今回は、皐月の「ならわし」について綴っていきたいと思います。
先人たちから受け継がれ続けてきた日本のならわしについて想いを巡らせて、これからも暮らしの中にゆったりと無理なく、丁寧に受け継いでいくことができたら嬉しいです。
【皐月(さつき)】
早苗(若い稲の苗)を苗代から田に植える月「早苗月(さなえづき)」が略されて「早月(さつき)」と呼ばれるようになりました。
後に、水辺や沼地を意味する「皐」の字があてられ,「皐月」となったといわれています。
他に、「稲苗月(いななえづき)」「早稲月(さいねづき)」、旧暦では梅雨の季節だったことから「梅月(ばいげつ)」「雨月(うげつ)」「悪月(あくげつ)」「月不見月(つきみずづき)」「授雲月(じゅうんづき)」などとも呼ばれます。
花々が咲き乱れ、新緑が美しく、1年で最も爽やかさを感じる頃ではないでしょうか。
もう、夏の気配も少しずつ感じ始める頃です。
長期連休もありますので、外に出て自然をたっぷりと味わってみるのはいかがですか。
外で過ごすには最適な季節ですが、もうすでに紫外線が強くなってくる頃でもありますので、お出かけの時には対策を忘れないようにしましょうね。
■5月2日
【八十八夜(はちじゅうはちや)】
八十八夜とは2月の立春から数えて八十八日目の夜のことです。
八十八を組み合わせると『米』という字になり、昔から農業に従事する人々にとって重要な日とされてきました。
春から夏へと季節が巡る時期で、吹く風が暖かく変化し、山から雪解け水が流れる春のはじまりの季節。
昔は農業における種まきの目安であり、お茶農家にとっては新茶の時期でもあるのです。
やわらかくて美味しい茶葉が採れる頃で、茶摘みの最盛期を迎えます。
お茶が日本に伝わった時代は滋養強壮・体調回復のために飲まれていたことから、八十八夜に摘まれたお茶を飲むと「1年間無病息災で過ごせる」「新茶は長寿につながる」と言われ、縁起物とされています。
■5月5日
【端午の節句(たんごのせっく)】
五節句のひとつで、「菖蒲(しょうぶ)の節句」「あやめの節句」とも言われます。
「端午」とは、月の初めの「午の日(うまのひ)」のことをいいます。
旧暦の5月が「午の月」にあたることから、5月5日を「端午の節句」といい、現在では「こどもの日」として国民の祝日となっていますね。
古代中国では、雨の多いこの時期を「悪月(あくげつ)」と呼び、邪気を祓うため、菖蒲酒を飲んだり、蓬(よもぎ)で作った人形を軒先に飾る伝統がありました。
日本でも、五穀豊穣祈願で香気の強い菖蒲を厄除けに使っていたことから、中国の伝統と結びついて端午の節句が生まれたとされています。
「菖蒲」は、「尚武(しょうぶ)」=「武道を重んじる」や「勝負」に通じ、縁起が良いということから、武士の間で習慣が広まり、江戸時代になって男の子の成長と出世を祝う日になったといわれています。
【菖蒲湯】
昔から薬草として使われてきた菖蒲は、香りが良いことから邪気を祓う植物としても知られています。
無病息災を祈り、菖蒲を入れたお風呂に入るとよいとされていますが、実際に、菖蒲に含まれるテルペンという成分は、皮膚や呼吸器から吸収され、疲労回復、精神安定、鎮静効果など、たくさんの健康効果があるとされています。
よりリラックス効果を高めるには、温度が重要なのだそうですよ。
葉の香り成分は熱いお湯に、より多く溶け出すため、空の浴槽に葉を10枚ほど入れた後、43度ほどの高めの温度で湯を張ります。そして、適温に冷めてからゆったりと入浴します。
湯に浸かりながら葉を揉めば、さらに香りが立って身心をほぐしてくれるでしょう。
【五月人形】
男の子の誕生を祝い、強く逞しく成長して欲しいという願いを込めて、災いの身代わりになってくれるということから、武者人形や鎧、兜を飾ります。
【鯉のぼり】
男の子の誕生を神様に知らせ、「この子をお守りください」とお願いをする目印として掲げるといわれています。
鯉は出世の象徴だそうです。
五色の吹き流しは、中国の陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)に由来するもので、魔除けの効果があるとされています。
※陰陽五行説
自然界の全てのものを「陰」と「陽」の相反する2つの要素でとらえ、相互に対立・依存しながら絶えず変化している関係であるという考え方の『陰陽論』と、5つの要素が、お互いの性質を助け合ったり、打ち消し合ったりすることで、あらゆるものがバランスを保っていると考える『五行論』の2つの説から成り立つ、紀元前の中国の春秋戦国時代に生まれた自然哲学の思想のこと。
棒のてっぺんでからからと回っている部分は天球といい、神様が降臨するための目印がわかるように音を出しているという説と、鯉が竜となって天に登るのを導くとする説があります。
【柏餅(かしわもち)】 新芽が育つまで、古い葉が落ちない柏の葉には、子孫繁栄の願いを込めてこの日に食べられるようになりました。
江戸時代に始まった、日本独自の風習といわれています。
【粽(ちまき)】
笹の葉や竹の葉でもち米を包んで蒸した食べ物です。
中国から伝わった粽には、「難を避ける」という意味があり、子どもが無事に育つための魔除けとして食べられるようになりました。
■5月6日
【立夏(りっか)~二十四節気】
(※「立夏」について詳しくはこちら)
■5月21日
【小満(しょうまん)~二十四節気】
(※「小満」について詳しくはこちら)
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