今回は二十四節気の秋の最初の節気「立秋(りっしゅう)」のことごとを綴ってみたいと思います。
【二十四節気「立秋」きほんのお話】8月7日(~8月22日頃)
二十四節気のひとつ立秋(りっしゅう)は秋の節気、立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降の最初の節気となります。
暦の上では秋の気配が見え始める頃ですが、まだ体感的には夏真っ盛りの時期です。
ここから秋に向かっていくといった感じになっていきます。
立秋以降は夏の名残の残暑と言います。
立秋を過ぎたら「暑中見舞い」も「残暑見舞い」に変わりますのでご注意くださいませ。
まだまだ暑い日が続いても、秋の気配は空からもやってきます。
空が少しずつ高く感じられるようになり、もくもくとした夏雲と一緒に薄く刷毛で描いたような秋の雲が見られるようになるのです。
【立秋の七十二候】
暑い最中にも夕暮れ時にふとそよぐ風や、日が落ちると草むらから聞こえる虫たちの涼しげな音色に、秋の気配を感じて季節の移ろいを感じるようになります。
この時期の早朝、空気が湿り気を含んでいる日には、山や水辺に白く深い霧が立ち込めて、幻想的な風景が見られることがあります。 まだ残暑の厳しさの最中ですが、朝夕は少しひんやりとした空気が心地よく感じられる季節です。
立秋の《七十二候》は以下です。
初候:涼風至(すずかぜいたる) 8月7日頃~8月11日頃
次候:寒蝉鳴(ひぐらしなく) 8月12日頃~8月16日頃
末候:蒙霧升降(ふかききりまとう) 8月17日頃~8月22日頃
※詳しくはこちらをご覧ください。
【季節の食材】
〈旬の食材Pick up①獅子唐(ししとう)〉
獅子唐はハウス栽培なども進み通年出回りますが、もっとも美味しい旬の時期は、太陽をいっぱい浴びた露地物の唐辛子が収穫される7~8月にかけてです。
唐辛子には辛い「辛味種」と、辛味の少ない「甘味種」があります。獅子唐はピーマンなどと同じ甘味種です。
でも、ときどき辛味の強いものがありますよね?
その原因は栽培環境や受粉の状況などによるものだそうです。
見た目での判断は難しいですが、種が少ないもの、皮の色が黒っぽい緑色のもの、形がいびつなものは辛味が強いことがあるのだそう。また夏場は辛いものが増える傾向にあるようです。
食べてみないとわからないなんて、ロシアンルーレット的でなんだかおもしろいですよね。w
漢字では「獅子唐」と書きますが、この「獅子」は、獅子唐の先端が獅子の口に似ていることが由来だといわれています。
よく見てみてくださいね。
獅子に見えてきましたか?先人たちの感覚に近づけましたか?w
獅子唐はビタミンCが豊富なので免疫力アップや風邪予防、美肌効果などが期待できます。
また血圧の上昇を抑える作用のあるカリウムや、エネルギーの代謝に関わるビタミンB6も比較的多めです。
抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンEが沢山含まれています。
βカロテンは油で炒めると効率よく摂取できます。
ビタミンEは動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に良いだけでなく、美肌を保つためにも大切な栄養素です。
獅子唐は甘味種ですが、辛味種のとうがらしに含まれる「カプサイシン」が含まれていて、脂肪燃焼や血行を促進する効果も期待できるそうですよ。
鮮やかな緑色をいていて艶があり、しっかりと固さを感じるものを選びましょう。
軸の切り口が新しく、茶色かったり干からびたりしていないかも確かめます。
獅子唐は暖かい環境で育った野菜なので、冷蔵庫に長時間入れておくと低温障害を起こして傷みやすく、カロテンも減ってしまいます。
保存する場合は乾燥しないようにビニールやポリ袋に入れて、10度前後の野菜庫で保存するのがベストです。
油との相性がとてもいい食材なので、炒めても、炒め煮にしても、焼いても揚げても美味しくいただけます。
でも、丸まま揚げる場合は中の空気が膨張し破裂しないように、必ず竹串で所々穴をあけておきましょう。
〈旬の食材Pick up②茄子〉
一般によく出回っているものには、「卵型」のものやそれよりやや面長の「長卵型なす」です。
他に、大きい「米なす」や、丸型の「賀茂ナス」などがよく知られています。また、非常に長い「長なす」やさらに長い「大長なす」、色の白いなすなど種類が多いのも特徴です。
原産地周辺の東南アジアなどでは日本とは違い、白や緑色のものが一般的なのだそう。その為、英語では"Eggplant"(たまご植物)と呼ばれるようになったようです。
一般的な物は全国で栽培され、ハウス栽培もされているため、産地をかえながら通年市場に出荷されていますが、本来は誰もが知っている通り夏野菜です!6月頃から9月頃が旬となります。
秋に茄子がおいしくなるのは、気候が落ち着いた頃に実るからです。
夏の気候は熱帯出身の茄子にとっても辛く、夏の間は実を付けるのが精一杯。アミノ酸などのうま味を充実する余裕がないためです。
とはいっても、ここでの秋とは、晩夏から初秋の9月頃のことをいい、10月や11月の本来の秋ではありません。
