5月になりましたね。
今月のことごと綴りをお届けします。
“伝統を受け継ぐ”というとなんとなく重たい心持ちになりますが、暮らしの中で人から人へ自然と繋いできたというものも少なくありません。
先人たちの祈りや願いや暮らしの中の工夫、そして楽しみがそこにはあります。
これからの時間の流れの中にも、それらが無理なく続き、人の営みに彩りを添えてくれたらと思います。
5月 【和風月名 皐月】
花々が咲き乱れ、新緑が美しく、1年で最も爽やかさを感じる頃ではないでしょうか。
もう、夏の気配も少しずつ感じ始める頃です。
長期連休もありますので、外に出て自然をたっぷりと味わってみるのはいかがですか。
外で過ごすには最適な季節ですが、もうすでに紫外線が強くなってくる頃でもありますので、お出かけの時には対策を忘れないようにしましょうね。
<5月のならわし>
・5月2日
八十八夜(はちじゅうはちや)
・5月5日
端午の節句(たんごのせっく)
・5月6日
立夏(りっか)~二十四節気
・5月21日
小満(しょうまん)~二十四節気
※それぞれのならわしの詳細はこちらをご覧ください。
<旬の野菜>
新牛蒡・空豆・さやえんどう・紫蘇・らっきょう・大蒜・レタス
<旬の魚貝>
鰹・イサキ・真鯵・真子鰈・真魚鰹・キス・カマス・アオリイカ
<旬の果物>
マンゴー・バナナ・メロン
<季節の草花>
菖蒲・藤の花・かきつばた・卯の花・薔薇・紅花・和蘭撫子(おらんだなでしこ・カーネーション)
今月の旬の食材
『緑の豆(そら豆・グリーンピース・枝豆)』
【グリーンピース】
市場に出回っている、「さやえんどう」「グリンピース」「スナップエンドウ」は、分類上同じものであることをご存知でしたか?
「えんどう豆」の生長度合いや品種によって、異なる名前で呼ばれているのです。
↑サヤがやわらかい早期に収穫するのが「絹さや(さやえんどう)」。
↑これよりも少し生長し、熟す前のえんどうを、むき実にして食べる「実えんどう」の仲間の1つがグリーンピースです。
缶詰や冷凍品などで年中、出回っていますが、グリーンピースの旬は3~6月にかけて。
ほっくりして、香りも甘みも格別です。
未熟だった豆はその後、完熟した緑色や赤などの豆になり、緑色の青えんどうは煮豆などに、赤(茶)色の赤えんどうは和菓子の餡などにそれぞれ利用されます。
先人たちは、えんどうの生長過程で美味しい部分が違うのに気付き、それぞれを上手に食してきたのですね。
↓ちなみに、実もさやも同時においしく食べようと改良されたのが「スナップエンドウ」で、近年人気の出てきた品種ですね。
グリーンピースというと、シュウマイの上にのっているイメージがありませんか?
実はグリーンピースがシュウマイにのっているのは日本発祥なのだそうですよ!
残念ながら日本のシュウマイの歴史に関しては記録がないらしく、正確な理由はわからないそうですが、一般的に昔からよく言われているのは
「給食を子どもたちに楽しんで食べてもらうためにイチゴのショートケーキをイメージした」
「蒸籠を開けた時に湯気の中でも数を把握しやすいように目印代わりにのせた」
「冷凍食品メーカーが見栄えや栄養バランスを考慮した」という説。
ちなみに、大手食品メーカーの方の話によると、最近ではカニやエビシューマイもあることから、実は40年以上前から、だんだんのせるメーカーは少なくなってきているのだそうです。
もはや、グリーンピースつきのシュウマイは希少?!
