【ことごと綴り】《長月(ながつき)》9月


これまで、「ことごと綴り」では、二十四節気と七十二候、旬の食材、旬の食材を使ったオリジナルレシピ、季節ごとの養生食や暮らしの養生についてを綴ってきました。


今回からは内容を少し変えて、季節ごとの「ならわし」について綴っていきたいと思います。


毎回、前月末に翌月のならわしについて綴っていく予定です。

先人たちから受け継がれ続けてきた日本のならわしについてその季節ごとに想いを巡らせて、これからも暮らしの中にゆったりと無理なく、丁寧に受け継いでいくきっかけになったら嬉しいです。


また同時に、その中からピックアップした「季節のならわし」にまつわるオリジナルレシピを「ならわし料理」として別の記事でご紹介していきます。


そちらも合わせお楽しみください。





【長月(ながつき)】


夏に短く感じた夜が、だんだんと長く感じられるようになることから「夜長月」、これ変化がして「長月」と呼ぶようになったといわれています。

また、この時期に長雨が降ることが多いことから、「長雨月」が変化したとの説もあるそうです。


収穫の時季なので「稲刈月」「稲熟月(いねあがりづき)」、他に「菊月(きくづき)」「紅葉月」「暮秋(ぼしゅう)」などとも呼ばれています。








まだ、暑さが残っていますが、朝晩の空気には秋を感じるようになってきます。蝉の大合唱が鈴虫たちの音色に変わり、情緒漂う時間を愉しめる季節へと巡ってゆきます。実りの秋に美味しい食べ物に舌鼓をうったり、お月見をしたり、五感で移ろう季節を感じたいですね。













■9月1日

【二百二十日(にひゃくとおか)~雑節】



立春から数えて210日目。

この時季は稲が開花・結実する大事な時なのですが、台風が相次いで襲来し、農作物が被害を受けてしまうことがよくあり、厄日とか荒れ日などといわれています。一つの目安として警戒を呼びかけていたようです。

雑節のひとつ。


(※「雑節」について詳しくはこちら)





■9月8日

【白露(はくろ)~二十四節気】


(※「白露」について詳しくはこちら)





■9月9日

【重陽の節句(ちょうようのせっく)~五節句】



「五節句」のひとつで、不老長寿を願う日です。


中国の陰陽五行思想から奇数は縁起のよい数字とされ、特に一桁の陽数(奇数)の中で、最も大きい数である「9」は最高の数字と考えられました。9月9日は「陽数が重なる」ということで「重陽」と呼ばれました。



旧暦では菊が咲く季節だったので、「菊の節句」とも呼ばれ、菊を飾ったり、延命長寿の霊力があるとされた菊酒(◆)を飲んだりして無病息災を祈願します。

江戸時代には、庶民も菊酒を飲み、栗ご飯を食べて、長寿を願う習慣が広がったそうです。


ちなみに、菊は昔から漢方薬や食用としても用いられてきました。

β‐カロテンやビタミンCなど、抗酸化作用が高いとされる栄養素が多く含まれています。




※「五節句」について詳しくはこちら




◆菊酒の作り方


食用菊…60g

ホワイトリカー…1L

保存用の瓶


①菊を洗い、しっかりと水気を切る。

②ホワイトリカーで拭いて、保存びんを消毒する。

③保存びんに①とホワイトリカーを入れ冷暗所に置いておく。

④1か月ほど経って、菊の色が出きったら完成。(菊をこして保存。)



☞お酒に菊の花びらを浮かべれば、即席菊酒としてお楽しみいただけます。














■9月10日

【十五夜(じゅうごや)】



十五夜とは、1年の中で最も空が澄みわたる旧暦の8月15日に、美しく明るい丸い月を眺める行事のことです。

お月見は、自然に感謝し、豊作を祝う行事でもあります。


旧暦で7~9月が秋とされ、その真ん中の8月を中秋といったことから「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」、里芋の収穫時期と重なり供えたことから「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれています。


昔は月の満ち欠けで1か月を数えていたので、毎年15日でしたが、現在の暦では、毎年9月中旬~10月上旬の間に十五夜(旧暦8月15日)がくるとされています。



月の見えるところに、満月に見立てた月見団子や魔除けのすすき、里芋、栗、枝豆など、収穫されたばかりの農作物をお供えし、収穫に感謝します。


先人たちが、丹精込めて育てた農作物がやっと収穫でき、これから巡ってくる寒い冬にもまた、立ち向かって生きていけるとホッとして見上げた夜空に、美しく大きな月が浮かんでいる。人々はしばし、月を眺め、実りに感謝を捧げる。

