2月になりましたね。
今月のことごと綴りをお届けします。
“伝統を受け継ぐ”というとなんとなく重たい心持ちになりますが、暮らしの中で人から人へ自然と繋いできたというものも少なくありません。
先人たちの祈りや願いや暮らしの中の工夫、そして楽しみがそこにはあります。
これからの時間の流れの中にも、それらが無理なく続き、人の営みに彩りを添えてくれたらと思います。
2月 【和風月名 如月】
立春を迎えますが、体感的にはまだまだ寒くて冬の季節ですね。
でも、暦の上では春の気配が。
次なる季節の兆しが少しずつですが、感じられるようになってきます。
動植物同様、私たちも目覚めの季節に向けてウォーミングアップを始めるタイミングですね。
新しい生活に向けて、新しい習い事、始めてみたい趣味、見直したい生活習慣などなど、リサーチを始めてみてはいかがでしょうか。
<2月のならわし>
・2月3日頃
節分
豆まき
柊挿し(ひいらぎさし)
節分蕎麦
恵方巻(えほうまき)
・2月4日
立春(りっしゅん)~二十四節気
・2月5日
初午(はつうま)
・2月8日
事八日(ことようか)・こと始め・針供養(はりくよう)
・2月中旬~3月中旬
梅まつり
・2月19日
雨水(うすい)~二十四節気
・2月下旬~4月下旬
初音(はつね)
※それぞれのならわしの詳細はこちらをご覧ください。
<旬の野菜>
新ワカメ・春菊・菜の花・ほうれん草・わけぎ・京菜
<旬の魚貝>
蛤・ワカサギ・白魚・カサゴ・メバル・赤貝・サヨリ
<旬の果物>
伊予柑・ぽんかん
<季節の草花>
欄・満作・猫柳・雛菊・梅・片栗の花・いぬふぐり・沈丁花・かすみそう
今月の旬の食材
『長ねぎ』
ねぎには、大きく分けて、根元の白い部分を食べる「根深ねぎ」と、葉の部分を食べる「葉ねぎ」があります。
「根深ねぎ」は主に関東で食べられてきたねぎで、一般には「長ねぎ」「白ねぎ」と呼ばれます。
すなわち
「根深ねぎ」=「長ねぎ」=「白ねぎ」
長ねぎの食用にする白い部分は根でも茎でもなく、葉です。
葉なのに緑にならないのは、根元にどんどん土を盛り上げて日光に当てずに、長く生長させるからなのです。
一方、関西で多く食べられてきたのが「葉ねぎ」です。
葉ネギは土を盛らずに日光に当てて育てます。
すなわち
「葉ねぎ」=「青ねぎ」
なぜ、こうした地域によって種類が分かれてしまったのかというと、原産である中国では、寒冷な地域では白い部分が多い「太ねぎ」、温暖な地域では緑の部分が多い「葉ねぎ」、中間部分では両方の性質を兼ね備えた「中間種」が産地になっていました。
これが日本に入ってくる中で、比較的寒冷な東日本で「長ねぎ」、温暖な西日本で「葉ねぎ」に分かれていったと言われています。
以前は「関東は白、関西は緑」と分かれていましたが、最近では地域を問わず使われるようになりましたね。
どちらも通年出回っていますが、おいしくなるのは「長ねぎ」が冬、「葉ねぎ」は春といわれています。
ねぎは、薬味など、生で使うとネギ本来の辛味や独特の香りが活き、焼く・煮るなどの加熱調理をすると辛味が消えてマイルドな甘み、とろりとした口当たりになります。
ところで、
わけぎ、あさつき、小ねぎの違いってわかりますか?
見た目はよく似ていますが、異なる種類なのだそうですよ。
球根があって葉が細く緑色が薄いのがあさつき、球根があって葉が太いのがわけぎです。
球根がないのが小ねぎ(万能ねぎ)です。
「わけぎ」はねぎと玉ねぎの交雑種。
根元からよく枝分かれするので「分け葱(わけぎ)」の名がつきました。
葉は直径7mmほど。
甘みがあり、軟らかいのが特徴。
「あさつき」は山などに広く自生していた山菜の一種で、ねぎとは種類が異なります。
葉の細さが直径2〜3mmほど。
食用とするねぎの中でもっとも細いことから「イトネギ」とも呼ばれています。
辛味があり、主に薬味として使われます。
山形県では伝統野菜として親しまれており、冬から春にかけて収穫される新芽の部分が流通しています。
「小ねぎ」は品種名でなく、青ねぎを若取りしたものです。
「万能ねぎ」は小ねぎの一種で、葉は直径5mmほどで、福岡・筑前JAあさくらの登録商標なのだそうです。
ですから、
「葉ねぎ」=「青ねぎ」=「小ねぎ」=「万能ねぎ」≠「わけぎ」≠「あさつき」
となりますね。
その他にも、ねぎは500種以上もあるそうです!
