
皮がやわらかく丸ごと生で食べられる金柑。
そのままでもおいしいですが、金柑の甘くさわやかな香り、皮のほのかな苦みと果肉の甘酸っぱい風味、ジューシーさを生かしつつ、長く味わえるよう、少しだけ手間をかけて保存食にしてみませんか?
加熱調理をしたり、甘さを足したりすることで、素材の風味を引き立てることができます。
フレッシュの味わいとはまた違う、金柑の凝縮された美味しさを楽しめますよ!
つややかでぽってりとした金柑の甘露煮。
口に入れると、ジュワーっとやさしい甘みとほのかな苦みが広がり、果肉がとろけます。
小さな粒に美味しさが凝縮しているので、一粒でも十分な満足感!
金柑をそのまま丸ごと煮るレシピもありますが、ここでは、種をていねいに取り除いてから調理します。
この一手間で、食べやすくなり、口にした時のおいしさが違いますよ。
金柑は「金冠」と掛けられ、黄金のような色味でもあることから、豊かに栄える様にと願う縁起の良い食べ物として、おせち料理にも入っています。
金柑の甘露煮は、おせち料理にはもちろん、お茶請けや焼き魚のあしらいものなどにもおすすめです。

《材料》つくりやすい分量(500ml容量の保存びん1本分)
・金柑:200g(中サイズ15個くらい)
・水(下茹で用):適量
〈A〉水:200ml
〈A〉砂糖:60g
〈A〉みりん:30g
・醤油:小さじ1/4
《つくり方》
①金柑を下処理します。
きんかんは洗ってヘタを取ります。きんかんの上下の幅を少し残して縦に等間隔で4〜6箇所ぐるっと一周切り込みを入れます。
*竹串や針で細かい穴を開ける方法もありますが、切り込みを入れるとより味のしみ込みがよくなり、種を取り出しやすくなります。

切り込みを入れた金柑の上下を少しギュッと押して中身が見えるようにして竹串などで種を取り出します。
*金柑の中央部に種があり、竹串をさすと硬いものに当たるのでわかります。多少種が残っていても、食べる時に気づくので大丈夫です。

②鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら弱火にして金柑を入れ2〜3分ほど茹でてアクを抜きます。ザルにあげて湯を切っておきます。

③鍋に〈A〉と金柑を入れて中火にかけ、煮立ったらアクをすくい取ります。
*鍋は、金柑が重ならずに一段で入るくらいの大きさがよいです。
中央に穴を開けたクッキングシートで落し蓋をして、弱火で20分ほどコトコトと煮ます。
*空気に触れるとしわになりやすいため、落し蓋をして金柑の表面が空気に触れないようにします。

④金柑が柔らかくなって、煮汁がとろっとしてきたら火を止めて、仕上げに醤油を加え、そのまま冷まし味を含ませます。
*醤油を加えると味わいに深みが出ます。
⑤冷めたら、清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。
〈メモ〉
・砂糖はお好みのものを使ってください。きび糖や洗双糖などを使うとややコクのある仕上がりに、てんさい糖はまろやかに、グラニュー糖はすっきりした仕上がりになります。
・切り込みを入れる際は、上下まで切りすぎないように注意してください。ヘタが付いていた部分からおしり側まで切り込みを入れてしまうと、煮たときに皮がめくれてきてしまいます。
・あらかじめ種を取っておいた方が食べやすいですが、気にならないので食べる時に取り除けばいいという方は、切り込みを入れるだけでよいです。
〈食べ頃〉
つくってすぐに食べられますが、一晩漬けるとより味がなじんで美味しくなります。
〈保存〉
冷蔵庫で2週間ほどが保存の目安です。
できるだけシロップにつけた状態で保存容器に入れ、乾燥しないよう表面にぴったりとラップをしておくとよいです。
〈応用メニュー〉
・煮たシロップは、お湯で割って「ホットきんかん」に。喉に優しく、体を温めるホットドリンクになります。
炭酸水で割ってもおいしいです。
・温かい紅茶にシロップと金柑を沈めれば、金柑の香りがふわりと立ち上ります。
・ヨーグルトに砂糖やはちみつを入れる代わりに、金柑の甘露煮をシロップごとトッピング。
・ケーキ、マフィン、スコーン、クッキーなどのお菓子づくりに。チョコレートとの相性抜群。パンケーキにシロップごと添えるのもおすすめです。
・サラダ、マリネ、肉料理、魚料理など。
・クリームチーズと合わせておつまみにも。
冬の保存食『金柑の甘露煮』を使ったアレンジレシピ

旬の食材のこと
『金柑』

金柑の栽培は主に「温室」と「ハウス」、それに「露地」の3つの栽培スタイルがあります。
温室栽培の物が早ければ11月末頃から収穫が始まります。露地物は1月から3月にかけて収穫されます。
最も美味しく、沢山出回る旬の時期は1月中旬から3月上旬までとなります。
金柑は柑橘属ではなく「金柑属」の仲間で、ミカンなどと異なり皮ごと食べられる果物です。
柑橘類の皮の部分などに多く含まれるヘスペリジンは、これまで様々な研究から健康維持に役立つ効果があるとされています。
具体的には毛細血管の強化や血中コレステロール値の改善効果、血流改善効果、抗アレルギー作用、発ガン抑制作用など。
皮ごと食べる金柑はこのヘスペリジンを摂取しやすい果物だといえます。
また、ビタミンC、ビタミンE、などが多く含まれ、昔から風邪の予防や、咳止めやのどの痛みを抑える民間薬として親しまれてきました。
店頭にて選ぶ際には、色が少し紅色を帯びた濃い色で艶があり、粒が大きく、表面に張りがあって重みを感じるものを選びます。また、へたの部分が茶色っぽくなっていなく新鮮なものかどうか確かめます。
冷蔵庫に入れる場合は、乾燥しないようポリの袋などに入れるようにしてください。基本的には2週間程度日持ちしますが、なるべく早く使うようにしましょう。
12月 【和風月名 師走】
【二十四節気・七十二候】についてはこちら
【冬の保存食レシピ】師走(12月)《金柑の甘露煮》
Comments