そんな自然な様子が目に浮かびませんか。



他にも、十三夜(旧暦9月13日/新暦10月8日)や十日夜(とおかんや 旧暦10月10日/新暦11月10日)というお月見行事があります。


十日夜(とおかんや)は、お月見をするというよりも収穫祭の意味合いが強いです。


十五夜と十三夜、十日夜が全て晴天に恵まれると、縁起が良いと言われているそうですよ。


ちなみに、十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月(ふたよのつき)」と呼びます。


十五夜または十三夜のどちらか一方しかお月見をしない「片見月」は、あまり縁起が良くないとされているそうですので、できれば、十五夜と十三夜の両方の日にお月見ができると良いですね。



豊作を祝うということは、多くの人が土から離れてしまった今では、なかなか馴染みのないこととなってしまったかもしれません。

でも、日々の食の豊かさ、自然の恵みにひとりひとりが感謝をするのは大切なことですね。


満月は月の引力が最も強くなる日でもあります。


日常の暮らしの中で、ふと見上げることはあっても、意識をして満月の光を浴びる時間はあまりないかと思います。


昔のように、縁側でお月見という風情のあるシチュエーションは残念ながら減ってしまったかもしれませんが、お庭やベランダ、近所の公園などで、じっくりと月光浴をしながら、お月見をしてみるのはいかがですか。

何か不思議なパワーを感じることができるかもしれませんよ。





■9月11日

【二百二十日(にひゃくはつか~雑節】



立春から数えて220日目。昔から「海が荒れる日」とされ、台風警戒の目安とされています。

稲の成熟や収穫を控えた大切な時期、台風への備えを忘れないように暦に記されたともいわれています。


古来いわれてきた八朔(はっさく)※(旧暦8月1日)の厄日が年によって異なるため、季節にあった生産暦としての一つの目安として、二百十日とともに太陽暦的な暦注として江戸時代から用いられるようになりました。

雑節のひとつ。



※八朔…朔日(さくじつ)とは1日(ついたち)のことで、八朔(はっさく)とは八月朔日の略、旧暦の8月1日を指します。(2022年は8月27日)。


台風被害が心配なこの時期に、田んぼでは早稲(わせ)の穂が実ることから、本格的な収穫を前に「豊作祈願」と「田の実りをお供えする」という意味を込めて、各地で「八朔祭」など様々な行事が行われてきました。


そして農家の方がその年に取り入れた新しい稲を仕えている家や知人に贈り、豊作祈願を祝う風習が、町民や武家に伝わり、「田の実(たのみ)」から「頼み(たのみ)」となり、「頼み頼まれる」関係を大切に考える人たちの間で流行し、日頃お世話になっている人や、頼りにしている人に感謝の気持ちを伝え、贈り物をする風習へと変わりました。





■9月22日

【秋の社日(しゃにち)~雑節】



秋分に最も近い戊(つちのえ)の日です。

社日の「社」は、その土地の守護神である「産土神」(うぶすながみ)を意味し、社日は産土神を祀る日であり、豊穣に感謝します。


その日が、春は種まきの時期、秋は収穫期にちょうど良く重なる事から、農業を行う人々にとって大切な節目の日となっていたのです。


(※雑節について詳しくはこちら





■9月23日

【秋分(しゅうぶん)~二十四節気】


(※「秋分」について詳しくはこちら)





■秋分の日を中日とする7日間

【秋のお彼岸~雑節】


「長月のならわし料理」をご覧ください。





■9月中旬~10月初旬頃

【秋の七草】



春の七草は七草粥にして無病息災を祈るものに対し、、秋の七草はその美しさを鑑賞して楽しむものです。

この7種が選ばれたのは、万葉集に収められている山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ歌が由来とされています。


「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」 「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」



【1】女郎花(おみなえし)

女郎花の名前の由来は、花の美しさが美女を圧倒するためという説があるほど、優雅で美しい花として古代の人に親しまれた花です。


【2】尾花(おばな)

尾花とは「すすき」の別名です。すすきの穂が動物の尾に似ていることが、名前の由来と言われています。お月見にはかかせない飾りの1つです。


【3】桔梗(ききょう)

桔梗は、星形の花を咲かせるその形の良さから多くの武将の家紋に用いられました。


【4】撫子(なでしこ)

日本女性の清楚さを表現した「大和撫子」の「撫子」は、この花のことです。


【5】藤袴(ふじばかま)

藤袴は、花の色が淡紫色で、弁の形が筒状で袴に似ていることからこの名前が付けられました。


【6】葛(くず)

葛湯、葛切り、葛餅など今でも親しみ深い植物の1つです。

【7】萩(はぎ)

「草かんむり」に「秋」と書く、まさに秋を代表する花の1つです。秋のお彼岸にお供えする「おはぎ」の名の由来にもなっています。

「おきなふくは」など、語呂合わせで名前を覚えるといいかもしれません。




閲覧数:8回0件のコメント