
茹でた小豆に米麹を加えて発酵させた、砂糖不使用でやさしい甘さの「発酵あんこ」が話題になり、ご存知の方も多いと思います。
「そら豆麹ペースト」は、蒸したそら豆と米麹、塩を合わせて発酵させたペーストです。
麹の酵素によりでんぷん質が分解されて甘くなるのは「発酵あんこ」と同じですが、より旨みがあり、さっぱりとしていて、塩気と水分もあり、調味料としても使いやすいようにつくりました。
また、そら豆を麹ペーストにすることで、そら豆の独特の青臭さが和らぎます。
淡いグリーンの色味も料理に爽やかな彩りを添えますよ。
フレッシュなそら豆が旬な時期に、まとめてつくり置きしておくと大活躍する発酵調味料です。

《材料》作りやすい分量(出来上がり約450g)
・そら豆(蒸して皮を剥いた状態):300g
・米麹:150g
・水:100ml
・塩:小さじ1/3
《つくり方》
①そら豆はサヤから出し、黒い筋と反対側の薄皮に浅く切れ目を入れます(後で薄皮をむきやすくするため)。
蒸し器で4~5分、やわらかくなるまで蒸します。

②蒸し上がったそら豆の薄皮を取り除き、水と一緒にフードプロセッサーにかけて、なめらかなペースト状にします 。マッシャーやすり鉢などでしっかりとつぶしてもよいです。
水分が足りずモソモソした状態なら、水を足して調整してください(分量外)。
③保温器に、②のペースト状になったそら豆、米麹、塩を入れてよく混ぜ合わせます。
60℃設定で8時間保温します。2〜3時間おきに全体を混ぜてムラをなくします。
*保温器がない場合は、下記の〈メモ〉をご参照ください。

左から「混ぜる前」「混ぜた後」「保温後」
④米麹の粒が残らないペーストにしたい場合は、出来上がりをフードプロセッサーなどにかけて、お好みのなめらかさにしてください。
〈保存・食べ頃〉
・冷蔵で1週間ほど、冷凍で1ヶ月ほどが保存の目安です。
・冷凍する場合は小分けにしてラップで包み、ジッパー袋に入れて冷凍すると便利です。
〈メモ〉
・保温器がない場合は、炊飯器でもできます。炊飯器の蓋は開けた状態で布巾をかけて、炊飯器の保温モードのスイッチを入れます。2~3時間おきに全体を混ぜて55〜60℃で8~10時間保温します。
・乾燥麹を使用する場合は、水の量を少し多めにし150mlくらいに調整してください。
〈応用メニュー〉
・肉、魚介類の付け合わせやソースに。白身魚のソテーと合わせるのがおすすめです。
・乳製品やチーズとの相性抜群です。パスタ、グラタン、ニョッキなどのソースに。
・そのままディップとして蒸し野菜に付けたり、トーストに塗ったり。バターやクリームチーズと合わせると◎。
・ポタージュスープ ・ドレッシング ・コロッケ
・マヨネーズとも合うのでポテトサラダやコールスローに加えても美味しいです。
・白和えなどの和え物。
・ずんだあんのようにおやつにも使えます。どら焼きやおはぎ、白玉に合わせたり、フルーツに合わせても。凍らせてアイスにしても。
・牛乳や豆乳に溶いてドリンクに。
春の保存食『そら豆麹ペースト』を使ったアレンジレシピ

春の保存食『そら豆麹ペースト』を使ったアレンジレシピ

春の保存食『そら豆麹ペースト』を使ったアレンジレシピ

旬の食材のこと
『そら豆』

そら豆はマメ科ソラマメ属で、日本では奈良時代から食べられている歴史の古い野菜です。
日本で主に出回っているものは、「一寸そら豆」です。
艶のある濃緑で一粒3cm程と大粒かつ、柔らかで甘みがあるのが特徴です。
ヨーロッパでは「フェーブ」という名前で、サヤが長いものや粒に赤みがかったものがあります。