茄子の皮にはアントシアン系色素である「ナスニン」というポリフェノールの一種が含まれています。
ナスニンには発がんや抑制する抗酸化作用があり、眼精疲労にも効果があるといわれています。茄子を調理するときは皮ごと使いましょう。
茄子には利尿効果のある「カリウム」も多く含まれます。尿が排出される時、体の熱も奪うので体の内側にこもった熱を排出する効果の他、カリウムは体から過剰な塩分を排出する効果もあるため、血圧を下げます。
血圧が下がると全身の血液の流れがゆっくりとなるため、体温が上がりにくくなるのです。
なすはこの2つの効果で体を冷やすというより体温を上がりにくくするのです。暑い夏にはもってこいの野菜ですね。
皮が濃い紫色で、張りとツヤがあり、ふっくらしていて同じ大きさなら重みのあるものを選びましょう。
ヘタの切り口がみずみずしく、トゲがピンととがっているものが新鮮です(トゲのない品種もあります)。
冷気と乾燥が苦手なので新聞紙などに包んで涼しい冷暗所、または冷蔵庫の野菜室で保存します。
空気に触れると酸化して変色するので、カットしたらすぐに調理しましょう。
アクが気になる場合は水にさらしますが、長時間さらすと水っぽくなるうえにアントシアニンが溶け出してしまうので要注意です。
茄子は淡泊な味でクセがなく、油との相性がよい野菜です。
味もしみこみやすく、加熱すると食感がなめらかになり、天ぷらやおひたしなど日本料理にもよく合う食材ですね。
ところで、「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざを聞いたことはありますか?
言葉の意味は幾つか説があるそうですが「おいしいから嫁に食べさせるのはもったいない」という意地悪な方ではなく「体を冷やすから良くないよ」という優しさを感じる方の説だったらいいなぁと思っています。
〈旬の食材Pick up③無花果(いちじく)〉
その名は、中国での名前「映日果(エイジツカ)」がなまって「いちじく」となったという説と、一日一個ずつ熟すから、または一ヶ月で熟すから、「一熟」と名がついたという説があります。
また、「無花果」と書きますが、実際には花が咲かないわけではありません。実の中に無数の白い花を咲かせるので外から見えず、花が咲かないように見えるからなのです。
いちじくの収穫時期は長く、8月頃から10月頃までとされています。
旬のはしりになる、6月頃から7月頃に採れる品種を「夏果」、8月頃から10月頃までに採れる品種を「秋果」と呼びます。
また、初夏と秋の両方で実がなる品種もあります。
イチジクは水溶性の食物繊維であるペクチンを豊富に含んでおり、腸の活動を活発にさせ、便秘に効果があります。
カルシウムや鉄分など、血や骨の素となるミネラル分をバランスよく含んでいます。
身体からナトリウムを出す働きがあるため、高血圧症の方によいとされているカリウムも含まれています。
フィシンなどの酵素も含まれており、食後に食べると、消化を促進させてくれるそうです。また、お酒を飲んだ後に食べると、二日酔いにもなりにくいとも言われています。
最近では、女性ホルモンの調整にも効果を発揮するとして、注目されている食材です。
果物の中には、バナナのように収穫してから一定期間眠らせることでより甘みを出す「追熟」ができるものがありますが、いちじくは「追熟できない」部類に入りますのでお店で選ぶ時がポイントになります。
いちじくは完熟すると、果頂部というお尻の部分がぱっくりと割れてくる特徴があります。裂け目ができ初め、中の紅い花が見えているくらいがベストなタイミングです。表皮にハリがあり、傷がないかも確認しましょう。
鮮度の良いいちじくを見分けるのに、ヘタの切り口を見るという方法もあります。枝から切られた部分を見て、切り口が新しいかどうかを見てくださいね。
いちじくの表皮には細かい毛がありますが、塩で表面をこすって洗えばそのまま食べることができ、素材の味を味わえます。完熟したいちじくなどは皮が柔らかく、そのまま食べることも多いのだそうです。
足の速いいちじくは、冷凍して保存するとよいでしょう。
冷凍してしまうと生いちじくと食感は変わってしまいますが、コンポートのような柔らかい食感になります。
冷凍保存する場合は、解凍してから食べやすいように、先に皮を剥いてからぴったりとラップにくるんで冷凍しておくとよいですね。
今回はノブさんおすすめの「無花果」を使ったレシピをご紹介します。
〈無花果のレシピ〉
【無花果の保存食・スイーツ①♪】
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いちじくのスパイスコンポート
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かわいらしい形と美しい色みを生かした丸ごとコンポート。
ほのかなピンク色が煮汁にも移ってきれいです。
トロンとした食感で、いちじく独特の素朴な甘みが口の中に広がります。
《材料》作りやすい分量
・無花果:5個(350~400g)
・レモン(輪切り):5枚
〈A〉白ワイン:100ml
〈A〉水::100ml
