゥ・フン・ノエ」は、準備の段階から、“固まらない”という、ちょっとしたハプニングもありましたが、その理由や回避方法なども全てお話をして、実際にご自宅で調理する際のリアルなアドバイスをいただきました。
フムスに使う、お芋みたいにほくほくになったグリルにんにく。
ニンニクをグリルすると、甘みが出て臭いも味もマイルドになるのだそうです。
ひよこ豆のコロッケ、ファラフェルをボール状に丸める作業からは、皆さんにもご参加いただきました。
最年少の小学3年生の男の子も、とても楽しそうに、上手に丸めてくれていました。
ピタパンにフムスを塗り、野菜とともにファラフェルを挟み、特製ヨーグルトソースをかけてでできあがりです!
またまたボリューム満点のランチが完成しました!
優しいひよこ豆の風味に、ニンニクやスパイス、香草のパンチが効いた食べ応えのある一品。
この後、ミヨさんの“ばたばた焼き”がデザートに控えていると聞いて、1つはお持ち帰りになる方がいらしたほど!w
そして、皆さんがランチを召し上がっている間に、お待たせしました!
長谷川ミヨさんのご登場です!
代々木公園で開かれるアースデイにべにや長谷川商店さんが出店した際、
豆を販売する横で、ミヨさんの“ばたばた焼き”を実演販売されていたそうですが、
子供からお年寄りまで幅広い年代で絶大なヒット商品になって、長蛇の列ができるほどの人気!
(ノブさんも並んで食べたことがあるんですって?!)
この“ばたばた焼き”は、北海道の郷土食。
救荒食だった馬鈴薯のでんぷんからつくられた昔ながらのおやつで、お米が手に入らなかった時代によく食べられたものだそうです。
地元でも今では、日常家庭でこの団子をつくっているのはごくわずか。知っている人も60代以上の人たちに限られてしまうのだとか。
ミヨさんは、この郷土食を受け繋いいていく「“ばたばた焼き”伝承人」でもあるのです。
「流し団子」「でんぷん団子」など、同じ地域(遠軽近隣)でもいろいろな呼称があるようです。
まさしく、家庭のおやつだったのでしょうね。
ミヨさんの“ばたばた焼き”は、前川金時という豆をと、未粉製法といって70~80℃の低温でじっくり乾燥させたでんぷん粉を使い、もっちりした食感と甘じょっぱいシンプルな味わいが特徴。
粉の混ぜ方、焼き加減や、ひっくり返す頃合いなどを、デモンストレーションしながら教えていただきました。
今回は、食後のデザートとしてお作りいただいたので、ミニサイズで。
ミヨさんは、“これじゃあ、小さすぎるわ!”と、いつもと勝手が違ったので、少し戸惑っていらっしゃいましたが、とても食べ応えのあるランチの後には丁度良い塩梅でした。
焼きたては、本当にもっちりとして、カリっともちっと感の中に、しっとりとしたお豆の食感が加わって、本当に味わい深いんです!
ぺろりと頂いてしまいました。
こういった、無添加の素朴な家庭のおやつ、味と共に、その時代の何かをひっくるめたカタチで、これからも親子代々継承していけたらいいのにな、と思ってしまいます。
今回、最年少小学3年生から80代の方までと、3世代に渡る幅広い年齢層の方々と共に、にぎにぎしく、そして情報もお腹も満載で終了することができました。
このモリ乃ネキッチンスタジオの、このほんの小さな集まりの中でも、大切な何かが継承されるような時間であったらいいなぁ、と感じました。
最後に《ご参加いただいた方のご感想》
●ミヨさんがとても良いキャラで楽しかったです。ひよこ豆をスパイシーに食べたり、甘くしたり、とてもバラエティー豊かで、勉強になりました。美味しかったです!(40代女性)
●ばたばた焼きは初めて頂きました。甘味、塩味が程よく、もちもちした食感が心地良く、継いで欲しい郷土料理だと思いました。ひよこ豆の世界各所の料理も美味しかったです。(60代女性)
●海外のひよこ豆料理を食べられて、ばたばた焼きも美味しくて、初めて食べるものばかりで楽しかったです。知見が広がりました。(50代女性)
ご参加いただきました皆さま、どうもありがとうございました!
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