今の子供たちが描くシュウマイに、グリーンピースはのっていないのかもしれませんね。w
【枝豆】
枝豆は大豆(ダイズ)が完熟する前の若い状態で収穫して食べるもの、つまり、未成熟の大豆です。
色が青いうちに収穫したものが枝豆、完熟して茶色くなってから収穫したものが大豆になります。
この未成熟の大豆を食べるという食習慣は、日本独自のことで、枝豆の発祥地は日本なのです。
(※大豆の発祥地は中国とのこと)
最近は、日本食ブームや冷凍品の普及により海外でも食べられるようになり、英語でも「edamame」と表現されるのだそうですよ。
収穫時期が異なるだけでどちらも同じ植物ですが、大豆は豆類、枝豆は野菜類に分類されます。
品種改良によって枝豆に適した専用種も開発され、近年は白毛豆(青豆)以外や茶豆種、黒豆種など、枝豆専用の品種だけで400種類もあるそうですよ。
枝豆をおいしく食べられるのは、主に夏の時期です。
地域によって細かな時期は異なりますが、6~8月ごろに旬を迎えます。
枝豆は鮮度がとても重要で「枝豆は湯を沸かしてから収穫にいけ!」と言われるほど。
それは、枝豆が収穫後も生長を続け、その維持活動に「糖」を使うため。
収穫をしたその瞬間にも最も糖を含んでいて、後は刻一刻と糖の含有量が減ってしまうからです。
味が落ちる原因になるので常温保存は避け、一度塩茹でしてから冷蔵庫に入れて保存。
下茹ですることで、味が落ちるのを防ぎやすくなります。
枝豆のおいしさを保ったまま長期保存したい場合は、少し固めに茹でて冷凍するのがおすすめです。
【そら豆】
詳しくはこちらをご覧ください。
季節の保存食
『緑の豆のオイル漬け』
今回ご紹介をする季節の保存食は、旬の食材「緑の豆(そら豆・グリーンピース・枝豆)」を使った『緑の豆のオイル漬け』です。
春から初夏にかけて旬の色鮮やかな緑色の豆は、香りよく、甘みと旨みが格別です。
生のそら豆やグリーンピースは出回る時期が限られているので、旬の時にまとめて保存食にしておけば、ゆっくり味わうことができますね。
蒸してオイル漬けにすると、鮮やかな色味や豆の風味を保ちつつ、使いたい時にすぐに使え、料理のアレンジもしやすくなって、とても便利です。豆とにんにくの風味が移った漬けたオイルも一緒に使えます。
若葉のような鮮やかな緑の豆は、料理を爽やかな春の彩りにしてくれますよ。
【材料】できあがり量 約500ml
・そら豆:150g(サヤから出した豆 /サヤ約13本・豆約30粒)
・グリーンピース:100g(サヤから出した豆 /サヤ約25本)
・枝豆:200g(サヤのまま/サヤ約75本)
・塩:大さじ1
・にんにく:1かけ(スライス)
・オリーブオイル:約200ml(豆全体が浸るくらい)
*豆の香りを楽しむため香りの強くないあっさりしたものがよいです。
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【つくり方】
①そら豆はサヤから出し、黒い筋と反対側の薄皮に浅く切り込みを入れます(後で薄皮をむきやすくするため)。グリーンピースは豆をサヤから出します。
②蒸し器で、そら豆、グリーンピース、枝豆をそれぞれで蒸します。
蒸し時間は、そら豆3分ほど、グリーンピース2分ほど、枝豆サヤのまま4分ほどです。
グリーンピースは蒸し上がった後、粗熱がとれるまで蒸し器の中に置いておきます(すぐに取り出すと皮がシワシワになってしまいます)。
③そら豆は、粗熱が取れたら切り込みから薄皮をむきます。枝豆は、サヤから豆を出します。
キッチンペーパーなどで、それぞれの豆の水気を取ります(水気を取ると日持ちしやすくなります)。
④清潔な保存容器に、3種の豆とスライスしたにんにくを入れ、塩を加えます。オリーブオイルを豆全体が浸かるくらいひたひたに注ぎ入れます。
フタをして冷蔵庫で保存します。
できあがり♪
〈メモ〉
*他の茹でた豆(大豆・ひよこ豆・いんげん豆など)でもつくれます。
*蒸した方が豆の風味が残りますが、茹でてもよいです。
〈食べ頃・保存〉
1時間漬けて味をなじませたら美味しくいただけます。
冷蔵庫で2週間ほどが保存の目安です。
オリーブオイルから豆が出て空気に触れないように保たせてください。
〈アレンジメニュー〉
*パスタ・豆ご飯・季節の具材と炊き込みご飯・リゾット・グラタン・ドリア・ピザなど
*サラダのトッピング・季節の具材とマリネ(スモークサーモン、茹で蛸、帆立・白味魚の刺身・えび・トマト・玉ねぎ・チーズなどとよく合います)・ポテトサラダに加える。
*ペースト状にしてオイルと一緒にドレシングに。
*チーズ、ドライトマト、新玉ねぎのスライス、ハーブなどと合わせておつまみに。
*肉料理や魚料理などのメインの付け合わせ。カレーの付け合わせ。
*白和え、ヨーグルト和え、マヨネーズ和え、ナムル風などの和えもの。
*肉や魚と一緒に煮込む。トマト煮込み。
*漬けたオイルも使って季節の具材との炒めもの。
*スープの具に。ペースト状にしてポタージュスープにしても美味しい。
*バケットにのせて、チーズ、マヨネーズ、黒こしょうなどとオープンサンドに。トーストにしても。
季節の保存食『緑の豆のオイル漬け』
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