・赤ねぎ
茨城県で多く栽培され、レッドポワローの名でも市販される。
赤紫色の鮮やかな外皮が特徴で、甘みがあり、柔らかい。
・仙台曲がりねぎ
宮城県仙台市余目地区が発祥地。
苗を寝かせて植え、軟白させることで曲がったねぎになる。甘みと柔らかさに定評がある。
・下仁田ねぎ(しもにたねぎ)
群馬県甘楽郡下仁田町を中心に栽培されている。
白い部分が太く、加熱するとトロリとして甘い。鍋料理やすき焼きなどに向く。
長ねぎの青い部分は、スーパーによっては短く切られていることもあり、食べられない部分だと思っていた方もいるかもしれません。
でも、実は、白い部分と青い部分はどちらも葉ですので、すべて食べることができます!
(色が違う理由は、先述の様に、日の当たったところだけが青くなるから。)
白い部分にはない栄養素も数多く含まれているので、捨ててしまうのはもったいないのです。
切っているとぬめりが出てきますが、これは「フルクタン」という長ねぎの成分によるもので、食物繊維のひとつですので、免疫力を高めたり長ねぎの甘味を決めたりする役割があります。
青い部分は、白い部分に比べて香りや辛味が強く、シャキッとしたかための食感が特徴です。
ねぎの風味や辛味が好きな方は、香りを活かして薬味として使うのがおすすめ。
また、炒めものなどに入れると鮮やかな緑色で彩りがよくなりますよ。
加熱すると甘味も出てくるので、生でも加熱してもおいしく食べられますよ。
煮豚やゆで鶏などを作るときに青い部分を一緒に鍋に加えると、臭み消しとしても活躍します。
季節の保存食
『うまだし ねぎ醤油だれ』
今回ご紹介をする季節の保存食は、旬の食材「長ねぎ」を使った「うまだしねぎ醤油だれ」です。
冬に甘みが増して美味しくなる旬の長ねぎをたっぷり使ったねぎ醤油だれ。
じっくり炒めた長ねぎと玉ねぎの甘みと香りに、生姜、にんにく、ごまの風味、かつお節の旨みが加わっています。
唐揚げ、蒸し鶏、焼き魚、お鍋、豆腐、納豆、ご飯など、いろいろな料理にかけたり和えたりできる万能だれです。
すぐになくなってしまうかもしれないので、多めにつくり置きしておいてもいいですね。
【材料】つくりやすい分量(約300ml)
・長ねぎ:1本(約100g)
・玉ねぎ:1/2個(約80g)
・塩:ひとつまみ
〈A〉醤油:50ml
〈A〉みりん:50ml
〈A〉酢:30ml
〈A〉生姜(みじん切り):小さじ2
〈A〉にんにく(みじん切り):小さじ1
・白いりごま:大さじ1
・かつお削節: 5g
・ごま油:大さじ2
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【つくり方】
①長ねぎ(青い部分も)と玉ネギ、生姜とにんにくをみじん切りにします。
〈A〉を混ぜ合わせておきます。
②フライパンにごま油を中火で熱し、①の長ねぎと玉ねぎ、塩をひとつまみ加えて炒めます。
火を通すとねぎの水分と香りが出てくるので、水分がなくなり、少し焦げ目がつくくらいまでじっくり炒めると香ばしくなります。
③〈A〉、白いりごま、かつお削節を加えて混ぜ合わせ、みりんのアルコール分を飛ばします。沸騰したら弱火にして3分ほど煮ます。
④火を止めてそのまま冷まし、粗熱が取れたら清潔な保存容器に入れます。
冷蔵庫で30分ほどねかせて味をなじませます。
できあがり♪
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〈メモ〉
*唐辛子(鷹の爪輪切り・一味唐辛子など)、豆板醤、ラー油などをお好みの量加えると、ピリ辛風味のたれになります。
*レモン汁を加えたり、お酢の量を増やして、ポン酢風にしても美味しいです。
〈食べ頃〉
冷蔵庫で30分程おいたら食べられますが、さらに一晩(6〜8時間)ねかせると、より味がなじんでより美味しくなります。
〈保存〉
冷蔵庫で1週間ほどが保存の目安です。なるべく早めに使い切りましょう。
〈アレンジメニュー〉
*ご飯、お粥、卵かけご飯、冷奴、納豆などにかけて。
*鍋のたれに。湯豆腐、水炊き、しゃぶしゃぶなど。
*唐揚げの下味に使っても、かけダレにして油林鶏風にしても。
*焼き魚、揚げ魚、魚のムニエル、蒸し鶏、鶏肉のグリル、焼き鳥、鶏ハム、豚しゃぶなどにかけるタレとして。
*焼いた厚揚げや油揚げ、蒸しなすや揚げなすにかける。
*和風パスタ(きのこ・いわし・なす)、チャーハン、焼きそば、卵焼き。
*お好み焼き、ねぎ焼き、チヂミのつけだれ。
*肉料理の下味、豚肉や鶏肉の炒めもの。肉料理の下味にも。
*魚介類の和えもの(茹タコ、茹エビ、サーモン、鰹のたたき、マグロ、ホタテ)。
*ナムルの和えダレ。
*ドレッシングやマリネに加えても。
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