〈A〉砂糖:大さじ3
〈A〉はちみつ:大さじ1
〈A〉シナモンスティック:2本
〈A〉八角:1個
《作り方》
① 無花果は皮ごと洗って水気を拭き取り、竹串で数カ所穴をあけます。
② ステンレス又はホウロウの鍋に〈A〉の材料を入れてよく混ぜ、無花果と輪切りのレモンを入れます。
中火にかけ、沸騰したら弱火にして15〜20分コトコト静かに煮ます。
そのまま煮汁の中で冷まします。
③ シロップごと保存容器に入れ、冷蔵庫で冷やします。
〈食べ頃〉
すぐに食べられますが、夏は冷蔵庫で冷やすとより美味しく召し上がれます。
〈保存〉
冷蔵庫で2週間程が美味しく食べられる目安です。
〈応用メニュー〉
・ワインは赤ワインを使うとシックな色合いの芳潤なコンポートに。ロゼやオレンジなどお好みのものでも。
・マスカルポーネチーズやアイスクリームなどを添えればデザートに。サラダやマリネ、カットして生ハムと合わせてオードブルに。肉料理に添えたりのソースに加えたりとお料理にも使えます。
・コンポートのシロップをソーダーで割ったり、ゼリーにしてもいいですね。
【無花果の保存食・スイーツ②♪】
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無花果の甘酒ヨーグルトアイス
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とっても簡単に作れる、砂糖不使用のやさしい甘さのアイスです。
無花果とヨーグルトの酸味との相性もよく、さっぱりと召し上がれます。
淡いピンク色と無花果のプチプチした食感もお楽しみください。
無花果と甘酒のダブルで腸の活動の活発化が期待できますね。
《材料》出来上がり約450g
・甘酒:150g
・無糖ヨーグルト:150g
・いちじく:150g(2個くらい)
《作り方》
① ヨーグルトはキッチンペーパーなどを敷いたザルに入れて冷蔵庫で2時間ほど水切りをします。
② 無花果は皮をむいて適当な大きさにカットします。
③ 無花果、甘酒、水切りしたヨーグルトをミキサーやフードプロセッサーなどに入れ、滑らかになるまで攪拌します。
無花果を完全にペーストにせず食感を残してもおいしいです。
④冷凍可能な清潔な保存容器に移し、冷凍庫で凍らせます。
甘酒を使うと凍らせてもカチカチになりません。
凍るまでに途中2~3回、スプーンなどで全体をくずし、空気を入れながら大きくかき混ぜるとなめらかな口当たりに仕上がります。
〈保存〉
冷凍庫で約 1ヶ月間がおいしく召し上がれる目安です。
【無花果のスパイスコンポートアレンジレシピ♪】
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無花果とトマトのマリネ
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無花果のスパイスコンポートのやさしい甘味とトマトの旨味、チーズのコク、バルサミコ酢の酸味が合わさって、奥行きのある味わいのマリネです。
無花果のトロンとしたした食感が楽しめます。
ひんやり冷やしてお召し上がりください。
バゲットにのせて一緒に召し上がるのもおすすめです。
《材料》2人分
・無花果のスパイスコンポート:2個
・ミニトマト:8個
・玉ねぎ:1/8個(25g)
・イタリアンパセリ:4〜5本
・モッツアレラチーズ: 適量
・オリーブオイル:大さじ1
・バルサミコ酢:大さじ2
・塩、こしょう:適量
・イタリアンパセリ(飾り用):適量
《作り方》
①無花果のコンポートは縦6等分に切ります。
ミニトマトはヘタを取り4等分に切ります。玉ねぎはみじん切りし水にさらして辛味を取った後、水気を切ります。
イタリアンパセリは、葉の部分をみじん切りにします。モッツアレラチーズは食べやすい大きさに切ります。
②ボウルにバルサミコ酢、塩、こしょう、①を入れて混ぜ、オリーブオイルを加えて全体を和えます。
③器に盛り、こしょうをかけて、イタリアンパセリを添えます。
フレッシュな無花果をそのまま食べるのもよいですが、ひと手間かけて調理することで、無花果のおいしさをしばらくの間味わうことができます。
夏から秋にかけてが旬の無花果を、いろいろな食べ方で楽しんでみてはいかがでしょうか。
【おまけ】
こんな感じで撮影を楽しんでいます。
『カメラチェック』
「こんな感じでどうでしょう?」
「うん!い~ね~!美味しそう~~~!」
「ね、妖艶だよね、いちじく。」
「光もいい感じ!」
『撮影中のお味見』
「いちじくコンポートシロップジュース飲む?」
「飲む!!!」
「なんて大人な味なの?!初めての味!」
「後味もさっぱりだよね。」
『アイスのシズル感』
「いちじくアイスいくよ~。」(小走りのノブさん)
「はい!オッケーです!」
(アイスの撮影は時間との勝負!)
『いちじくコンポートのクセが強い件』
「いちじく、可愛いねぇ。」
「びんに詰められてもつままれてもされるがままだね!w」
「いちじく、リラックスしすぎ~!www」
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