味自体は、一寸そら豆と似て柔和で甘みがありますが、日本産のものと比べると粒が少し小ぶりなものが見かけられます。
そら豆は、漢字では「空豆」や「蚕豆」と書きます。
空豆と書くのは、さやが空に向かって伸びる姿に由来し、蚕豆と書くのは、さやが蚕(かいこ)の繭(まゆ)に似ているからなどといわれます。
その他にも「天豆(てんまめ)」と書かれる事もあります。
名称もいろいろあり、ノラマメ(野良豆)やシガツマメ(四月豆)、ナツマメ(夏豆)とも呼ばれているようです。
そら豆のさやを開けると、中には白いフワフワのクッションに守られるように綺麗な豆が並んでいますね。
この白い綿のような部分は葉や根から送られてきた栄養を蓄える働きがあり、豆の生長に合わせて豆に養分を送っているそうです。
新鮮なものであれば、この綿の部分をスプーンなどでかき集めて食べてみるとほんのり甘くて風味もいいんですよ。
近年は発芽させた若い芽を食用として「そらまめ豆苗」と呼ばれるものも出回っています。
一般的な大豆の芽の豆苗に比べてそら豆の豆苗は、豆が大きいので芽も太く大きいため歯応えがあり、風味も強いと言われています。
露地物のそら豆は通常秋に種をまき、春に花を咲かせて5月頃収穫されます。
早いものでは鹿児島から年末頃には出荷されるようですが、旬は4月から6月にかけての時期になります。
主な栄養素はたんぱく質で、ほかにもビタミンB1、B2、ビタミンC、鉄分、さらに嬉しいのは豆類であるにも関わらず、食物繊維が豊富なこと。
食物繊維の多くは皮の部分に含まれるので、新鮮で皮がやわらかいものは、捨てずに皮ごと利用できるスープなどもおすすめです。
そら豆の亜鉛の含有量は、野菜の中でトップクラスです。
鉄分も豊富で、同じ重量あたりでは、ほうれん草よりも多く含まれています。
鉄分の吸収を高めるタンパク質とビタミンCも多いので、貧血気味の人には、特におすすめといわれています。
その他にも、豊富に含まれているカリウムは、ナトリウム(塩分)を排泄する役割があます。
そら豆はとても鮮度の落ちやすい野菜なので、日持ちは3日と言われるほどです。
新鮮なそら豆の特徴は、茶色い部分がなく、さやの緑色が濃くて鮮やかで艶があり、産毛の取れていないもの。
豆とさやの間に空洞がなく、ピタッと密着しているものも新鮮な証です。
また、ふっくらと膨らみ、触った時にしっかりと弾力があり、持った時に重みを感じるくらいのものを選んでください。
さやから出して売られているものは手間が省けますが、その分劣化が早いと思ってくださいね。
空豆の実をよく観察してみると、縁の凹んだ部分に真っ黒な線が引かれているものと、そうでないものがあります。
ここは「珠柄(しゅへい)」といって、莢と実を結ぶ部分だそうです。
ここを通して莢から実へ栄養を送っています。

繋がっている間は緑色をしていて、旬の終わりに近づくと外れ、時が経つと酸化して黒くなるそうです。
その部分はお歯黒と呼ばれ、ここが真黒いものは熟れ過ぎているものとして見分けるのに便利ですよ。
そら豆はさやから出すと、鮮度が落ちるのが早く、豆がすぐに固くなります。
そのため、購入後はなるべく早く食べることと、調理する直前にさやから取り出すことを心掛けましょう。
保存の際には、乾燥しないようポリ袋などに入れ、野菜庫で保存してください。
長期保存したい場合は、さやから出して塩茹でしたものを冷凍します。
ただし、冷凍する場合は茹で時間を短くし1分程にします。
そして、茹でたものをまだ温かい位でバットなどに並べ、冷凍庫へ入れます。
一気に冷やして凍らせるのです。
凍ったら保存袋などに入れて冷凍しておきましょう。
鍋にたっぷりの水と2%ほどの塩(水1Lに対し塩20g)を入れて沸騰させている所に投入し1〜2分半程茹でたら取り出しザルにあげます。
この時、冷水に落とす場合もありますが、冷水に落とさずザルに揚げたままうちわであおいだりして冷ました方が水っぽくならず、美味しく茹であがります。
5月 【和風月名 皐月】
【二十四節気・七十二候】についてはこちら
【春の保存食レシピ】皐月(5月)《そら豆麹ペースト》
Comentarios